発達障害で自分らしく働くために。安心してトライ&エラーができる場所

2019.02.01公開 2020.04.22更新

就労支援に10年以上携わるプロ

リミー
虫生さんは、リンクビー秋葉原のサービス管理責任者でいらっしゃるんですね。
虫生さん
はい。支援計画を作る責任者ですね。全員の担当者で、全員のプランを立てます。
リミー
いつからリンクビーさんにいらっしゃるんですか?
虫生さん
入社は2018年で、以前は横浜市で10年ほど、精神障害者のための就労支援のNPO法人で働いていました。
リミー
NPOから企業に移られてどうですか?
虫生さん
「やってみよう、楽しもう」という会社のコンセプトがすごく印象的だったんです。あとは、障害者求人サイトを持ちながらも、こういった就労支援の事業所も展開されているところにも惹かれました。

 

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リミー
ずっと、就労支援に携わっていらしたんですか?
虫生さん
いえ、実は最初のキャリアは、機械メーカーの企業からでした。それから、「人のことを考える仕事に就きたいな」とキャリアチェンジを考えるようになって、30歳で大学に行って社会福祉士の資格を取りました。
リミー
30歳で大学に入ってまで…。想いが強いですね。
虫生さん
そうですね。社会福祉士の資格を取った後、出会ったのが精神障害の方の就労支援で、それからずっと仕事をしています。
リミー
前職なども就労移行支援だったんですか?
虫生さん
最初に勤めた所は作業所でしたが、途中から就労継続支援B型に形態が変わりました。さらに、就労移行支援と就労継続B型の多機能型や就労継続A型でサービス管理責任者も経験しているので、一通り就労に関する福祉サービスには携わってきています。
リミー
すごいご経験ですね。もう最強な感じ…笑
虫生さん
ありがとうございます。笑
リミー
比較するのも変かもしれませんが、今の事業所と当時いた事業所での違いってありますか?
虫生さん
やっぱり、物事が進むスピード感ですね。「良いな」と思ったことをすぐに行動できるのは大きいと思います。
リミー
まさに、「やってみよう、楽しもう」という会社のコンセプトが体現されているということですね!

 

職業トレーニングと自己探求研修

リミー
プログラムについてお聞かせください。
鈴木さん
模擬の会社の社員として勤務し、適職を発見していく「職業トレーニング」「自己探求研修」。この2つがリンクビーの研修の主な柱と思っています。

 

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リミー
「職業トレーニング」とは?
鈴木さん
職業トレーニングは30ほど企画がありまして。1人でコツコツ入力するものから、ゼロから企画するものまで。あえて色々なテーマを入れているので、好き嫌い・得意不得意を知る機会になっています。
リミー
30の企画はすごいですね。ひと通り、経験するんですか?
虫生さん
はい。自分がやりたくないと思っていても、実は向いているなんてこともあるので。可能性を狭めないためにも、一通り取り組んでもらっています。
リミー
職業トレーニング、ひとつご紹介いただけますか?
虫生さん
例えば、ポスター作成といったテーマがあって、納期や進め方の計画を立ててもらいます。計画に沿って準備を進めてもらい、最終的に発表するという流れを大体2週間くらいで行っています。
鈴木さん
ポスター発表後は、上司役のスタッフなどからのフィードバックを受けて、「自分に合ってるか」「好きな仕事だったか」などを振り返ります。それを踏まえて、また次の模擬仕事に取り掛かっていくイメージです。
リミー
流れとしては、実践的でビジネスさながらですね。
虫生さん
そうですね。計画を立てることが苦手な方も多いですが、だからこそ、ここで試行錯誤してもらうことが大切だと思っています。

 

