カウンセリング=精神疾患?カウンセリング活用術を米国認定カウンセラーが解説

2017.08.22公開 2019.05.16更新

困った時、悩んだ時、混乱している時、自信を失くした時、みなさんはどうしていますか?

 

一人でゆっくり時間を取って考えてみる、書き出してみる、運動してスッキリする…などなど、いろんな方法がありますね。

 

今回は、そんな時の対応の一つとして、心理カウンセリングについて紹介します。

 

 

そもそもカウンセリングとは?

最近では「カウンセリング」という言葉を一般的に耳にすることが多いです。

 

カウンセリングと言っても、いろんな分野においてカウンセリングがありますが、ここでは「心理カウンセリング」「メンタルヘルスカウンセリング」として進めます。

 

さて、カウンセリングと聞いてみなさんは何を思い浮かべるでしょうか。

 

話を聞いてくれる、アドバイスをもらえるなど、漠然と話をする場所というイメージがあるかもしれませんね。

 

もちろん、話をする場所ではあるのですが、なぜ、わざわざ自分を知らない人に話を聞いてもらう必要があるのか、どんなメリットがあるのかという疑問を持つ人も多いようです。

 

カウンセリングは、

・自分の経験や症状

・困っている事や悩み

といったことを考えをカウンセラーに話すことで、

・自分だけでは気づかなかった本当の自分の気持ちや考え

・自分の行動や言葉の背景にある意味

などに対して気づくことができるようになります。

 

そのような様々な気づきを整理することもでき、そこからどうしたいか自分の意思を考え知ることで、何をするか、何ができるかが分かります。

 

このような作業をカウンセリングで繰り返すことで、困難と思う状況を自分で対応することができるようになります。

 

つまり、心理カウンセリングは

自分の本当の気持ちや考えを意識化し、自分の意思と能力で状況に応じた対処をするためのプロセス

と言えます。

 

また、苦手な考え方や伝え方、行動などを練習することもできます。

 

 

カウンセリングは1対1で話すだけ?

さて、ここまでのカウンセリングというと、個々の悩みを話す個人カウンセリングをイメージする人が多いと思います。

 

しかし、カウンセリングにはいろいろ種類があり、形式としては、

・個人カウンセリング

・カップルカウンセリング

・グループカウンセリング

・ファミリーカウンセリング

などがあります。

 

カウンセリングの内容は様々で、特定の疾病を対象とするものもあれば、疾病という制限がなく、日常生活で困難に感じていることを話すものまであります。

 

 

自分の悩みは自分でどうにかすべき?

日本ではまだまだ、カウンセリングを受ける=精神疾患があるという印象があるようです。

 

そのため、悩んでいてもカウンセリングを受けるほどではないか…と思い、今一つ利用に踏み切れない人も多いようです。

 

また、日本には各家庭の悩みは各家庭でどうにかするべきという暗黙のルールのようなものがあります。

 

そのような文化で育つため、自分の悩みは自分でどうにかすべきという考えを多くの人が持っているように感じます。

 

 

アメリカの場合はどうか?

一方で、アメリカでは、同じように自分の悩みや弱みをさらけ出すことに抵抗があるものの、基本的にはオープンなスタンスであるため、様々な形式のカウンセリングの活用が広がってきています。

 

学校では当然のようにカウンセラーがいつもいるため、友人との問題や思春期の悩みなどを相談します。

 

学校・部活・プライベートの時間の使い方や、コミュニケーションについて、本当に大切にしたいこと、優先したいもの、伝え方などを整理しながら練習します。

 

例えば、アメリカの学生は、友人や恋人との関係について悩み相談するケースが多いようです。

「友人と恋人、どちらの時間も大切にしたい」

「友人の誘いを断って嫌われるのが怖いので断れない」

「他の子と比べて見た目が気になる…」

など、多くの人が思春期で多かれ少なかれ気にすることを相談します。

 

 

カップル同士や家族間の悩みも

もちろん、友人関係の悩みだけでなく、家庭でのコミュニケーションがうまくいかない…といった場合にもカウンセリングは活用されます。

 

たとえば…

・親の気持ちを考え、自分の考えを伝えられない

・子供のことを過度に心配してしまう

・両親が不仲なため子供が悩みを抱え込む

などの状況は多く見られる問題です。

 

穏やかな仲の良い家庭にしたい気持ちがあるけれど、どうしても感情的になりうまくコミュニケーションが取れないとき、家族全員でファミリーカウンセリングに参加することがとても効果的なことがあります。

 

