自己効力感を高める4つの要素と3つの方法とは?臨床心理士が解説

2019.01.28公開 2019.05.16更新

自己効力感を高める4つの情報源とは?

「4つの情報源」とは、自己効力感を高めるための要素のことを指します。

 

1.遂行行動の達成

ある行動を最後までやり遂げ、「自分は達成できたのだ」という経験を持つことです。

 

この要素が、自己効力感の形成に最も強く影響すると言われています。

 

「猛勉強の末に、難関大学に合格する」といった経験がこれにあたります。

 

2.代理経験

他の人が物事を達成しているところを観察したり、その様子を聞いたりすることで、自分にも上手くやれそうだという疑似的な自信を持つことです。

 

モデリングと言われることもあります。

 

「楽器の練習をしている人が、同年代のプレーヤーの演奏を見て“自分にもできそうだ”と感じる」、といった具合です。

 

3.言語的説得

自分の行動や達成の状況を、他者から繰り返しほめられたり励まされたりすることを指します。

 

絵の腕前を褒められた子どもが、そのことをきっかけに更に練習して上達することで自己効力感が高まる、といったことはよく見られます。

 

4.情緒的喚起

自分の身体の変化や情緒的な反応を、体験したり観察したりすることを言います。

 

例えば、スピーチの場で緊張して言葉に詰まると、冷や汗が出たり恥ずかしさを感じたりして自己効力感は下がってしまいます。

 

一方で、緊張せずにリラックスしてスピーチが出来れば、「人前で話す」ということへの自己効力感は上昇するのです。

 

 

自尊心や自信との関係は?

自己効力感と似た言葉に、「自尊心」や「自信」といったものがあります。

 

これらと自己効力感との違いはあるのでしょうか。

 

繰り返しになりますが、自己効力感とは「ある行動に対する“自分は上手くやり遂げることが出来そうだ”という期待や認知」のことを指します。

 

これに対して「自尊心」とは、「自分の存在には価値がある」と捉えることであり、行動の結果への認知や期待といったこととはあまり関係がありません。

 

「自尊心が高い」ということは、「自分の価値を信じる気持ちが強い」ということなのですね。

 

一方「自信」とは、「自分の能力や価値を信じる感覚」のことです。バンデューラは、

「自己効力感を持つことが自信を持つことに繋がる」

と述べており、このことから、自信とは自己効力感を持った先にあるものだと言えそうです。

 

 

失敗体験は自己効力感にマイナス?

結論から言いますと、失敗体験が自己効力感にマイナスに作用するという研究結果は散見されます。

 

しかしながら、私たちの生活に引き寄せて考えると、必ずしもそうであるとは言えないかもしれません。

 

自己効力感は、失敗の事実そのものではなく、失敗したことによる自己へのネガティブな評価に影響されます。

 

その点を踏まえて、失敗を「できなかったこと」として終わらせるのではなく、「失敗を省みながら新たな挑戦をする」という方向転換したとしましょう。

 

すると、その失敗は「経験値」となります。

 

新しい挑戦が成功すれば、その分野への自己効力感は上昇するでしょう。

 

そういった意味では、

失敗体験は自己効力感にマイナスの影響のみをおよぼすものではない

と言えるかもしれません。

 

 

自己効力感を高める3つの方法

それでは、自己効力感を高めるために私たちはどんなことが出来るでしょうか。一緒に考えてみましょう。

 

簡単な目標を設定して成功体験を持つ

目標を達成する感覚を味わうことは、自己効力感を高めるために非常に効果的です。

 

一気に高い目標をクリアしようとせず、出来そうなことから挑戦していきましょう。

 

スモールステップですすめていくことで、繰り返し成功体験を持つことが出来ます。

 

やり遂げてきたことを思い返す

これまでに達成してきた課題を振り返ることも効果的です。

 

この際、達成した課題の難易度や客観的な成否よりも、「やり遂げたのだ」という実感を持てるかどうか自己効力感を高める上では重要です。

 

実感が強くあるほど、ポジティブな作用を及ぼします。

 

イメトレしてみる

スポーツ選手が大切な試合の前にイメージトレーニングをするように、課題に取り組む前に「自分がうまく達成できる姿」をイメージしてみましょう。

 

疑似的に成功体験を味わうことで自己効力感が増し、課題に取り組みやすくなります。

 

 

自己効力感を高めると行動はどう変わる?

自己効力感が高まると、「物事に積極的になることができる」ようになります。

 

“自分ならできる”と思えるために、物事に挑戦するハードルが自然と低くなるからです。

 

また、このことと関連して、課題を達成するための「努力を惜しまない」姿勢が身につくこともあります。

 

自分なら達成できるのではないかという期待や自信があるために、努力すること自体にも積極的になれるのでしょう。

 

さらに、「ポジティブ思考が得意」である傾向もあります。

 

たとえ何かに失敗しても“次は上手くやってみせる”といったように立ち直りが早く、誤りを次の機会に活かす力も備わるようになります。

 

 

さいごに

難しい課題や新しい仕事に取り掛かる時、誰もが不安を感じるものです。

 

しかし、自己効力感を高く保つことが出来れば、勇気をもって挑戦することが出来そうですね。

 

これまで見てきたように、自己効力感は高めることができるものです。

 

まずは出来そうな目標から、少しずつ結果を積み上げてきましょう。

鈴木さやか

臨床心理士・公認心理師

心理系大学院修士課程を修了後、臨床心理士資格を取得。福祉分野のケースワーカーとして従事したのち、公的機関でテスター兼カウンセラーとして勤務。子どもの問題(不登校、非行、発達障害等)や労働、夫婦問題をはじめ、勤労者、主婦、学生など幅広い立場への支援を行っている。

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