「人に受け入れられたいと思う人ほど、自分を受け入れてないのかもしれない」

2016.11.06公開 2020.07.11更新

看護師/産業保健師として働く人のメンタルヘルスに取り組む豊田春奈さん。

 

現在はご自身の出産の経験も活かして、産後ママのメンタルケアも兼ねて、ベビーマッサージのお仕事もされているそうです。

 

そもそも看護師を志したきっかけは、ご自身の精神的な疾患による入院があったと言います。

 

今回は、豊田さんご自身のお話もお伺いしながら、心の健康を高めていく上で大切なことなどについてお話しいただきました。

 

産業保健師ってどんな仕事?

私の最初のキャリアは、看護師から始まりました。

 

当時は、大学病院に勤務していましたが、夜勤などの勤務体系がなかなか自分と合わずに、1年くらいで辞めることに。

 

その後、ご縁があって産業保健師として仕事をすることになりました。

 

そもそも、保健師とは看護師国家試験に合格した上で、所定の保健師養成課程(1年以上)を修了し、保健師国家資格に合格した上で、取得できる免許です。

 

看護師は、療養中のお世話や診療の介助をする、つまり治療中の人を対象にします。

 

それに対して、保健師は、病気を抱えた人が日常生活を送るための支援はもとより、健康な人に対する病気の予防や健康増進を実施するなど、病気を抱えた人だけでなく健康な人も対象とします。

 

また、産業保健師は、産業保健分野のコーディネーター的な役割を担います。

 

産業医の先生や人事担当者などとチームを組み、その企業で働いている人の健康管理、健康増進をする仕事です。

 

たとえば、健康診断後の保健指導や『保健だより』のような資料作成や講話をしたり、管理職向けの講話、体調不良となった人の支援や環境整備などをしていました。

 

その中で、メンタルヘルスに関する相談を受けることも多かったです。

 

メンタルヘルスの問題で、産業保健師のもとに来られる方は、自ら相談にいらっしゃる方ももちろんいますが、全社員面談がきっかけだったり、上司からや同僚からの相談だったり、診断書を提出されてきたりと様々です。

 

実際に体調不良となった方が休職された場合は、復職プログラムの実施をしたりもしています。

 

産業保健師に至るまでの経験

実は私自身、中学生の頃に精神的な疾患があったんです。

 

ある日、家で突然倒れて、1年くらい入院しました。入院生活は結構長かったですね。

 

入院した経験もあって、メンタルヘルスの問題やカウンセリングにすごく興味を持ち、心理系の勉強をずっと自分なりにしていました。

 

きっと、自分が楽になりたかった面もあったかもしれません。

 

臨床心理士になりたいとも思っていました。

 

でも、親に「臨床心理士になりたい」と言った時に、すごく反対されましたね。

 

大学院に入らなければいけないことや、当時の就職難も反対の背景にありました。

 

また、臨床心理士として就職したからといって、あまり収入が得られない話も聞かされて、結局、親の了解を得られませんでした。

 

そこで、「臨床心理士に一番近いのは何なのか」と考えた時に、看護師が思い浮かび、「看護師になろう」と決めました。

 

看護師になったと同時に、保健師の資格も取っていたのですが、正直、保健師の仕事については全然知らなかったです。

 

その後、お世話になった大学の先生に、「産業保健師という仕事があるよ」と教えてもらうことがあり、そこでようやく知るようになった感じです。

 

自分が精神的に辛かった時には、カウンセリングにも通っていましたし、「あっ、もしかしたら私がやりたかったことは、産業保健師の方ができるかもしれない」と思って、看護師から産業保健師の道に進むことにしました。

 

完治を目指すとしんどい

産業保健師の仕事をする中で、最初は完治を目指すのがゴールだと思っていましたが、完治を目指すと「しんどいな」と、だんだん思うようになりました。

 

完治といっても、どこがゴールか分からないことが多いですし、何をもって完治とするかがすごく難しいように思います。

 

精神疾患の場合、急によくなることはほとんどなく、

 

「そういえば、最近しんどくなっていないな、調子がいいな」

 

と感じるようになってくるものだからです。また、ご本人の性格に因る部分も多いように感じています。

 

逆に、そんな状態の自分を受け入れてみることで、むしろ自分の個性の一つにしてしまうことだって、決して不可能ではないように思っています。

 

もちろん、個性といっても、それが強みになることもあるし弱みになることもあります。

 

だからこそ、自分がどういったときに気分が落ちやすいのか、どうやったら落ち込まずに済むのかを把握しておくことが大切です。

 

あとは、落ち込んだときに、信頼できる人や専門家など相談できる人や場所を確保しておくこと、自分のリフレッシュ法やストレス解消法をたくさんもっておくことが大切になります。

 

こういったことからも、完治を目指してしんどくなるのではなく、自分の個性に合わせて、セルフコントロールできる状態が理想ですし、ゴールだと思っています。

 

産業の分野で仕事をしていて感じることは、仕事がきっかけで何か問題が生じた場合は、勤務体系や職場を変えるなど、ストレッサーさえ取り除けば、すぐに良くなる方が多いことです。

 

その一方で、家庭のことで悩みがあったり、仕事以外で悩んでる方はなかなか状態が良くならないことが多くありました。

 

ただ、企業に属して働いていると、仕事以外の悩みにまでアプローチできないのが実情です。

 

そういった経験があったので、仕事の一面だけではなく、その人の困っていることに、出来る限り寄り添いたい気持ちが強くなり、個人での活動を始めるきっかけにもなりました。

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近藤雄太郎

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  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2016年11月6日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。

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