精神科の入院基準とは?状況別入院パターンについて心理相談員が解説

2017.01.06公開 2017.07.10更新
 
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時々、ニュースなどで聞く「措置入院」。そもそも精神科に入院するにあたって、どのような患者さんが対象で、どのような症状の時に入院するのでしょうか?

 

今回は、気になる精神科の入院基準についてご説明します。

 

自分の意志で入院できる「任意入院」

「精神症状が不安定で入院したい」

「薬が安定するまで入院したい」

 

など、患者さんの希望があり、医師が診察をして入院が適切だと判断した場合には、自分の意思で入院に同意する形態をとる「任意入院(自発的入院)」として入院することができます。

 

この場合の、入院には、原則として「本人のサインがある同意書」が必要となります。

 

自分で精神科に入院を希望する場合があるのか?と、疑問に思う方もいるかも知れません。

 

ですが、私の知っている患者さんも、自分の心身のバランスが崩れ始めると、自分から「入院します」と入院をして、体調を整えていると話していました。

 

 

ストレスケア病棟という存在

また、最近は「ストレスケア病棟」と呼ばれる、うつ病摂食障害不安障害パニック障害PTSDなどの症状で苦しむ患者さんのために対応する病棟も多くなっています。

 

この病棟は、開放病棟でもあり、入院される多くの患者さんが任意入院の形をとっています。

 

任意入院の場合には、外出や外泊、病院内への持ち込みなどの制限もかなり緩やかなようです。

 

ですが、任意で入院したのだからと言っても、その必要性を判断して入院をさせたのは、あくまでも精神科医です。退院する時期や、退院しても大丈夫かの判断をするのは、主治医になります。

 

 

家族などの同意書が必要な「医療保護入院」

自殺の可能性がある、妄想や幻聴などの強い精神症状が出現しているにも関わらず、本人が入院を拒否している場合に適応されるのが、「医療保護入院」となります。

 

この「医療保護入院」は、本人の同意の有無にかかわらず、自傷他害の可能性を防ぐための入院となるため、対象となる患者さんの人権を守る意味も含めて、精神保健保護法に適応基準が定められている入院になります。

 

精神疾患があるのに、自分の病状が理解できず、精神病院への入院を拒否しているが、自傷他害などの可能性が高いため入院が必要である場合に限り、医療保護入院が適応されることになります。

 

本人の同意を得られないため、次のような手順で入院が決まります。

 

医療保護入院の流れ

1.精神疾患がある

 

2.本人が病状を理解できず、入院に同意しない

 

3.病状としては、精神病院への入院の必要性がある

 

4.入院適応は、精神保健指定医の診察の結果による

 

5.精神保健指定医の診察の結果を受けて入院が必要な場合には、家族等(配偶者や親権者・扶養義務者・後見人など)による書面での同意書を作成が必要となります。

 

しかし、それらの家族等がいない(もしくは意思表示ができない)場合には、患者さんが住む市町村長の書面での同意があれば、入院させることができます。

 

6.理解できるかに関わらず、本人への告知を行い入院へ

 

という流れになります。

 

医療保護入院は、精神症状を有する患者さんの保護と隔離を目的としています。そのため、症状が安定するまでは、閉鎖病棟への入院となり、症状が安定するまで医師や看護師の観察・管理のもとに置かれることになります。

 

 

家族などの同意が取れるまでの「応急入院」

医療保護入院の場合には、保護者あるいは扶養義務者などによる、書面での同意書が入院時に必要となります。

 

ですが、扶養義務を持たたない同居人や、会社の同僚などが本人を病院に連れてきた場合で、精神保健指定医が診断した上で、緊急に入院をさせなければ自傷他害の可能性がある場合に、適応になるのが「応急入院」です。

 

応急入院は、それだけ患者さんの病状が重大で、緊急性があることになります。そのため、この入院の適応基準も、精神保健福祉法の33条に規定されています。

 

