セックスレスとは?日本はセックスの回数も満足度も低い?性の専門家が解説
年間セックス回数を国別比較
有名なイギリスのコンドームメーカーDurexが、2005年に行った調査結果(Global Sex Survey results)を紹介します。
1年間の性交回数を国ごとに比べると、日本は年間45回で、調査対象となった41カ国中の最下位。
しかも、下から2番目のシンガポールの年間73回と、ずいぶんな開きがあります。
ちなみに性交回数上位国ですが、1位はギリシャ(138回)、その後クロアチア(134回)、セルビア・モンテネグロ(128回)と続いています。
実は、日本は性に対する満足度も下から2番目なのです。 1位は私が住んでいるベルギー、2位はポーランド、3位がオランダとなっています。
ヨーロッパのセックスレス
実は、ヨーロッパで 「セックスレス」はそれほど注目されていないのです。
私は性科学をベルギーで学びましたが、大学の講義でも話題に上ることはごく稀でした。
主に習ったのは、実際にベッド上で起こることについてです。もしくは、性欲がありすぎること・なさすぎること、したくてもできない場合の解決方法などでした。
ベルギー(西洋と言っても構わないでしょう)では、カップル間に性生活があることが大前提なので、「したくなきゃ、しなくてもいいでしょ」という考えがないのだと思います。
とりあえずセックスを試みて、そこで問題に突き当たる…。
気が向かないけどやってみた結果、性交痛や不感症、勃起障害や射精障害などの問題を抱えて専門家の元を訪れることが多いように思います。
日本の少ない性生活
一方、日本では、上手くいっていない夫婦の間で性生活がないことは、普通のこととして済まされます。これは大きな違いです。
日本人のセックスレスは、この10年増え続けており、現在は配偶者のいる人の約半数がそうだと言われています。
海外でも、日本人カップルは性交渉が少ないイメージを持たれているようですが、実はイメージだけでなく、国際的な調査でもはっきり結果が出ているのです。
回数も満足度も低い日本
セックスの回数がぶっちぎりで最下位、満足度も下から2番目というのは衝撃的なデータかもしれません。
これには日本の社会的、文化的特徴が少なからず関係していると考えています。
それに、今という時代背景が重なって、セックスレスがここまでクローズアップされるようになったのではないでしょうか。
ただ、セックスレスになりやすい日本の特徴については、この回では書ききれないので、次回以降、例をあげながらお伝えすることにします。
セックスの有無より大事なこと
でも、決して誤解しないでいただきたいのですが、セックスしないこと自体が問題ではないのです。
セックスレスでも、2人が満足で幸せな毎日を送っているのなら問題なしということです。ここは私が2重線を引いてお伝えしたい、重要な点です。
その上で皆さんに言いたいのは、セックスがないことで、どちらかが不満を持っていたり、二人の関係が良くないから性生活がない、という場合はどうか放っておかないでほしいということ。
不仲だからセックスレスになるのか、セックスレスだから不仲になるのか。
どちらにしても、カップル間で不満や問題を感じたら、まず2人そろって居心地のよくない「それ」と向かい合ってほしいのです。
「それ」がどんなものかを一緒に見ようとする姿勢が重要な第一歩となります。
でも「忙しいから」、「面倒臭いから」、「なんか腹立たしいから」などいろんな理由をつけて、放置したまま生活している夫婦のなんと多いことでしょう。
その間に「それ」は時間とともに変化し、自分たちの手に追えないものになってある日気づく、というケースをよく目にします。
セックスに限って言えば、ただなんとなく、しなくなったと思っていたのに、
「気がついたら相手を受け付けなくなっていた」
「心の距離が広がって他人のようになっていた」
というケースがあります。そんなことはできるだけ避けたいですよね。やっぱり、病気と同じで早期発見、早期治療を心がけてほしいと思います。
セックスレスの対処方法についても別の機会にまとめて書きます。自分たちで対応しきれないと思ったら、早めに専門家に頼ることも必要です。
さいごに
第1回として書いた内容は、
・日本でのセックスレスの定義
・セックスしないこと自体が問題ではないこと
・日本がどれだけ 「セックスレス大国 」 なのか
など、日本のセックスレスを語る上での基本情報です。
そしてもう一つ、「不満があるなら放っておかないで」という筆者のメッセージも、心に止めておいてください。
第2回は、 セックスレスを招きやすい原因について書く予定です。日本の社会、文化背景についても言及していきます。
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- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2017年2月11日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。