激務での抑うつが転機に。女性の「働く」をサポートするキャリアコンサルタント

2016.12.26公開 2020.06.08更新

今回のインタビューは、女性のキャリア形成を中心にサポートしている、キャリアコンサルタントで産業カウンセラーの鈴木祐美子さんです

 

鈴木さん自身、様々なキャリアを経て、抑うつの経験からカウンセリングへの興味が芽生え、現在の活動に至ったと言います。

 

つらい経験を乗り越えて、今、就職や転職に迷う人たちの支えになっている鈴木さんのこれまでとこれからについてお話を伺いました。

 

過酷な仕事で心も体も…

私自身の最初のキャリアは、大学在学中にコンビニでのアルバイトがきっかけになりました。

 

コンビニに「スーパーバイザー」がいて、「ああでもない」「こうでもない」と商品を並べ変えていく姿を見て、「あの仕事をやってみたいな」と思ったんです。

 

色々と調べていくと、コンビニって導線の配置ごとに商品の配列なんかも決まっているんですよ。

 

店舗に入って、すぐに雑誌があって、真正面にお弁当を置いてっていう心理作戦によって客単価を稼ぐ仕組み、ノウハウ…。

 

それって面白いな、そういう仕事をやってみたいな、と思いました。

 

そこで営業を3年、人事を2年経験しまして、新規出店の際の店舗の立ち上げの手伝いや、マネージャーさんが会議で作るような資料に使うデータを集めて作ったり。

 

人事では、給与社保を担当していたので、給与明細を配ったり、給与計算、入社・退社時の手続きなんかをやっていましたね。

 

大手コンビニエンスストアでの勤務は過酷でした。

 

女性の私には体力が追い付かず、そのうち抑うつ状態になってしまったんです。心も身体も病んでしまいました。

 

上司がカウンセリングを勧めてくれたので、社内に常駐している産業カウンセラーのところに行くことに。それが人生初めてのカウンセリングでした。

 

「私、こんなに辛いんです」って話しているのに、いきなりその先生が「あなた、カウンセラーになった方がいいんじゃない?」と言ってきて。

 

「あなたは受容と共感ができている」って。

 

相談しに来てるのに、何でそんなこと言うんだろうとすごく不思議だったので、その言葉がずっと引っかかっていたんです。

 

「私の人生このままでいいの?」

そんなこともあり、「カウンセラーってどんな仕事をしているのかな」と気になり始めました。

 

体調を崩した当時、人事部にいたんです。退職者の荷物整理とか、退職後の相談なんかを1人で担当していました。

 

その時にいつも「私も辛い状況なのに、何で辞めたい人の世話をしなきゃいけないんだろう…私が辞めたいよ」と思いながら人の話を聞いていて。

 

その中で、

 

「人のキャリアってなんだろう」

「このままで私の人生、いいのかな」

「いろんな人生があって良いんじゃないかな」

 

なんて、色々なことを考えました。

 

その時やっていた仕事も、ひたすらチェックをして処理をするルーティーンの作業ばっかりだったので、自分に合っていなかったこともありました。

 

カウンセラーの先生から言われた「カウンセリングやってみたら」という言葉に背中を押され、自分が抑うつ状態から回復した経験も活かせるのでは、と大手エージェント会社に転職することになりました。

 

うつの経験が大いに活かせる仕事

大手エージェント会社では約1年半、キャリアアドバイザーをやらせていただきました。

 

カウンセラーを目指したのは、自分からなろうと思ったきっかけがあったというよりは、周りから「カウンセラーが向いているからやってみれば」と背中を押されたことの方が大きいですね。

 

実際にカウンセリングをやってみると、自分自身がうつになった経験を大いに活かせる仕事だなと感じました。

 

うつになった時、それまで見たこともない世界を覗いたような気がしたんです。

 

当時は人事部にいましたので、休職する方の情報が色々と入ってくるんですよ。でもそれって自分には全く関係のないことだと思っていたんです。

 

ですが、自分自身がうつになって、「メンタルが低調になった人の気持ち」が身に染みて分かりました。

 

私は当時のカウンセラーさんに「生きるヒント」みたいなものをもらって、それまでの自分の考え方もガラっと変わって生きやすくなりました。

 

そういう経験を通して、「何かヒントになるようなものを人に提供することで、誰かの人生の岐路に立って何か影響を与えられるってすごいな」と思って。

 

「自分が向いてるのかどうかすら分からないけど、言われたのならやってみようかな」と思ってカウンセリングの道に入ったんです。

 

カウンセリングの中でも「キャリアカウンセリング」を選んだ理由は、自分自身の経験が根底にあります。

 

私が就職活動をしていた時期は「就職超氷河期」と言われていた2000年で、男女の差別があからさまでした。

 

同じ会社に資料請求しても、男子には来るのに女子には来ないなんて当たり前。

 

行きたい会社があっても、資料すら送ってもらえないのですから、「女の子って難しいな」とその時に感じました。

 

「総合職になれば男性と同様に働けるかな」と思って入社した会社でも、女子というだけで上に行けない現実が待っていました。

 

人事部にいても感じていたことですが、同じ年に入社しても女性と男性では道が違う。

 

それが「能力に基づいてそうなってるか」というとそうでもなくて。

 

そういう現実を目の当たりにして、「女性ってすごく不利な所で戦っていて、理不尽だな」と思っていました。

 

でも、その中でも女性はキャリアを築くべきだと思います。自分自身に置き換えてもそう思います。

 

だからこそ、「自分の悩みと今の世の中の現状をなんとかしたい思い」があって、キャリアカウンセリングに携わるようになったのです。

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近藤雄太郎

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  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2016年12月26日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。