【臨床心理士解説】完璧主義で失敗が怖い…失敗を引きずる…失敗した時どうしたら?

2023.02.13公開 2023.02.18更新

完璧主義で失敗を怖く感じるという場合、ポイントとなるのは、

「完璧主義だから失敗が怖い」のではなく、「失敗が怖いから(結果として)完璧主義になった」

ということが多々あるという点です。

 

そのため、失敗を恐れなくなるために完璧主義をやめよう、と思ってもうまくいかないことが多いのです。

 

大切なのは「失敗が怖い」という気持ちにアプローチすることです。

 

そこで今回は、完璧主義で失敗が怖い気持ちへの対処法について臨床心理士に解説してもらいました。

 

【関連記事】

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①「まぁ、いっか」を口癖にする

失敗を過度に怖がってしまう背景の一つに、

「失敗したら何か取り返しのつかないことになるんじゃないか」

という漠然とした不安が隠れていることがあります。

 

それは幼少期のしつけがきっかけかけになることもありますし、何か実際に取り返しがつかなくなったエピソードを見聞きした経験からくることもあります。

 

しかし、取り返しのつかない失敗というのは日常生活では意外に少ないもの。

 

多少の失敗は大きな問題にならないことや、場合によっては誰にも気づかれずに特に何も影響を及ぼさないことだってあります。

 

自分で何かに失敗したと思った時、何かを考える前にまず「まぁ、いっか」と声に出す癖をつけてみましょう(周りに人がいる時には心の中でも良いです)。

 

失敗に対してワンクッション置くことができ、反射的に不安になったり怖くなることを緩和してくれます。

 

そこから失敗について冷静に、「これはどのくらいの問題になる失敗なのか、このあとどうしたらいいか」について見直します。

「まぁ、いっか」で失敗から心理的な距離をとったうえで現実的な吟味をする

ということを繰り返すうちに失敗に感じていた漠然とした不安は軽くなってきますよ。

 

②自分に優しいもう一人の自分を作る

失敗を引きずってしまう時を少し思い出してみてください。

 

失敗について、自分で自分を責めていませんか?

 

「もっとこうしていれば」

「もっと練習していれば」

「どうしてできなかったの」

「あんな失敗、恥ずかしい」

 

など、自分に対して厳しい言葉を向けていませんか?

 

失敗を引きずる背景の一つに、失敗した自分を自分自身で責めてしまって落ち込んでいるパターンがあります。

 

周囲の人から言われるのと違い、自分で厳しい言葉を投げかけるのは24時間可能です。

 

そのため、いつまでも自分が落ち込む言葉を反芻してしまって失敗を引きずってしまうのです。

 

そんな時におすすめなのが、自分の中にもう一人の優しい自分を作ってあげることです。

 

例えば、同じ失敗をしたのが自分ではなく大切な友達だったら?

 

自分にかける厳しい言葉とは違い、優しい励ましの言葉が出てくるのではないでしょうか。

「次はうまくいくから大丈夫」

「こんな失敗、大したことじゃないよ」

など、前向きな言葉で自分自身をフォローしてあげてください。

 

③初めから「合格」の最低ラインを決めておく

失敗について考えるとき、大切なのは何をもってそれを失敗だとみなすかです。

 

失敗に対して怖さを感じている人の中には、そもそものゴール設定の内容が厳しい人がいます。

 

そうすると、周囲から見れば全く失敗ではないことでも、このゴール設定が高いことで「でも、○○できなかった」というように失敗だとみなしてしまうのです。

 

自分の中ではそれが失敗だと確信してしまっているため、いくら周囲の人が本心から「よくできている」「問題ないよ」と言っていても心に響きません。

 

「自分を慰めるためにそう言っているんだ」くらいにしか思えないのです。

 

失敗したという思いをなかなか周囲から理解してもらえないことで、一層失敗に対するネガティブな気持ちが生まれ、失敗自体にアレルギー反応を持つようになってしまうのです。

 

そういった場合には、初めの目標設定を明確にすることをおすすめします。

 

例えば、自動車教習所で初めて車を運転するとき、を想像してみてください。

 

誰だって最初からうまくカーブを曲がれませんし、時速30キロでもかなりのスピードが出ているように感じます。真っすぐに道を走ることも難しいものです。

 

ところが、この初めての運転に対して「普通(運転し慣れている人のよう)に運転して教官に褒めてもらう」をゴールにすると、結果としてかなりの失敗をして落ち込む羽目になります。

 

ゴールからかけ離れた結果を引きずり、次に運転するときにはすっかり自信を失くして運転自体が嫌になることも。

 

では、ゴールを「とりあえず今日は教習所の車をぶつけない事」にしてみるとどうでしょうか。

 

同じ運転だったとしても、結果として受ける印象は「ぶつけなかった!目標クリア!」です。

 

これなら、失敗を過度に恐れる必要もなくなるのではないでしょうか。

 

ぜひご自身に合ったものがありましたら、試してみてくださいね。

 

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福丸みお

臨床心理士/公認心理師

臨床心理士・公認心理師。大学院修了後、精神科やメンタルクリニックにてカウンセリング業務やデイケア、生活相談等に従事。心の病から日常生活での悩みまで幅広く対応し、多くの相談者の心に寄り添う。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2023年2月13日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。