【臨床心理士解説】機能不全家族で育ち恋愛ができない…恋愛苦手意識を取り払うには?
人間関係の中でも特に深い人間関係になるのが恋愛。特に機能不全家族で育った影響で恋愛に対してネガティブな気持ちになってしまうことがあります。
そのため恋愛に対する心理的なハードルが上がってしまい、自ら恋愛を遠ざけてしまいがちになってしまうことも容易に考えられます。
そこで今回は、機能不全家族で育ったことでの恋愛への影響について、心理的なハードルとその対処法を中心に臨床心理士に解説いただきました。
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機能不全家族で育ち恋愛への苦手意識が出る背景
恋愛関係が対等な関係だと思えない
恋愛のイメージが形成される子どものころ、恋愛関係のモデルとして一番身近に見てきたものが、両親の関係であることは少なくありません。
例えば、
子どものころから父親が母親に対して支配的でいつも母親を馬鹿にしたり怒鳴ったり、ひどい場合には暴力をふるっていて、母親はただそれに耐えているだけ・・・
という光景をよく見ていたとしたら、恋愛関係でイメージするものが「支配するものと従うもの」といった上下関係となってしまうこともあります。
そうすると大人になってから自分が恋愛をするとなったときにそのイメージが邪魔をしてしまい、相手に心を許せずにうまくいかなくなることがあります。
恋愛関係をただの依存関係だと感じる
これもまた、機能不全家族の中から生まれた恋愛に対する不健全なイメージが影響しています。
例えば、恋愛について考えたときに「男なんていなくても生きていける」と思うのは、恋愛関係がパートナーの男性に依存するものだ、という考えが前提となっている可能性があります。
というのも、誰しもがその人がいなくては生きていけないから恋愛をしているわけではないからです。
また、逆に相手から依存されて自分の自由が奪われるイメージを持つ場合もあります。
どちらにしても、恋愛への心理的ハードルを下げようと思うのなら、恋愛に抱いている依存的なイメージを変えていく必要があります。
「どうせこの人に自分のことなんてわかってもらえない」と思う
子どものころから親に大切にされた体験が少なく、自分の気持ちを受け入れてもらえないと、大人になったときに自分の気持ちを分かってもらうことに対して諦めの姿勢になってしまうことがあります。
誰かと親密な関係になりたくても、自分の本当の気持ちを話すことに抵抗感や不安感を感じてしまうのです。
というのも、自分の気持ちを伝えたときに受け入れてもらうどころか相手に急に怒り出されたり、馬鹿にされたり、歪曲して受け止められたりして辛い思いをした経験があるためです。
そのため、恋愛関係になろうと思っても相手に自分の気持ちを分かってもらうことを諦めて心を閉ざしてしまうのです。
上記のいくつかの恋愛に対する心理的なハードルを取り払うには、以下のポイントがあります。
恋愛への苦手意識を取り除くには?
恋愛を人間関係の中で特別視しない
例えば、職場でたまたま同じ時期に入社したことをきっかけに話してみたら何となく気が合って友達になった、というように人間関係は特に気負わずともいつの間にか生まれることがあります。
恋愛も人間関係の一種ですので、恋愛関係だけを特別に意識する必要はありません。
わざわざ「恋愛をしなきゃ」と思う必要も「恋愛なんてしたくない」と思う必要もなく、人間関係の自然な流れに任せてしまうのも手です。
ただ、恋愛をしてみたいという気持ちが強くありながらも、心理的なハードルのためになかなか一歩を踏み出せない、という場合には、実際にどんな恋愛がしてみたいかをイメージするところから始めてみてください。
具体的な理想があると、日常生活の中で自分の理想に近い恋愛を見つける機会があるかもしれません。
まず自分が自立する
自立、とは経済的な面だけでなく、精神的な面についてもいえることです。
例えば、成人しているのならば自分の収入である程度生計を立てられ、自分一人で楽しく過ごせる時間を持っていることなどです。
一人でも十分満足しているけれど、恋愛で二人になったらさらに楽しく満足できる、という状態ならば依存する必要もなく、対等な関係性で恋愛を楽しむことができます。
恋愛を楽しんでいる人の話を聞く
誰かが恋愛の話を自分からする時は、大抵恋愛に対して悩みがあるとき・相談したいときです。(時折過度なのろけ話もありますが)
そんな話ばかりを恋愛の話として聞いていると、恋愛が悩みばかりの辛いもののように見えてきます。
そこで、普段から楽しく順調な恋愛をしている人に話を聞いてみるのも、ネガティブな恋愛に対するイメージを払拭し、心理的なハードルを取り払ういい機会になります。
恋愛をすること・相手を好きになることがどんなものなのか、ポジティブなイメージの参考になります。
また、自分がどんな恋愛なら楽しめるかを考えるいい機会にもなるのではないでしょうか。
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【参考・引用文献リスト】
〇西尾和美(1999):機能不全家族 「親」になり切れない親たち、講談社
〇岸見一郎、古賀史健(2013):嫌われる勇気、ダイヤモンド社
【参考ホームページ】
〇子供虐待防止オレンジリボン運動(2022)
子ども虐待とは
https://www.orangeribbon.jp/about/child/abuse.php
(2022年8月10日閲覧)
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2022年9月20日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。