応急入院となった場合には、72時間以内に家族や配偶者、親権者、保佐人、扶養義務がある後見人などの書面での同意が必要となります。

 

つまり、緊急性があるため患者さんの保護を優先した入院が「応急入院」ですが、入院後の対処は「医療保護入院」と同様です。

 

症状が安定するまでは閉鎖病棟への入院となり、症状が安定するまで医師や看護師の観察・管理のもとに置かれることになります。

 

 

通報がきっかけとなる「措置入院」

「措置入院」についても、精神保健保護法に適応基準が記載されています。

 

「措置入院」は、行政の命令によって入院となりますが、その最初のきっかけは、対象者を見つけた一般市民・警察官・検察官などからの「通報」から始まります。

 

措置入院の対象となる流れ

1.精神疾患があり、自傷他害の恐れや何らかの迷惑や犯罪行為をする可能性が高い

 

2.一般市民・警察官・検察官などからの通報により行政が動き、患者を病院へ移送

 

3.精神保健指定医が2名を診察し、入院の必要性を認める

 

4.都道府県知事や、政令指定都市市長が行政処置として入院命令を発令した場合に、措置入院が適応になります。

 

「措置入院」も、医療保護入院と同様に、外出や外泊、入院生活について、医師や看護師の厳しい管理下に置かれることになります。

 

さらに、都道府県知事や、政令指定都市市長が入院措置解除通知を提出しない間は、退院できないことになります。入院措置解除通知を出すときに参考とするのは、精神保健指導医の所見などになります。

 

一般市民・警察官・検察官などからの「通報」から始まる措置入院は、行政が介入することで入院適応となるため、退院の際にも行政が動いて退院となる、本人や家族にとっては厳しい管理体制で行われる入院になるのですね。

 

 

72時間以内に限定される「緊急措置入院」

医療保護入院の際、緊急性が高い場合には、医師の指示のもとで入院させることができる「応急入院」がありました。

 

措置入院にも、「病状に緊急性や重大性が高い」と1人の精神保健指定医が認めた場合には、緊急入院させることができます。それが「緊急措置入院」になります。これも、精神保健保護法に適応基準が記載されています。

 

ただし、入院後72時間以内に、もう一人の精神保健指定医の診察が必要になります。それは、対象となる患者さんの人権を守るための措置であるようです。

 

相模原障害者施設殺傷事件を起こした犯人が、事件前に精神科に入院していた形態が「措置入院」でした。

 

それまでの行動や言動に「危険性が高い」と判断されて措置入院となりましたが、結果としてあのような事件となり、措置入院とは何かということに興味を持った方も多いのではないかと思います。

 

精神症状と、その患者さんの人権、そして精神保健指導医の判断と行政の動き、このすべてが絡み合う「措置入院」。

 

その後の患者さんへの対応にも、手厚い支援が必要になるのですね。

 

 

開放病棟と閉鎖病棟の入院基準は?

開放病棟と閉鎖病棟との入院基準の差は、疾患ではなく、自傷他害の恐れが強い場合や、検査などの前処置が必要であるのに患者の同意が得られない場合などが適応になるようです。

 

閉鎖病棟は、その症状の重さよって、隔離された個室に入院となるかどうかは、医師の判断によるものとなります。

 

開放病棟の「開放」の意味合いは、病院によって若干の差があるため、入院した病院に確認すると良いでしょう。

 

 

まとめ

精神病院や精神科病棟に入院する基準としては、

 

・自発的入院である「任意入院」

・非自発的入院である「医療保護入院」「応急入院」「措置入院」「緊急措置入院」

 

があります。

 

本人が病状を理解し、治療を同意しての入院ばかりではない精神科への入院基準ですが、自傷他害の恐れがなくなり、医師の許可を得ることができれば退院することは可能です。

 

大切なことは、退院した後のフォローです。

 

家族などが精神科に入院した場合には、みんなで本人を支援する体制があると良いですね。

 

 

【執筆者】

村松真実 看護師・心理相談員

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