保健師の仕事内容や今に至る原体験とは?【豊田春奈さん:前】

2016.11.06公開 2017.02.20更新
 
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今回は、看護師で産業保健師の豊田春奈さんのインタビューをお届けいたします。

 

ご自身の出産の経験も活かして、ベビーマッサージのお仕事もされているという豊田さん。

 

産業保健師のお仕事内容から、なぜ産業保健師を志したのかなどを伺ってきました。

 

 

産業保健師という仕事

 

私の最初のキャリアは、看護師から始まりました。

 

当時は、大学病院に勤務していましたが、夜勤などの勤務体系が、なかなか自分と合わずに、1年くらいで辞めることになりました。その後、ご縁があって、産業保健師として仕事をすることになりました。

 

そもそも、保健師とは、看護師国家試験に合格した上で、所定の保健師養成課程(1年以上)を修了し、保健師国家資格に合格した上で、取得できる免許です。

 

看護師は、療養中のお世話や診療の介助をする、つまり治療中の人を対象にします。それに対して、保健師は、病気を抱えた人が日常生活を送るための支援はもとより、健康な人に対する病気の予防や健康増進を実施するなど、病気を抱えた人だけでなく健康な人も対象とします。

 

また、産業保健師は、産業保健分野のコーディネーター的な役割を担います。産業医の先生や人事担当者などとチームを組み、その企業で働いている人の健康管理、健康増進をする仕事です。

 

たとえば、健康診断後の保健指導や、健康教育という『保健だより』のような資料作成や講話をしたり、管理職向けの講話、体調不良となった人の支援や環境整備などをしていました。

 

その中で、メンタルヘルスに関する相談を受けることも多くありました。

 

メンタルヘルスの問題で、産業保健師のもとに来られる方は、自ら相談にいらっしゃる方ももちろんいますが、全社員面談がきっかけだったり、上司からや同僚からの相談だったり、診断書を提出されてきたりと様々です。

 

実際に体調不良となった方が休職された場合は、復職プログラムの実施をしたりもしています。

 

 

今に至る原体験

 

実は私自身、中学生の頃に精神的な疾患があったんです。ある日、家で突然倒れて、1年くらい入院しました。入院生活は結構長かったですね。

 

入院したという経験もあって、メンタルヘルスの問題やカウンセリングにすごく興味を持ち、心理系の勉強をずっと自分なりにしていました。きっと、自分が楽になりたかったという面もあったかもしれません。

 

なので、当初は臨床心理士になりたいと思っていました。でも、親に「臨床心理士になりたい」と言った時に、すごく反対されました。大学院に入らなければいけないことや、当時の就職難も反対の背景にありました。

 

また、臨床心理士として就職したからといって、あまり収入が得られないという話も聞かされて、結局、親の了解を得られませんでした。

 

 

看護師から産業保健師の道へ

 

そこで、「臨床心理士に一番近いのは何なのか」と考えた時に、看護師が思い浮かび、看護師になろうと決めました。

 

看護師になったと同時に、保健師の資格も取っていたのですが、正直、保健師の仕事については全然知らなかったです。

 

その後、お世話になった大学の先生に、「産業保健師という仕事があるよ」と教えてもらうことがあり、そこでようやく知るようになった感じです。

 

自分が精神的に辛かった時には、カウンセリングにも通っていましたし、「あっ、もしかしたら私がやりたかったことは、産業保健師の方ができるかもしれない」と思って、看護師から産業保健師の道に進むことにしました。

 

 

 

完治を目指すとしんどい

 

産業保健師の仕事をする中で、最初は完治を目指すのがゴールだと思っていましたが、完治を目指すと「しんどいな」と、だんだん思うようになりました。

 

完治といっても、どこがゴールか分からないことが多いですし、何をもって完治とするかがすごく難しいように思います。

 

精神疾患の場合、急によくなる、ということはほとんどなく、「そういえば、最近しんどくなっていないな、調子がいいな」と感じるようになってくるものだからです。また、ご本人の性格に因る部分も多いように感じています。

 