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リミー
計画を作り、実行してみて、成果物を作る過程において、自分では思ってもみなかった力に気がつくことも多いんです。
リミー
なるほど。でも自分で気がつけるものなんですか?
虫生さん
全然気づいていない場合もありますね。素晴らしい発表をした後ですら「自分はあまりよくできなかった」という自己評価の方もいたりするので…。
リミー
なるほど…。
虫生さん
ですので、良かった点は何度もしっかり伝えることがとても大事になります。
リミー
強みは無いのではなくて、あるけど気づいていないところが多いということですね。自己理解も大切になりますね。
虫生さん
「自己探求研修」がまさに障害特性を含めた自分自身の理解を深めていく内容になっています。
リミー
その自己探求研修ではどういうワークというかやるんですか?
虫生さん
テーマが21ほどあって、発達障害とか関係なく、私たちも考えるべきテーマごとに設定しています。

 

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リミー
たしかに。誰でも役立ちそうな内容になっていますね。
虫生さん
自己探求研修では、自分自身をまず振り返って、その後グループワークでそれぞれ出し合って、全体でもシェアするという流れになっています。
虫生さん
テーマごとにやっていくことによって「自分と同じ人がいる」という気づきもあるし、自分が知らなかった対処法が知れたり。
鈴木さん
グループワークで自分とは違う考えやアイデアを受け入れたり、認めることも大切なポイントです。
虫生さん
一つひとつの発表は、利用者さんを知る機会としてスタッフもすごく参考になっているんです。

 

 

グループワークとピアサポートの力

リミー
実践的なプログラムが多いと思いますが、そこにハードルの高さを感じる方もいそうな気も…
虫生さん
そうですね。もちろん、ビジネスマナー研修や「会社とは何か」を学ぶ研修もありますし、ご本人のペースに合わせてプランを作っていくので安心して取り組んでもらっています。

 

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虫生さん
グループワークでも「できるところは何か」を伝えて、できる範囲から参加してもらっています。ご本人のペースを大事にしているので、無理のない形で進められていると思います。
リミー
グループワークって緊張するのでありがたいです。
虫生さん
無理がないので、今日のグループワークも笑いが絶えずといったリラックスした雰囲気でした。チームワークの楽しさも経験してもらっています。
リミー
チームとして取り組む上で自信にも繋がりそうですね。逆にトラブルに発展することとかないんですか?
鈴木さん
もちろん、ちょっとしたトラブルはつきものです。でも、こちらがわざわざ介入していかなくても、利用者さん同士で解決できていることが多いですね。
リミー
そんなきれいに解決できちゃうんですか?
虫生さん
皆さん、「発達障害」という同じ障害をお持ちで、障害の特性理解の研修などもあって、ネガティブな面も理解し合えているところもあるんですよね。
鈴木さん
例えば、全然みんなの輪に入ってこない方に、寄り添う場面も見られて。「どうやってコミュニケーションを取ろうか」と考えながら動いているのを見ると率直に「すごいな」と思います。
鈴木さん
発達障害に特化していることからも、ピアサポートの効果は大きいように感じます。同じ障害だからこそ、理解し合える関係というか。そこはスタッフでは敵わない。利用者さん同士で学んだり気づくことがとても多いと感じています。

 

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リミー
自分の映し鏡のように見える部分もあるんでしょうね。
鈴木さん
スタッフもうまくサポートしているなと思って見ています。利用者さんが自分たちで解決できることもありますが、当然放置しているわけではないんです。気づかれないように「つなぎ役」として
リミー
まさに縁の下の力持ちですね。
鈴木さん
スタッフ間もすごく良いコミュニケーションが取れているんですね。
リミー
スタッフさん同士も良好な関係であるのは大事ですよね。
鈴木さん
ここは就労移行支援事業所ですけど、私は「お店」だと思っていて。
リミー
え、お店ですか?!
鈴木さん
お店に行ったときに店員さん同士が「なんとなく、関係悪そう」と感じたら、やっぱり嫌じゃないですか。そういうことってお客さんに絶対伝わってしまうので。

 

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リミー
たしかに。ちょっとスタッフさん同士がピリピリしてたら、こっちまで緊張しちゃいますよね。
鈴木さん
スタッフも「チーム」として支援しているので、スタッフ同士の関係も大事にしたいですね。

