うつと希死念慮…家族ができる3つのこととは?心の専門家が解説

2016.12.07公開 2017.03.29更新
 
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ふとした瞬間に「死にたい」という気持ちにとらわれてしまう希死念慮。これはうつ病にとても関わりの深い症状です。

 

もし家族の誰かが希死念慮を抱えていて、「死にたい」と思っていることに気づいたとき、あなたならどうしますか?

 

どうにか元気づけたいと思っても、どう励ましたらいいのかわからない…そんなことはありませんか?

 

そこで今回は、うつ病の第一歩ともいえる希死念慮を抱えている人に対して、家族ができる3つのことを心の専門家に解説していただきました。

 

 

うつ病や希死念慮を抱える人との接し方

うつ病や希死念慮を抱えた人と接するにあたってまず重要なのは、その人が死にたくなるほど苦しんでいるということを理解することです。

 

よく、うつ病の人に励ます言葉を投げてはいけない、と言われていますが、これは心が弱っている人とそうでない人の「なんとかなると思うライン」が違うからです。

 

「がんばれ」や「もっとこうしてみたらどう?」という言葉は、相手と自分の「なんとかなると思うライン」がある程度一致していれば効果を発揮します。

 

しかし、希死念慮を感じるほど心が疲れている人に、健康な人の「なんとかなると思うライン」が適用されるとは限らないのです。

 

むしろ、普段は我慢して乗り越えられるような物事も、ひどく難しく感じていると考えてもいいと思います。

 

したがって、

 

「大丈夫」

「がんばれ」

 

などと応援されたり、

 

「もっとこうしたらいいんじゃない?」

 

などとアドバイスを受けたりすると、たとえそれが善意からくるものであっても、

 

「こんなこともできないで励まされる自分なんて役立たずだ」

 

と、さらに落ち込んでしまい、より希死念慮が強くなってしまいます。

 

希死念慮を感じている人に必要なのことは、

 

そっと寄り添って苦しい気持ちを理解してもらうことです。

 

急かさず、ゆっくり話を聞いて、その人と同じ目線に立って考え、その人が死にたいほど苦しんでいることを受けれてあげることで、彼らは「一人じゃない」と感じることができます。

 

また同じ目線に立つことで、無理な提案をしなくなります。

 

 

心が疲れている時に必要なこと

希死念慮は心が疲れているほど感じやすく、「死にたい」と思うということは休息が必要ということです。

 

そこでうつや希死念慮を感じている人の家族は、

 

できるだけその人を休ませてあげることが大切です。

 

うつや希死念慮を感じている人は、「うまくできない自分」について悩んでいます。

 

そんな中で家族に叱咤激励されてしまうと、先ほども述べた通り「こんなこともできない自分は死んだほうがマシ」と考えてしまいます。

 

このような考えになってしまうのは、心が疲れてエネルギーを使い果たした状態だからです。

 

当人でなくてもできるような仕事は、家族が代理で行ったり、日程が変更できる予定は延期したりして、当人が休める環境を作ってあげましょう。

 

希死念慮を感じている人は時に、「休むと迷惑をかけるのでは」「自分がやらなければ」と休息を拒む場合があります。

 

そこは、家族の方がしっかりと当人に「自分は死にたいほど疲れている」状態であることを自覚させ、エネルギーが回復するまで待ってもらうことが大切です。

 

 

焦らせないために心がけたいこと

うつや希死念慮を感じている人は、早く通常通りに働こうと焦ってしまい、症状が悪化する場合があります。

 

家族の方は当人の様子を注意深く見て、当人が焦っているときにはブレーキをかけてあげてください。

 

だんだん症状が良くなってきたと感じられる回復期こそこの役割が重要です。

 

よくなったからといって、以前と同じように働こうとしても、病み上がりの状態ですからうまくできず、理想と現実がずれてしまうことがあります。

 

そうすると、うまくできないことに焦り、再び希死念慮が出てきてしまうのです。

 

そうならないように、まずはゆっくりと元の生活に慣らしていくことが必要です。

 

あまり高い水準は求めず、焦りすぎていると感じたら家族の方がブレーキをかけて調整してください。

 

「できて当然」ではなく「できなくて元々」という考え方が重要。

 

また回復期に差し掛かると、軽い不調が続いたり、良くなったり悪くなったりと波のある状態になったりします。

 

実は、この時期が家族にとっても本人にとっても特に苦しい時期です。

 

というのも、良くなっているのがわかる分、本人は遅れを取り戻そうと焦るし、家族も「できそうでできない」状況にイライラして叱咤激励してしまいたくなるのです。

 

しかし、本人には焦りをコントロールできるほどの心の余裕はまだありません。

 

ここが家族の頑張りどころです。家族の皆さんは自分たちと本人の焦りのブレーキになることを心掛ける必要があります。

 

 

さいごに

うつや希死念慮を感じている人に対して家族ができることをまとめると、

 

同じ目線に立って苦しみを理解する

 

十分に休息が取れる環境を作る

 

焦りを抑えるブレーキになる

 

の3つです。

 

うつや希死念慮を感じている人は生きることをとてもつらく感じています。一番身近な存在である家族がそっと寄り添い、温かく見守ることがとても大切です。

 

焦らずゆっくり、協力して疲れた心を癒していきましょう。

 

 

 

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【執筆】

須賀 香穂里

神奈川大学人間科学部・人間科学科所属

 

 

 

 

【監修】

杉山崇 臨床心理士

神奈川大学人間科学部 教授

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