臨床心理士によるうつ病への治療方法について教えてください(10代・女性)

佐藤文昭

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佐藤文昭
臨床心理士

 
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ご質問

都内の高校に通っています。臨床心理士のうつ病患者に対する治療方法について質問があるためご連絡させて頂きました。

 

質問内容は以下の通りです:

 

1. うつの進行状況(発症期、急進期…など)によって臨床心理士側の対応方法は変わりますか?

 

2. (1に関して)もし変わるのであれば、それぞれについて教えていただきたいです

 

3. 臨床心理士にできる、話を聞く以外の治療方法はありますか?

 

4. より早い回復のために臨床心理士がしなくてはならないことは何ですか?

 

5. うつ病は治りかけの時期は、周囲の期待がプレッシャーになったり、体力が回復して自殺しやすいと聞きます。

 

これは、どのような心理学的証拠に基づいたものなのでしょうか?

 

お忙しい中大変恐縮ではありますが、どうぞよろしくお願い致します。

回答

初めまして。ご質問いただき、ありがとうございます。

 

うつ病患者に対する臨床心理士の支援方法についてのご質問ですね。

 

以下に、あなたからの質問にお答えしたいと思います。

 

1. うつの進行状況によって臨床心理士側の対応方法は変わりますか?

 

はい。進行状況により対応は様々です。

 

2. (1に関して)もし変わるのであれば、それぞれについて教えていただきたいです。

 

発症して間もない「初期」の頃は、「休息」が第一になるので、まずは心身ともに休息するよう促します。

 

心を休めることができるようになると、ぐっすり眠れるようになったり、ご飯を食べられるようになってきます。これが一つの目安になります。

 

心に少しずつエネルギーが溜まってきた段階で、「うつ病の発生メカニズム」や「再発の予防」について心理教育を行います。

 

「中期」では、症状が徐々に長引き始めていることが多いので、その背景を一緒に探っていきます。多くの場合、認知(考え方)を修正していくようなアプローチを取っていきます。

 

これが「認知行動療法」というアプローチ法です(詳しくは書きませんが、ご関心がありましたらぜひ調べてみて下さい)。

 

うつ病患者の陥りやすい考え方の癖を見つけ出し、より楽な考え方へと変換できるようサポートしていきます。

 

「長期」では、長期的(慢性的)にうつ状態を引き起こしている「パーソナリティ(人格)」、あるいは「家族関係(親子関係)」にアプローチをしていきます(これについては、ここでは詳しいご説明は省略します)。

 

※ この他、うつ病患者を抱えるご家族や配偶者にも、接し方の注意点やポイントなどをお伝えする場合もあります。

 

3. 臨床心理士にできる、話を聞く以外の治療方法はありますか?

 

話を聞くというスタンスは、「傾聴」という姿勢ですが、これらは心理療法のベースになっています。

 

この姿勢があって、初めて相談者と信頼関係を築いていくことができるので、必要最低限の姿勢だと覚えておいて下さい。

 

その他にも様々な支援方法はあります。認知行動療法が一つの例です。

 

4. より早い回復のために臨床心理士がしなくてはならないことは何ですか?

 

患者さんと出来るだけ早く「信頼関係」を築いていくことです。

 

カウンセリングや心理教育などは、信頼関係があって初めて効果を示してきます。

 

5. うつ病は治りかけの時期は、周囲の期待がプレッシャーになったり、体力が回復して自殺しやすいと聞きます。これは、どのような心理学的証拠に基づいたものなのでしょうか?

 

うつ真っ只中の状態は、心のエネルギーが底を尽きている状態です。これが少しずつ充電されてくると、ヤル気が出てきて、実際に出来ることが増えてきます。

 

そうすると、「もっとできる!もっとできるはずだ!」と自分にプレッシャーをかけて、自分では気が付かないうちに頑張ってしまうことがあります。

 

当然、周囲も「そろそろ○○くらいできるではないか?」などと淡い期待やプレッシャーを本人にかけてしまうことになります。

 

しかし、気分には波がつきものなので、頑張った分、疲れがどっと押し寄せてきます。

 

その時に自殺の危険度が一気に高まってしまうのです。

 

周囲の期待に答えられなかった自分や「もう大丈夫だろう!」と思っていた自分に幻滅してしまい、「自分なんて生きていてはダメだ。生きている価値がない」などという心理が働くことで、自殺の可能性が高まってしまうのです。

 

ですから回復期では、調子が良い時こそ、疲れを注意深くモニターして、疲れたと思ったら、しっかり休むという習慣を身につけることが大切になります。

 

その他、何か不明な点やご質問などありましたら、いつでもご相談ください。

佐藤文昭

佐藤文昭

臨床心理士

おやこ心理相談室 室長

詳しい情報・お問合せはこちら

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