子供の自主性(やる気)に大切なこととは?チャイルドカウンセラーが解説

2016.12.10公開 2019.05.16更新

「ママ、やって」「パパ、やって」と子どもに言われて、ついつい何でもやってあげていたりしていませんか?

 

親や周囲の人の子供への接し方が、知らず知らずのうちに、子供のやる気や自主性を育ちにくくさせているかもしれません。

 

そこで今回は、子供のやる気・自主性を育むために大切な心がけについて、チャイルドカウンセラーに解説してもらいました。

 

 

自分で決めるために必要なもの

日頃から子ども達と接する際は、どんなに小さい子どもでも「自分で決めること」を大事にしています。なぜなら、自分で決めることの先に、本当のやる気(自主性)が見えてくるからです。

 

自分で決めることは、一見簡単なように見えますが、自分で決めるためには、ある程度の自信(自分を信じる力)が必要なのです。

 

自分で物事を決める力は、大人になってから育てるのは本当に大変です。出来れば小さいうちから身につけておきたいものです。

 

 

自分で決められない背景

もちろん最初は、自分で決める事が出来ない子どももたくさんいます。

 

彼らは「これをしようと思うけど、どうしたい?」「これについて、どう思う?」と質問して意志を確認すると、

 

①何も言わない、何も言えない

②「分からない」、「微妙」と言う

③「先生が決めて」「母親が(友達が)そう言ってる」と言う

 

など、自分では決断しないという結論を選びます。

 

おそらく、彼らの育つ毎日には、「これをしなさい、あれをしなさい」という直接的な指示と、「これをするのが当たり前、みんなやっているからする」という間接的な指示にあふれていて、自分で決めるという選択を与えられてないということが想像できます。

 

そういった指示に慣れてしまうので、いざ「自分で決めていいんだよ」、と言われてもよく分からなくなるのです。

 

 

指示待ち人間になってしまうと

指示を受けることに慣れすぎると、いわゆる「指示待ち」人間になります。

 

そして、上手くできなかったことや失敗した場合に、その指示を出した人に責任を押し付けるようになります(他責)。

 

子どもにしてみれば、「やれっていったからやっただけだ。上手く行かなかったのは、自分のせいじゃなく、やれっていった人のせいだ。」という理屈が成り立ちます。

 

子どもの立場になって考えれば、これも自然なことです。

 

 

更に心配な「自責」のケース

更に心配なのは、これらの指示に頑張って応えてこれた場合です。周りから見れば、何もかも完璧にこなす手のかからない「いい子」のケースです。

 

困難や壁にぶつかると「出来ないのは自分が悪いからだ。」と言って自分を責めます(自責)。

 

しかも、彼らは期待に応えられる程、高い能力があるので、比較的大人になってから壁にぶつかります。なので、周囲も彼らの我慢に気がつくのが自然と遅くなるのです。

 

理屈がまかり通るケースも我慢して全てに応えてきたケースも、根本的には、自分が見つけられず、自信がないことが多いです。

 

自信がないので、周りの評価がとても気になり、他人の言動に振り回されたり、過剰に反応してしまいます。

 

その先に、リストカット、被害感情、不登校、引きこもり、暴力・暴言などの更なる問題に発展する可能性が隠れています。

 

 

自主性が芽生えるための会話

時間をかけて子ども達と接していくうちに、最初は決断できなかった子でも、大きな変化を目の当たりにすることがあります。

 

最初は決めることができなくても、あえて指示はせずに、こちらから質問をします。そして、全ての返答を受け入れます。以下に、3パターンほど例を挙げてみました

 

・何も言わない、言えない場合は、「よく考えているね。」「一生懸命考えている事が伝わってくるよ」と彼らの無言の状態にある気持ちを汲みます。

 

・「分からない」「微妙」など、判断がつかないことを表現している場合は、それも立派な意志表示であることを伝えます。

 

・他人に決断を委ねてくる場合は、一度受け入れてから、質問を細かくして、再度確認します。それでも一人で決められないようならば、こちらが決めたり、一緒に決めたりと柔軟に対応します。

 

このような会話を繰り返しながら、じっくりコミュニケーションを取っていくと、少しずつ自分が受け入れられているという安心が感じられるようになります。

 

安心を感じることができるようになると、「自分で決めてもいいんだ。自分の気持ちを表現してもいいんだ。」と思えるようになってきます。すると、徐々に自主性が芽生えてきます。

 

「何も言わない」→「分からない」→「Yes or No」(この段階で決断ができています=自信の芽生え)→「これをやってみようかな」(自主性の芽生え)と、自分の意見がだんだん言えるようになってきます。

 

 

見逃したくない瞬間とは?

もちろん、子ども達にとって、質問され続けるのはきついことだと思います。でも、そのきつい状況だからこそ、自信をつけて、踏ん張る力を育てていけるのです。

 

そして、そのきつい状況を作ることは、いつ子ども達に問いかけ、向き合って、彼らの力を信じているということもあるのです。

 

この変化を遂げるには実に時間がかかりますが、「自分からやる」と言い出した瞬間を見逃さないことが大切です。

 

 

やる気は宝物

焦らずゆっくりと、自主性の芽を育てていけば、勉強でもスポーツでも結果は後からついてきます。結果が出れば、自信がつく、更にやる気が出る、という良いスパイラルに入ることができます。

 

たとえ結果が出なくても、自分で決断して行動したことに対しての結果であれば、自分で納得して受け入れられます。

 

小さい頃から自分で決めることができる環境を作り、子ども達が安心して、自信を感じられるようになれば、本当の自主性が育ってきます。

 

学童期が終わった後の長い人生を自分らしく送れるようになるためにも、自主性を身につけることが大切なのです。

 

【執筆者】

佐藤真由美 チャイルドカウンセラー

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  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2016年12月10日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。