「精神疾患を隠さなくてもいい世界だったら、どんなに楽だろう」
今回は自身の不安障害と向き合いながら、学生時代にRemeのインタビュー記事制作にも携わってもらっていた久保佳奈子さん(@boon_chaaa)。
大学を卒業後、福井への移住、編集のお仕事、休職・退職を経て、現在は栃木と東京の2拠点生活でフリーランスとして活動されているとのこと。
今回のインタビューでは、フリーランス・2拠点生活の中で見つけた今の生き方についてお話いただきました。
目次
栃木と東京の2拠点生活
皆さん、お久しぶりです。久保佳奈子です。
学生時代にRemeのインターンとしてインタビュー取材などをさせてもらっていました。
現在はフリーランスとして、1ヶ月のうち、栃木に3週間、東京に1週間という感じで2拠点生活をしています。
栃木にいるといっても、地域活性のために何かするわけでもなく、ただただ家に引きこもってのんびり過ごしています。
自分が活性化しなくていい場所なので、むしろ非活性のために。笑
栃木にいると物理的に人に会えないので「引きこもっていい状態」で気持ち的に楽ですね。
もちろん、友達からのお誘いは嬉しいですが、今の体力がない状態では人と会うだけで疲れてしまったり、断ること自体が結構苦痛になってしまうんです。
物理的に離れていると、そもそものお誘いが少なくなりますし、断る場合でも相手と軋轢が生まれる心配も減って楽になりました。
そのため、完全に栃木に拠点を移すのではなく、月に1週間ほどは東京に来て、人に会ったりするのがほど良いですね。
休職中に休むことへの罪悪感
以前、移住していた福井から東京に帰ってきてからは、「とりあえずバイトしよう」とウェブメディアの校閲や編集ができる仕事を始めました。
たまたまバイトで入った会社でしたが、正社員登用されるようになり、1年ほど働いていました。
ただ、1年のうち半分以上が休職でした。一度は復帰したのですが、すぐにまた休職に戻ってしまい…。
バイトから正社員に変わり、仕事の忙しさに自分の体調がついていかず、プレッシャーもあったとは思います。
その一方で、できることが増えてきて「正社員になれるくらいに回復しているし、もう大丈夫」と勝手に断薬したり。
長い目で付き合っていかないといけないのに、過信していたのかなと思っています。
あとは、休職前に膀胱炎を患って救急車で運ばれて入院したのですが、そのときにメンタルがズーンと下がってしまったのが決定的でしたね。
1回目の休職時は入院期間が長かったのですが、病院以外は基本的に自宅にいました。
一日中、寝ていたり、
家の周りだけをちょっと歩いてみたり、
気晴らしに近くのスーパーで買い物したり、
体力的に元気なときはお料理をしてみたり。
私の場合はウクレレだったんですが、「集中できること」があると良いリフレッシュになっていました。
あと、薬を飲むことではなく、薬が無くなることに抵抗がありました。
「薬が無くなったのに、体調が悪くてすぐに病院に行けなかったらどうしよう」
という不安で、逆に薬が飲めない…みたいな。
それで先生には少し多めに薬を処方してもらうこともありましたね。
休職中は休職中で、休むことに対する罪悪感が辛かったです。
休むことって、悪いことでもないはずなのに罪悪感が芽生えてしまって、
「休んでいる自分」
「何もできない自分」
に対する自責の念がすごく強かったと思います。
1ヶ月に1回程度、定期的に会社の人と「来月、戻ってこれそう? 」という会話があるんですが、その度に、
「来月はどうしよう…」
「いつ戻れるかな…」
「そもそも戻りたいのかな…」
と悶々となってしまい、それが繰り返されるのでプレッシャーに感じてしまい、基本的に休職中は辛かったですね。
私の場合、一度復職してすぐに休職に戻ってしまったこともあったので、2回目の休職のときには「復職は無理かもしれない」と強く感じました。
休むことを認めるのがしんどかったのと、「どうやって休むか」を考えることがすごく難しかったなと当時を振り返って感じています。
会社員もフリーランスもエライ
それでも会社員を経験してよかったなとは思っています。
毎月、給与明細が届いてお金が振り込まれていることって、めちゃくちゃすごいことなんだなと。笑
最初は会社に入ることがすごく怖かったんですよ。
「やっていけるのかな」
「正社員で毎日通えなかったらどうしよう」
って。でも働き始めて1年経ち、いざ辞めるとなったら、今度は「辞めるのが怖いな」と思ったんですよね。
会社員じゃないのが当たり前だったのに、入社してたった1年の間で会社員でなくなることがすごく怖くなって。
フリーランスと会社員、どちらか良いかみたいな話ってよく話題になりますが、
「どっちもエライじゃん 」
と思うようになりましたね。
会社を休職しがちになってしまった頃は、
「もう何も続けることができないや」
「どこか1つにいられなくなっちゃった」
という辛さもありましたが、
「心が無理することを拒否してくれたから、無理を続けることをしないで済んだ」
とも考えられるようになれたので、会社員の経験は今の自信に繋がっているかもしれないです。
なにより「ダメでもなんとかなる」って身をもって感じることができましたしね。
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- 本記事は2019年5月7日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。