【メラビアンの法則】言葉以外の93%と日常会話への活かし方を臨床心理士が解説

誰かと話をするとき、どんなところに注目するでしょうか。

 

表情やしぐさ? 話し方? 話の内容?

 

心理学では、人と人のコミュニケーションは、基本的には

①言語の内容や意味
②声のトーンや口調などの話し方
③表情や姿勢などの身体言語

の3つの要素からなっているとされています。

 

これらの影響について、様々な研究がされていますが、そのきっかけとなったメラビアンの法則というものがあります。

 

様々な分野で取り上げられている法則なので、耳にしたことがある人も多くいるかもしれません。

 

今回は、そんなメラビアンの法則について考えてみようと思います。

 

メラビアンの法則とは?

アメリカの心理学者メラビアン(Mehrabian.A)は、言葉以外の話し方や表情などの非言語コミニュケーションの影響について様々な研究を行っています。

 

その中で、コミュニケーションの3つの要素が矛盾した場合、相手はどの情報をうけとるのか、という実験をしました。

 

具体的には「好意」「嫌悪」「中立」のそれぞれの言葉、話し方、表情をバラバラにして相手に伝えます。

 

そして、相手は話している人の感情をどう判断したか。

 

結果は、言葉そのものの影響は7%だけである、という衝撃的なものでした。

 

 

言葉以外の93%とは?

では、言葉以外はどのような結果だったのでしょうか。

55%…視覚的な情報(表情、しぐさ)
38%…聴覚的な情報(話し方、声のトーン)

つまり、好意的な表情で嫌悪感のある言葉を中立的な話し方で伝えると、好意的な表情の印象の方が強い、と感じる人のほうが多かったのです。

 

この割合については、実験の環境が限定されていたことなどから、様々な意見があります。

 

メラビアン自身も「自分の気持ちや態度について話していない限り、これらの式は当てはまりません」と一般化をすることを避けるように話しています。

 

しかし、言葉の情報ではなくそれ以外の情報が及ぼす影響が大きいことはさまざまな研究においても報告されています。

 

話す声の高さやスピードによって話し手の性格の印象が異なっている(橋本、2017)ことや、表情と言葉が不一致状態だと片方の情報によって判断してしまいやすい(佐々木、2006)ことなどがあげられています。

 

一方で、言葉と態度が一致しないコミュニケーションは相手に心理的なストレスを与える、ともいわれています。

 

こちらは、「ダブルバインド理論」といわれ、アメリカの研究者のベイトソン(Bateson.G)が報告しました。

 

例えば、怒りながら強い口調で「好きにしなさい!」という言った場合。

 

言葉では「好きにしてよい」と許可をしていますが、実際は怒りの表情や強い口調から「好きにするな!」という意味を持つものになり、それを言われた相手はとても混乱してしまう、といわれています。

シェア
ツイート
ブックマーク

飯田杏奈

臨床心理士

心理系大学院修士課程を修了後、臨床心理士資格を取得。教育機関や療育施設、カウンセリングルームにて勤務。未就学児から大学生、大人までさまざまな悩みに向き合っている。一児の母として子育て奮闘中

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年9月18日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。