インナーチャイルドとは?癒すとはどういうこと?臨床心理士が解説

インナーチャイルドの具体例

インナーチャイルドは、自分の子供時代からの考え方のくせや行動パターンに影響を与えます。

 

特に人間関係や、強いストレス状況にいる場合は無意識的に働きやすいと考えられます。

 

どういうわけが同じようなことを考えてしまったり、同じような行動を取ってしまうなど、インナーチャイルドが働きかけている可能性があるかもしれません。

 

例えば、彼氏と喧嘩する時は

・いつも何も言えなくなってしまう

・すぐに怒ってしまう

・自分勝手になりやすい

・いつ見捨てられるかと不安になる

…など、怒りや悲しみ、不安、ネガティブな感情と結びついて、

・否定的な考え

・引きこもる

・逃げ出す

・黙り込む

などの行動パターンがセットになっている場合もあると思います。

 

 

インナーチャイルドを癒やすとは?

インナーチャイルドがネガティブな体験を重ねたり、ありのままの自分でいられず、ネガティブな考えや行動パターンを持っている場合を「インナーチャイルドが傷ついている」と表現します。

 

また、インナーチャイルドをケアすることで、現在の生きづらさを軽減することをインナーチャイルドを癒すと表現しています。

 

さまざまな方法があるかと思いますが、まずは下記方法をおすすめします。

 

自分のパターンに気づくこと

まずは自分のパターンに気づくことが大切です。

 

どういうわけか、なぜだか、同じような気持ちや考え、行動パターンを取ってしまうことがあると思います。

 

同じような状況で、同じようなパターンを繰り返している場合は、インナーチャイルドが働きかけているかもしれません。

 

まずは、自分のパターンに気づくことが大切です。

 

過去の傷つきと現在を分けること

自分のパターンが、過去の似たような経験から来ているんだ…と自覚している方もいらっしゃるかもしれません。

 

例えば、今の彼氏と喧嘩したときに何も言えなくなってしまうのは、はじめての彼氏と喧嘩した時に意見を言ったから振られてしまった、という経験から来ているかもしれません。

 

元彼には振られたけど、今の彼氏に意見を言って振られるとは限りません。

 

意見を言った方が自分を持っている女性だと評価されるかもしれません。

 

過去の体験が影響していることに気づいたら、過去は過去、現在は現在としっかり意識して分けるようにします。

 

無意識で過去とのつながりを感じているより、過去は過去、現在は現在と再認識するだけでも、客観的になれるので、無意識の影響が小さくなります。

 

また、インナーチャイルドを癒す方法は、たくはたくさんあります。

 

インナーチャイルドを信念やスキーマと捉えて、認知行動療法に取り組む方法もあるかと思います。

 

イメージを使った心理療法では、インナーチャイルド(子供の頃の傷ついた自分)の話を暖かく聞いてあげたり、インナーチャイルドを抱きしめるような方法もあります。

 

他には催眠療法など、インナーチャイルドを癒す方法は、さまざまな心理療法があるので、自分に合った方法を探してみることをおすすめします。

 

 

インナーチャイルドに対処することで

インナーチャイルドや信念、スキーマに対応することで、現在の生きづらさや不適応な考え、行動パターンが少なくなり、状況に応じた柔軟な対応ができるようになります。

 

それでも、強いストレスがかかると、ついつい昔から慣れ親しんだパターンが顔を出します。

 

しかし、過去と現在を分けること、自分のパターンを知ることで、

「あ、またいつものパターンをやってしまった」

「もしかしたら、子供の頃の自分が顔を出したのかな」

と、状況を客観的に見れて、ストレスが小さくなったり、少しずつ柔軟な考えや行動が取れるように変化していきます。

 

 

注意点

過去と向き合うのは大変な作業です。

 

特に、自分の内側の深いところ、無意識的なものになると、なかなか見たくなかったり、意識することへの抵抗が生まれます。

 

例えば、子供の頃の思い出したくない記憶が今の考えや行動パターンに影響しているとしたら、なかなか意識したくないし、意識することで、疲れてしまったり、具合が悪くなったりする場合があります。

 

大変な作業だなと感じたら、1人で行うのではなく、カウンセリングなどで専門家と一緒やることをおすすめします。

 

作業に取り組む前に、反応が出た際の対処法や、リラクゼーション法などスキルを身につけてから取り組むことで、より安全に過去と向き合える場合もあります。

 

 

さいごに

今回はインナーチャイルドについて、客観的な立場から説明させていただきました。

 

インナーチャイルドは、大切な自分の一部です。過去は自分を守ってくれたり、一緒に生きてきた大切な仲間です。

 

自分を苦しめる悪者ではないと思います。

 

否定するのではなく、

「あの時はそうだったね」

「今までありがとう」

と認めてあげる、受け入れてあげることも大切だと私は考えます。

 

インナーチャイルドを専門的に扱っている機関もあるようなので、気になる方は問い合わせしてみる方法もあるかと思います。

 

【参考】

Essential Secrets of Psychotherapy : The Inner Child(Psychology Today)

Raising Your Inner Child(Psychology Today)

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石上友梨

臨床心理士

大学・大学院と心理学を学び警視庁に入庁。5万人の職員のメンタルヘルスを管理し、カウンセリングや心理検査、メンタルヘルス講義、拳銃選手のメンタルトレーニングなど幅広く活動。6年目で退職し、フリーランスに。発達障害を支援する活動に力を入れている。‬>>HPはこちら

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年2月5日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。