逆に、そんな状態の自分を受け入れてみることで、むしろ自分の個性の一つにしてしまうことだって、決して不可能ではないように思っています。

 

もちろん、個性といっても、それが強みになることもあるし、弱みになることもあります。だからこそ、自分がどういったときに気分が落ちやすいのか、どうやったら落ち込まずに済むのかを把握しておくことが大切です。

 

あとは、落ち込んだときに、信頼できる人に相談したり、専門家に相談したり、、あとは相談できる人や場所を確保しておくこと、自分のリフレッシュ法やストレス解消法をたくさんもっておくことが大切になります。

 

こういったことからも、完治を目指してしんどくなるのではなく、自分の個性に合わせて、セルフコントロールできる状態が理想ですし、ゴールだと思っています。

 

 

仕事以外の悩みをどうするか

 

産業の分野で仕事をしていて感じることは、仕事がきっかけで、何か問題を発症しても、勤務体系や職場を変えるなど、ストレッサーさえ取り除けば、すぐに良くなる方が多いということです。

 

その一方で、家庭のことで悩みがあったり、仕事以外で悩んでる方はなかなか状態が良くならないことが多くありました。ただ、企業に属して働いていると、仕事以外の悩みにまでアプローチできませんでした。

 

そういった経験があったので、仕事という一面だけではなく、その人の困っていることに、出来る限り、寄り添いたいという気持ちが強くなり、個人での活動を始めるきっかけにもなりました。

 

 

ベビーマッサージで親子の絆づくり

 

現在の個人での活動では、私も一児の母として、子供の世代から、心が健康に育って欲しいなと思いもあり、ベビーマッサージの資格も取って仕事をしています。

 

ベビーマッサージを始めた理由として、最初にできる人間関係の基礎は、母と子供の関係だと思っているからです。

 

実際に、子供の頃からの母親との関係や家族との関係が、成人してからのメンタルヘルスにも大きく影響していると感じることが多くあります。

 

子供が、心身共に健やかに成長するために、母親の心の健康は不可欠です。

 

育児は重労働ですし、母親自身が悩みを抱えていることも多い。だから、母親の心に寄り添える活動をしたいと考え、育児中の母親が気軽に相談できる場所づくりとして、ベビーマッサージを始めるに至りました。

 

実際、「カウンセリングします」と言っても、なかなか人は集まってくれないのですが、「ベビーマッサージ会しますよ」と言うと、気軽に参加してくれる親子が増えました。

 

ベビーマッサージでは、母親が子供に触れたり、話かけたりと、親子で触れ合う手段として、とても有効だと思っています。また、ベビーマッサージをしながら、親同士で色々な話をすることもリフレッシュになります。

 

ベビーマッサージを通じて、母と子供の絆もできていくので、母親自身が子供に笑顔で向き合ったり、子供のことを純粋に可愛いって思えるような、そんな場を作れればいいなと思っています。

 

 

健康じゃなきゃダメ

 

私も人のことを言えないんですけれど、社会人になって仕事をする上で、やっぱり精神的にも身体的にも健康じゃなきゃダメだと思っています。

 

日本の特性なのかもしれませんが、寝ないで仕事するとか、残業するとか、とにかく頑張るとか、自己犠牲が美徳な文化があるように思えてならなくて。

 

健康を疎かにしても仕事をすることを良しとする風潮は、まだまだ根強いように感じています。そういった社会の一面を変えていってほしいなって思う部分ですね。

 

 

後編はこちら

PHOTO by 齋藤郁絵

 

 

インタビューを受けてくださる方、募集中です

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【専門家の方へ】

臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、保健師、産業カウンセラー、支援機関の職員など、すでに多くの方にインタビューを行っています。ご自身が、有名かどうか、権威かどうかは関係ありません。

 

これまでの経験・取り組みや、ご自身の想いを読者に届けていただき、

Remeのミッションである「こころの専門家へのアクセスの向上」「こころの健康に関するリテラシーの向上」の実現のために、お力をお貸しいただけますと幸いです。

 

ご興味をお持ちいただけましたら、下記フォームよりお問い合わせください。24時間以内にご連絡いたします。

 

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