「日本の普通に殺された」心を見失いそうになって気がついた“自分らしさ”
「空気読めよ」
この言葉に、「みんなの言う空気ってなに?普通ってなに?」と悩んだことのある人も、きっと少なくないはず。
協調性を求められることが多い日本では、ときに自分らしさとはなにか、忘れそうになることもあります。
「日本の普通に殺された」と語るYAMATOさんは、京都生まれ・ニューヨーク育ちの帰国子女。周囲に合わせて生活する自分に苦しみ、ひとり部屋で泣いたこともあったそうです。
その苦しみを、どのようにして乗り越えていったのでしょうか。YAMATOさんのお話を伺いました。
【YAMATO(やまと)】
原体験(げんたいけん)を掘り起こす「dig your life(ディグユアライフ)」のライフコーチとして活動中。自分らしさがわからない人、自分らしく生きる方法がわからない人に対して、原体験から自分を読み解くサポートをしている。
〈インタビュアー くまのなな〉
目次
自分の過去を掘り起こすことで、探していた答えが見えてくる
振り返ると、学生時代から「なんでなんで?」とよく聞いていたと思います。
自分のことがわからないがゆえに、迷ってしまったり、答えは自分の中にあるのに、うまく言葉にできない方がいる。
そのことに気がついてからは、気持ちを言葉にするためのお手伝いをさせてもらっています。
身振り手振りも交えて、わかりやすく説明してくれるYAMATOさん。
記憶って、楽しいものだけじゃないですよね。悲しい過去であったり、苦しい経験であったり。それに、ひとりで向き合うのは辛いじゃないですか。
過去を振り返るのって、落とし穴を掘るのと似ているんです。掘った後は、ちゃんと出れるように設計しておかないといけないんですよね。
「日本の普通に殺された」アメリカとの文化の違い
それでも、だいぶ削ったんですよ。
例えば、誰かの家に行くときに、「この家は靴を脱いで上がるのか?それとも靴のまま上がるのか?」がまずわからない。
でも、そのおかげで、いつの間にか抑圧されている人は日本と比べて少ないように思います。
一番右がYAMATOさん。アメリカでは、多種多様な文化を感じていたといいます。
「空気読め」という言葉も、「読む空気」があるから生まれた言葉なんだろうなと思います。
「みんなこうだよね」と共有されている価値観に自分が当てはまらなかったときは、とても苦しかったですね。
みんな同じ服装じゃないですか。サラリーマンの人は黒いスーツだし、学生は制服だし、小学生はランドセルを背負ってて。
学校に行っても、あるべき姿を求められているように感じました。
ぼくの通っていた中学は私服だったのに、キャップは「なんとなくダメ」って言われたり…。
学生時代のYAMATOさん。クラスメイトからの言葉は、「普通、キャップを学校には被ってこないだろ。脱げよ」。
でも、ぼくからしたら「メジャーリーガーは噛んでるやん!」って思うんですよ。しかも、くちゃくちゃ噛みたいからじゃなくて、集中力を上げるために噛んでるんですよね。噛んでいるときのほうが、記憶の定着率がいいって研究もあります。
それに対して、「いや、いま噛んでいる人少ないじゃん?」って曖昧な理由でNGになったり。授業中の水も、「みんなが飲んでいないからダメ」だったりする。
でも、反発心があることで、いじめにあってしまって。自分を守るために、周りに合わせた時期もあったんです。
スクールカーストに疲れ果てた中学時代
だから、自分もサッカー部を選んだりとか。
でも、弱いなりに、みんな夢中でやっていました。
ぼく、その姿を見て、一気に心が冷めてしまったんです。
周りの子は、高校でもサッカーを続ける子がほとんどでした。泣いている姿を見て、「本当にサッカーが好きなんだな」と思わされたんです。
ぼくは、純粋にサッカーが好きで部活に入ったんじゃない。人気者の仲間に入りたかったから、選んだ部活だったんです。
「自分は泣けない。なんだこの温度差は」とモヤモヤしたまま家に帰って、自分の部屋に入ってから、やっと泣けてきました。
その事実を叩きつけられて、めちゃくちゃもったいない生き方をしていたと感じたんです。
教室でぼーっとしたり、田舎だったので田んぼを眺めながら、「俺、なにしたらいいんだろう…」と悩んでいましたね。
でも、これは必要な時間だったと思います。
例えば、ブラック企業に勤めていた人が、ある日ぷつんと糸が切れて退職したとしますよね。でも、辞めた瞬間に、「よし!自分の好きなことするぞ!」と思える人って少ない気がするんです。
「自分の好きなことを思い出す時間」をあげないと、自分が好きだったコトやモノを、なかなか思い出せないのかなって。
だけど、あの頃のぼくにはその時間が必要でした。「あっちの道なにがあるんだろう?」と思ったら、その好奇心に従って、学校帰りに永遠と散歩をすることもありましたよ。
自分の「好き」のエネルギーに従うことで、自分らしさを取り戻していったんです。
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- 本記事は2019年6月26日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。