感情のコントロールができない…病気?セルフケアの方法は?精神保健福祉士が解説

2019.06.18公開 2019.07.08更新

感情のコントロールができないときに疑う病気とは?

感情をコントロールできず人間関係に失敗してきた…社会にうまく適応できない…

という方は病気や障害の可能性を探ってみましょう。

 

これまで感じてきた生きづらさが、治療によって楽になるかもしれません。

 

以下は感情のコントロールを苦手とする病気の一部となります。あくまで参考程度にして、自己判断は避けるようにしましょう。

 

①高次脳機能障害

高次脳機能障害とは、事故や脳梗塞などで脳にダメージを負うと人が変わったように感情的になることがあります。

 

脱抑制、易怒性と呼ばれ、感情の抑えがきかずにカッとなってしまうことが多いです。

 

場所にそぐわない下ネタなど、その人の発言とは思えないようなことも口に出やすいです。

 

②統合失調症

感情の振り幅が大きい理由には、妄想があることも考えられます。

 

通常では考えられないようなことから、

「近所の人が自分の悪口を言っている」

「同じ会社の人に自分が辞めるように仕向けられている」

など周囲からは判断の付きにくいことまで、妄想と呼べる範囲はさまざまです。

 

③発達障害

生きづらさの理由がはっきりしないことも多い発達障害ですが、脳が特異的な発達をしていることが特徴です。

 

自分の不快な感情がなんなのかわからなかったり感情を抑えることができなかったり、わあっと気持ちが高まり興奮やパニック状態になってしまいます。

 

④うつ

ストレスフルな状態が続き、うつの症状が出ると急に涙が止まらなくなったり、焦燥感からヒステリックに怒ってしまったりします。

 

うつというと感情的にはならないイメージがありますが、蓄積されたストレスによる過敏な反応を抑えられないことも多いのです。

 

 

セルフケアのポイントと病院に行くタイミング

感情豊かであるという個性と、病気との境界は、

「社会生活が送れているかどうか」

「本人が生きていくことに困っているか」

です。

 

怒りっぽい人、泣き虫な人、世の中にはいろんな人がいます。

 

自分も周囲もそれを個性として認め、生活が送れていれば治療しようと考えることもないかと思います。

 

しかし、自分で感情の振り幅に疲れ切っていたり、感情を爆発させてしまい仕事が続かなかったり、生活に影響が出たら病院を受診することをお勧めします。

 

また、気分や情緒を安定させる方法として瞑想を行うことをお勧めします。

 

瞑想と言っても、心を無にして悟りを開く…というものではなく、マインドフルネスという考え方をもとにしたやり方です。

 

マインドフルネスは自分の体や気持ちなど「今起こっていること」に集中し、心をストレスや無駄な考えから引き離す効果があります。やり方は以下の通りです。

 

①姿勢を整える

座って、背筋を伸ばし姿勢を整えます。

 

②呼吸を整える

2、3回深呼吸をして、呼吸を整えます。そして目を閉じましょう。

 

呼吸に意識を戻し、息を吸い込んだ時にお腹が膨らむ様子や、息を吐いたときにしっかりお腹がへこんでいくことを観察する気持ちで感じ取りましょう。

 

体の感覚に集中することが大切です。

 

③心を整える

関係のないこと、嫌な考えなどが脳裏をよぎることもあります。

 

「今、こんなことを考えているんだな」と客観的に受け止め、再び呼吸に意識を戻すようにしましょう。

 

5~20分程度行ったら、ゆっくりと目を開けて意識を戻していきます。

 

今起きていること、体に意識を向けることを続けると自然と感情に引っ張られてしまうことが少なくなると思います。

 

体の感覚を大切にすることや客観的に気持ちを受け止めることに慣れていくためです。

 

 

さいごに

感情をコントロールできないことは、自分も周りも苦しめます。

 

感情の振り幅によって自分自身が疲れてしまいますし、周りの人はいつあなたの機嫌が変わってしまうのかにおびえてしまいます。

 

喜怒哀楽を表現することは大切ですが、それに振り回されないようにセルフコントロールや治療をうまく取り入れていきましょう。

 

【関連記事】

>>感情がないと言われる原因と5つの対処法とは?精神保健福祉士が解説

>>嬉しい、楽しい感情がない原因はストレス?精神保健福祉士が解説

シェア
ツイート
ブックマーク

菊池恵未

精神保健福祉士

精神保健福祉士として、都内NPOにて精神障害者の支援を行う。就労支援担当として面接同行や就職後の業務メニュー作成などをしてきた。障害年金や生活保護受給の相談にものっている。JCTA日本臨床化粧療法士協会認定のもと臨床化粧療法士®として隔月でメイクアッププログラムを実施中。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年6月18日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。