身体と心の性の不一致。トランスジェンダーの苦しみとそこから生まれた希望とは。
身体の性と心の性は、全員がぴったりと一致するわけではありません。性の不一致に悩む“トランスジェンダー”の方は、世の中にある性への固定観念から、生きづらさを感じていることも多いそうです。
「性に違和感を持ったのは、小学生のとき」
そう語ってくれたのは、アーティストのPrius Shota(プリウス ショウタ)さん。あだ名はプリちゃん。プリちゃんは、身体は男性で、心は女性。その不一致に、思い悩む時期もあったそうです。
トランスジェンダーのことをオープンにし始めたプリちゃんに、性の不一致で苦しんだ過去、そして、苦しんだからこそ生まれたアーティストへの道について、詳しくお話を伺いました。
【Prius Shota(プリウス ショウタ)】身体は男性で、心は女性のトランスジェンダー。性の不一致に葛藤しながらも、自分らしく生きるためにアーティストの道へ進む。光と色彩が美しい「心に灯す光と色彩のパレット」を生み出し、2019年11月には京都個展も開催予定。
〈インタビュアー くまのなな〉
目次
簡単に分けられない性の世界
あと、もうひとつお願いがあって…。LGBTについて、最初に簡単に説明してもいいですか?
・「LGB」は、“どの性別の人を好きになるか”という、性的指向(せいてきしこう)について
・「T」は、“自分がどの性と認識しているか”という、性自認(せいじにん)についての話
LGBTって繋げて言っているから、みんな同じ仲間のように伝わるんだけど、そうではなくて。まぁ、仲間のようで、仲間ではない。実際に一括りにしても良いのかどうか、よく議論もされているんです。
どんな性的指向を持っているかは、人によってまったく違うんです。
私が誰かを好きになるときは、性別やセクシュアリティは問わず、ひとりの人として好きになるから。性的指向としては、パンセクシュアル。全性愛とも呼ばれています。
心が女性だからって、絶対に“男性”だけを好きになるわけではないんですよね。
LGBTの方に会っても、「きっとこうだろう」と勝手な判断で決めつけては、あまりよくないですよね。
あと、トランスジェンダーの中でも、さらに3種類に分かれているんですよ。
・「トランスセクシュアル(TS)」は、身体の性と心の性が一致していないことで、違和感や嫌悪感を常に感じていて、ゆくゆくは外科的な手術を望んでいる方や、もうすでに手術をされている方のことです。
・「トランスヴェスタイト(TV)」は、性自認と身体の性は同じだけど、異性の服装をする方。女装家さんが当てはまります。
・「トランスジェンダー(TG)」は、性自認と、周りから見られる性が異なる状態で、かつ外科的な手術は今すぐには求めていない方のことです。私も、ここに当てはまります。
この3種類はまとめて、広い意味として、「トランスジェンダー」と一括りに呼ばれているんです。
トランスジェンダーの方々も、みんなそれぞれ、カラーがあるんです。
・Q は、“クエスチョニング”
自分の性別がわからない、決めていない方々のことです。
・I は、“インターセックス”
生まれつき男女両方の身体的特徴を持っている方々のことです。
・A は、” アセクシュアル”
誰に対しても恋愛感情や性的欲求を抱かない方々のことです。
・+ は、“プラス”
それ以外の性や、名前のついていない性を持っている方々のことです。
本当に色んな種類に分かれているからこそ、LGBTQIA(+)がみんな同じではないということを知ってもらえたら嬉しいですね。
身近にLGBTの方がいたとしたら、どうか長い目で温かく見守ってほしいなと思います。ご本人もカミングアウトしたいけど、親を傷つけてしまうかもしれない恐れを抱きながら、心の中で常に格闘しています。
もし、親御さんがお子さんにカミングアウトされたら、LGBTは決して病気でも何でもなく自然なことでもあったりするので、「本当に望んでいる性別の身体として産めなくてごめんね」と悲しんで謝る必要もないと、私は思いますよ。
身体の性に違和感を覚えたのは、小学生の頃
「おままごとも大好きでした」
基本的に自分の好きなことで遊ばせてもらっていたから、自分らしくすくすく育って。仲よくなるのも、やっぱり女の子だったんです。
その頃から、「自分って、他の人とはなにか違うのかも」と思い始めていましたね。
思い悩むことが増えたのは、中学生からですね。やっぱり、学ランがどうしても好きになれなくて…。無理に合わせてましたね。その時期に声変わりをし始めたんですけど、それも本当に嫌で。
体も余計な筋肉をつけたくないから、あまり食べないようにしたり…。好きなものは別腹なんですけど(笑)
勉強にも付いていけなくて、卓球部に入ってたんですけど、めちゃめちゃ下手だったし…。いろいろな点で目を付けられてしまったんです。
常に受け身だったから、周りから「こいつならなにをしてもいい」と思われたのか、ちょっかいを出されたり…。苦しかったですね。
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- 本記事は2019年9月2日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。