同様に、カップルカウンセリングは家族全員ではなく、両親の関係が不安定な時には両親のみが活用します。

 

また、恋人同士で、誤解が多くて喧嘩も多い、束縛が強いなどの悩みがある場合も、カップルカウンセリングへの参加が有効なことが多いです。

 

 

カップルや家族でのカウンセリングの流れ

カップルやファミリーのカウンセリングは、第3者であるカウンセラーが介入することで、普段は感情的に直接相手に言ってしまう言葉を、まずカウンセラーに対して「自分はこういう考えだ」ということを伝えます。

 

そうすることで、伝える側も冷静に伝えられ、聞いている側も、直接相手の言葉を受けない分、冷静に話を聞いて理解することができます。

 

また、時には、カウンセリング内で直接相手に話すこともありますが、カウンセラーは双方の発言を聞いて、状況を理解しているため、お互いの伝えたいことの本質をカウンセラーが整理してくれます。

 

そのため、お互いの言い分が、言葉や印象として違っていても、実は同じ方向を向いていることなどを確認することができます。

 

このように、うまく介入者の協力を得ることで、会話をスムーズに進めることができると、誤解が解け、お互いに冷静に話すことの重要性を感じるようになります。

 

そうすることで、カウンセリング以外でも冷静な会話に努めようという意識が高まって、関係の回復にも繋がります。

 

 

同じ経験をしてないから分からない?

カウンセリングを受ける上で、

「自分と同じ経験をしていないから分からないだろう」

と、考えを飲み込んでしまわないようにすることも重要です。

 

カウンセラーは全ての悩みや感情を理解できるわけではありませんが、共感し、相談者にとってその体験や考えがどのような意味があり、どう影響しているかを一緒に整理します。

 

そうすることで、相談者は自分の体験の理解と影響に改めて気づくことができ、今後の自分の生活の改善に活かすきっかけにできます。

 

 

「そうか!」という発見がある

1人で考えると悶々とし、主観や感情からマイナス思考が広がり、冷静な考えやプラスの考えに気づけなくなることが多いことは想像しやすいと思います。

 

だからこそ、利害関係のないカウンセラーと話してみて、狭くなった視野を広げ冷静に考えることで、出来事や自分自身、他者のプラスの面にも目を向けることができるようにしていく必要があります。

 

そうすることで、

「ああ、そうか」

「これでいいのか」

「そういう考え方があるのか」

と発見を得られるのではないでしょうか。

 

 

カウンセラーとの場作りも大切

カウンセラーとの相性もあるので、合わないと感じることもあるかもしれません。実際に、相性はカウンセリングの効果に大きな影響を与えます。

 

しかし、日常生活の人間関係と同じく、初めから相性の良いカウンセラーに会えるとも限りません。

 

同じ空間に居ること自体が不快と思うほどの相性でなければ、すぐに諦めてしまわず、

「どのようなカウンセリングであれば話しやすいか」

をカウンセラーと一緒に話し、自分にとってリラックスして話しやすい関係を築いてみてください。

 

安心して何でも話せると感じられるカウンセリング環境をカウンセラーと相談者が一緒に作り上げていくことが大事です。

 

 

気分や自信の低下予防にも

カウンセリングは、「精神疾患を持っている人が受けるもの」「深く大きな悩みを話すところ」という印象を持たれがちです。

 

しかし実際には、処理しきれない悩みで落ち込み、

・言葉にも出せない状態になる前に、

・冷静に事実を見つめ直し、

・頭の中を整理して、

・どのように対応するかを決める

ために活用するところであり、気分や自信低下の予防として役立てることが大事です。

 

みなさんの生活や人生を健康に過ごすため、カウンセリングを活用し、毎日を過ごしやすい考え方や伝え方を身に付けることに役立ててみてください。

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髙田尚恵

米国認定カウンセラー認定証取得

ニューヨーク州立大学プラッツバーグ校大学院カウンセラー教育学部メンタルヘルスカウンセリング学科にて修士号取得。メンタルヘルスカウンセラーとして勤務し、個別カウンセリング、カップルカウンセリング、心理教育などを提供。帰国後、メンタルヘルス不調による休職・離職者の社会復帰を支援。米国認定カウンセラー認定証取得(National Certified Counselor Certification)、ニューヨーク州基準臨床メンタルヘルスカウンセラー国家試験合格(National Clinical Mental Health Counselor Examination for New York)、臨床トラウマプロフェッショナル認定証取得(Clinical Trauma Professional Certification)

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2017年8月22日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。