【臨床心理士解説】完璧主義の原因は幼少期の愛情不足?親のせい?4つのパターン

2023.02.07公開 2023.02.15更新

幼少期の親からの愛情不足をはじめとした関わり方が、完璧主義な性格をはじめ、大人になってから何かしらの影響を与えることは確かにあり得ることです。

 

「愛情不足」とは意外と曖昧なもので、親の目線からすると一生懸命愛情を込めて関わっていたつもりでも、子供からすると全く愛情を感じられない、ということだってあります。

 

そこで今回は、完璧主義に影響を与える親との関係や親の関わり方を具体的な例を臨床心理士に解説してもらいました。

 

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(例1)親自身が完璧主義

幼少期から一番身近な大人である親の行動パターンは、子どもにとってとても影響があります。

 

知らず知らずのうちに親の考え方、行動が自分のパターンとして染み付いてしまうというのはよくあることです。

 

親が完璧主義な性格によって社会的に成功していたり、家庭が円滑に回っていたりすると、子どもにはその考え方が正しいものとして幼少期からインプットされるので、本来の自分に合った考え方ではなかったとしても完璧主義な性格になってしまうことがあります。

 

(例2)親から子への期待・要求水準が高すぎる

いわゆる「教育ママ・パパ」と呼ばれる親だった場合がこれです。

 

例えば学校のテストで80点をとったとします。そうすると親から、

「次は100点とれるよ」

「できなかった問題は必ず次はできるようにならなきゃね」

「このくらいの問題ならあなただったら満点取れたはずだよ」

「もっと頑張れば100点とれるよ」

「100点以外は意味ないもんね」

などと、励ますように声をかけられることがあります。

 

または、間違った問題を何度も徹底的に復習させられたり、時には「勉強する環境が悪いのでは」と部屋の片づけや勉強机の整頓をとことん求められることもあります。

 

「やればできる子」と期待され、勉強や身の周りのことについて今よりも上の成果を求められます。

 

たとえ親からすると良かれと思ってやっていたことだとしても、期待に応えようとする子どもにとってはプレッシャーとなり、

「ちゃんとしなきゃ」

「もっといい成績をとらなきゃ」

「いつも頑張っていないといけない」

と常に自分を追い立てるようになっていきます。

 

すると、高い理想に向けて頑張っている状態が当たり前、手を抜くなんてとんでもない、という自分に厳しい考え方になってしまい、結果として完璧主義な性格となっていきます。

 

(例3)親が子を過剰に叱ってばかりいる

例えば、

 

決まった場所に置いていたカバンをたまたま違う場所に置いていた

 

手の洗い方がいつもより適当だった

 

お手伝いの洗濯物がきれいに畳めなかった

 

といった、特に危険もなく、生活に大きな支障が出ないようなことでも頻繁に強く怒られる場合です。

 

誰にとっても怒られることは嫌なことで、できれば避けたいものです。

 

どんな些細なことでも強く怒られてしまうような幼少期を過ごすと、次第に些細なことに対しても過敏に気にするようになっていきます。

 

誰かに叱られないように、ひいては自分自身を守るために、前もってミスや失敗が無いよう準備を徹底的にするようになり、次第に完璧主義な性格になっていきます。

 

(例4)親が過保護

「転ばぬ先の杖」という言葉があります。

 

例えるなら可愛い我が子が転んでしまわないように、親が前もって杖を渡す様な関わり方をする場合にも、完璧主義な性格が生まれる可能性があります。

 

例えば、

学校の授業に子どもがついていけなくて困ることのないように親が事前に授業の内容を家で教える

 

遊具でケガをしないように遊具の使い方を細かく説明してから遊ばせる

 

友人関係で悩まないように「あの子とは遊んじゃダメ」「あの子と仲良くしなさい」と親が選んだお友達と遊ばせる

など、我が子が失敗しないようにと親が頑張ってしまうパターンです。

 

失敗するという経験が圧倒的に少ないまま成長するため、いわば「失敗」に対する免疫がないままに大きくなってしまいます。

 

そうすると、大人になってからも失敗することへの不安が強くなり、不安の元である失敗を減らそうとするようになります。

 

そうして、失敗をしないようにあらかじめ細かいところまで整えていないと安心できない、完璧主義な性格となっていきます。

 

さいごに

以上のような親との関係から完璧主義な性格が生まれることはあります。

 

ただ少し注意が必要なのが、完璧主義の原因が全て親にあるとは言い切れないことです。

 

元々生まれ持った性格や育った環境(地域柄や友人関係など)、幼少期に親以外の人から受ける影響などが完璧主義に影響を与えることも多々あります。

 

また、もしもご自身が完璧主義で悩んでいる原因を幼少期の親からの愛情不足だと感じているならば、ひょっとしたら親からの「完璧な愛情」を求めるという完璧主義的な考え方からくるものかもしれません。

 

幼少期のあなたに対して完璧な(あなたにとって満足できる)関わり方ができなかった親を許すことが、完璧主義な性格からあなたが解放される第一歩になるかもしれませんよ。

 

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福丸みお

臨床心理士/公認心理師

臨床心理士・公認心理師。大学院修了後、精神科やメンタルクリニックにてカウンセリング業務やデイケア、生活相談等に従事。心の病から日常生活での悩みまで幅広く対応し、多くの相談者の心に寄り添う。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2023年2月7日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。