【第10話:父の通院】〜お父さんうつ日記〜
前回、父の診療の予約を取った話を書きましたが、今回は、実際に予約日がやってきて、クリニックに行くときのお話しです。
父の予約は朝の9時。
この時間に予約したのは、午後から大学の授業があったためです。
朝、父に「今日9時に予約取ってあるよ」と伝えたら、「えっ…ああ。」という反応をしました。
音声だけ聞くと、「え?忘れてたの?」と思ってしまいそうな反応ですが、父の表情から予約をきちんと覚えていたことが分かりました。(絵では上手く表せなかったのが残念ですが)
なんで分かったか、と聞かれると答えにくいんですが、父はあの時、忘れていたふりをしたんだと、すぐに感じました。
診察券にもメモしてあるし、リビングのカレンダーにもメモしてあるし、何より父にとって一番心配な用件なのに忘れてたはずはないと思うんです。
でも、なんで忘れたふりをしたんでしょうか。
不安だったんでしょうか。不安だからこそ、忘れたくて、あたかも忘れてたかのような反応をしたんでしょうか。
忘れてしまうほど、自分にとってはちっぽけなことなんだと思いたかったのかな。考えて分かる訳ではないんですが、この時の父の反応はすごく印象に残っています。
家を出る時間が迫ると、父はとてもそわそわしだしました。
私が着々と外に出る準備を進めている時、父は「どうしよう。やばいよ。」とつぶやいていて、あまり自分は準備しようとしません。
「さぁ、家を出るぞ」という時になったら、結局、準備はしていたんですが、自転車に乗っても「どうしようどうしよう」の嵐はやまないし、私と父の自転車の距離は開くばかり。
父の“通院”というものへの拒否反応が、これでもかというほど、はっきり表れていたと思います。
この時の私の気持ちはどうだったかと言うと、正直言って「だってしょうがないじゃん」と思っていました。
どんなに診療が嫌でも、治すためには治療は必要なことだし、休職期間を延長するなら診断書を書いてもらわないといけないじゃん、と。
診療を不安がる父を見ても、あまり同情できなかったなというのが正直なところです…。ダメですかね。
【第11話を読む】
【執筆】
シブ子
【うつ病まとめ記事】
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- 本記事は2017年4月1日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。