 

オンもオフも自分を出せる場に

リミー
土曜日も面白い企画を取り入れているとHPで拝見しました。
虫生さん
土曜日も力を入れていますよ。何事もオンとオフの切り替えって大事ですよね。ですので、平日の模擬職場モードから、土曜日はゆるゆるモードにしています。
リミー
ゆるゆるモード、いいですね!
虫生さん
土曜日はスタッフもゆるゆるです。笑 オフになっても自分を出せるような場にしたいという想いです。

 

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リミー
ちなみに土曜日はどんなことをやるんですか?
鈴木さん
利用者さんの提案で「持ち回り講師」という企画があります。中国語講座、歴史講座、ダンス講座…。みんなの前で発表したいものを交代で利用者さんに講師をしてもらっています。
リミー
利用者さんが好きなことを発表する感じですね。
鈴木さん
そうです。自習時間などを使って準備してもらいます。
虫生さん
みんなやりたがるんですよ。「いつやらせてくれるんですか?」みたいな声もあったり。笑
リミー
もう順番待ちみたいになっているんですね。
鈴木さん
私たちも一緒に発表を聞くんですが、すごく深いんですよ。
リミー
自分の好きなことを真剣に聞いてくれるという場っていいですよね。
虫生さん
他にも「リンクビーアワード」というのがあります。これも利用者さんからのアイデアで、みんなでみんなを褒めあおうという企画です。それぞれキラキラしているところをアンケートで出してもらって、それを集計して発表するんです。
リミー
めっちゃいいですね!しかも利用者さん発というアイデアなのも、チームワークの良さをすごく感じます。

 

安心な場で、安心なスタッフがいる

リミー
利用者さんと接するうえでどんなことを大事にしていますか?
虫生さん
まずは安心してもらえることですね。利用者さんにお話を伺うと、とてもつらい経験をされている方が多いんです。「ここは安心な場で、安心なスタッフがいて、何を話してもいいんだ」という安心感を持ってもらえることを大事にしています。
リミー
サービス管理責任者という立場で、ご苦労も多そうですが。
虫生さん
就労支援に長年携わってきたこともあり、苦労と感じることは少ないです。すごく人が好きで、誰に対してもすごく興味津々。お話をうかがえば、その方のすごく良いところが出てくるのが、この仕事の面白さのひとつですね。

 

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リミー
ありがとうございます!鈴木さんはいかがですか?
鈴木さん
自分ひとりでやりたいことをやるのではなく、チームとして接することが大切だと思っています。
鈴木さん
スタッフも価値観はそれぞれだし、やりたい支援というのも出てくると思うんですよ。それでも、「誰に何を提供するのか」を常に念頭に置いて、チームで支援することは大事だと思います。自分のやりたいようにやらないといった感じですね。
鈴木さん
支援するにあたって大事なことは、利用者さんをコントロールしようとしないことですね。
鈴木さん
「自分らしく生きる」がリンクビーの想いでもありますしね。

 

こんな人はリンクビ―へ!

リミー
最後にリンクビーさんにどんな人に来てもらいたいですか?
虫生さん
発達障害をお持ちの方で「働きたい」という思いがあればどなたでも、というのは大前提としてあります。
虫生さん
実際、発達障害の二次障害として、気分障害をお持ちの方はとても多いんです。うつ病や躁うつ病の症状がメインで出ている方もいらっしゃいます
リミー
職種としてはどうですか?
鈴木さん
プログラムの内容的にも事務職を希望される方が多いですね。見学後に5日間の体験もしていただけるので、そこでご自身に合うか判断してもらえればと思っています。
鈴木さん
あとは、「就職はできるんだけど、なぜが長く続けることができないな」ってお困りの方には是非来ていただきたいです。一緒に自己理解のお手伝いから伴走させていただきます。

 

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リミー
心強いです!今日はありがとうございました!

【リンクビー】

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  • 本記事は2019年2月1日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。