セックスレスの原因、日本人がセックスレスになりやすい理由とは?性の専門家が解説

2017.03.03公開
 
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前回に引き続き、今回はセックスレスの原因がテーマです。前回、日本人はセックスの頻度が少ないこと、満足度が低いことを挙げました。

 

今回は、セックスレスになりやすい日本の特徴についてです。人は、自分が育った文化の影響を知らず知らずのうちに受けています。

 

だから、自分たちの「あたりまえ」が、よその国で通用しない場合があるわけですね。

 

今回は、セックスレスの原因にもつながる日本の特徴に触れながら、みなさんの  « あたりまえ »を見つめ直す、一つの機会していただければと思っています。

 

 

スキンシップの少なさ

まずは日常の挨拶です。日本では挨拶の時、相手の体に触れませんよね。

 

一方、体を近づける・体の一部に触れる挨拶は世界にたくさんあり、ヨーロッパでは握手はもちろん、頬にキスやハグも一般的です。

 

頰にキスの挨拶は小さい頃から、 異性、初対面の人に関係なく、親しみを表したい時ごく自然に行います。

 

それが「あたりまえ」の中で育つので、人に触れる抵抗が少ないのも納得できます。

 

 

イタリア人家族の例

一つ、お友達のイタリア人家族の話をします。 19歳の男の子が朝起きてきて、 キッチンにいるママの頬におはようのキスをしました。

 

その後、しばらく立ち話をしていたのですが、ふと見ると彼の手はママの腰に…。ここまでいかなくても、ヨーロッパの家族間でスキンシップは日常です。

 

日本では家族同士でも、体に触れることはあまりありませんね。満員電車ではびっくりするくらい距離が近いですが…。

 

 

性≠愛、性=恥?

個人差はあれ、性について話すことはどこかためらいがあるものです。自分のとてもパーソナルな部分とつながっているので当然といえば当然です。

 

さらにそれに加え、「性は恥ずかしいもの」という共通認識があるように思います。

 

特に、女性に抵抗を感じる人が多いようで 、自分に性欲があることを認めることができない人も少なからずいます(本当にない人もいます)。

 

Reme読者の方の中にも、

 

「お金や家族の話(夫の悪口)は堂々とできるけど、性の話は無理!」

 

という女性が結構いらっしゃるのではないでしょうか。

 

 

「セックスは30代まで」

日本の大学生について書かれたある論文※ によると、男女とも性について知りたくても誰にも相談しないそうです 。

 

また、「セックスは30代まで」と考える学生が多かったともありました。

 

年を取ったらセックスはしたくない、恥ずかしい、気持ち悪い、と考える学生が多いらしく、

 

ある女子学生の「中高年の方が、愛情を確かめるためにセックスをするのは、ちょっと間違ってるような気がします」というコメントが紹介されていました。

 

読者のみなさんはどう思われますか?

 

私は幾つになってもカップルで楽しむのがいいと思っているのですが。(これは性交に限りません。他にも性の楽しみはいろいろあります。)

 

でも、彼らの考えも理解できるのです。学校で習う「性」は避妊と生殖くらいです。

 

そして、日本人で子どもの前でイチャイチャする両親は少ないですね。親は子供の前では極力お父さん、お母さんに徹します。

 

親も男であり女であると感じる機会がないまま成長したら、「性は若い時だけひっそり楽しむもの」になるのかもしれません。

 

 

楽しくないセックス

1回目の記事に、「カップル間でセックスをするのは当たり前」という西洋人の考え方を書きました。

 

一方、今の日本では、したくなかったらそれで済まされることが多い気がします。性が生活に不可欠なものと認識されていないから、「努力せざるを得ない」という状況にもなりにくいわけです。

 

でもその前に、「そもそも、なぜしたくないのか?」。この問いが重要です。

 

したくないのは愛情が薄れたから?面倒だから?確かにそれもあるでしょう。でもセックスが楽しかったら、もう少し積極的になるのではないかと思います。

 

子作りセックス、性欲処理セックスが意外と多いように思われます。それだけでは楽しいはずがありません。

 

楽しくないからしない。だったら、もっと楽しくすれば良いわけですが、いざそう思っても方法がわからないという方が多いのではないでしょうか。

 

覚える機会もなかったし、今更どこで覚えたらいいかわからない…。そうやって、セックスに対して距離を置くケースが多いように感じます。

 

 

「気遣い」が招く悪循環

日本人が穏やかで衝突を嫌う国民であることは、よく知られています。これは日本人の美点だと思います。

 

ただ、セックスレス問題に限ってみると、この美点がマイナス要素ともなり得ます。

 

カップル間で、不満・疑問を持った時に対話を避けていると、その状態に慣れてしまい、ますます相手を理解できなくなります。

 

初めは相手への気遣いのつもりでも、不理解が誤解へ、言葉の距離が体の距離、さらに心の距離を広げる結果に、となりがちです。

 

もちろん、衝突する必要はなくて、話し合えばいいわけです。自己主張の激しい西洋人はそうはいかないようで、これはこれで問題ではありますが…。

 

 

忙しくて時間がない日本人

日本人は忙しすぎて、夫婦だけで過ごす時間が少ないという事実は見過ごせません。

 

睡眠時間も短いですよね 。2016年5月9日付IT Mediaニュースに「100カ国の平均睡眠時間を比べたと ころ、日本とシンガポールが7時間24分と最も短く、オランダの8時間12分が最も長かった。」という記事がありました。

 

必要なことをこなすだけで精一杯の毎日では、 疲労はたまる一方です。

 

そして、時間ができた時考えるのは「休みたい」「眠りたい」。これでは、セックスを楽しむ気になれないのは当然です。

 

 

夫婦関係 <親子関係

親子のつながりが優先されがちな社会背景にも言及しておきます。

 

夫と離れて実家で出産する風習から始まり、子供が生まれてからは、仕事に行かなければならない夫は別室で寝て、子供が大きくなると「川の字」で寝るご家庭もまだまだ多いと思います。

 

一方、西洋では赤ちゃんが朝まで眠れるようになると、大抵一人で寝かされます。そして夫婦は一つのベッドで眠るのが一般的です。

 

これは、それぞれにメリット・デメリットがあるので、どちらが良いとは言えません。

 

個人的には、これは夫婦の選択の問題で、お互いで話し合い、納得していることが重要だと思っています。

 

ただ、夫婦関係に限って言えば、夫婦の時間を持つことが大事なので、やはり一緒に寝た方が良いように感じます。

 

 

普通は〜、男は〜、女は〜の呪縛

どれもよく聞く言葉です。実際、自分が持つ世間一般のイメージに自分が合ってないと悩む人の、なんと多いことでしょう。

 

みんな « 普通 »でいたいのです。でも普通って何でしょう。

 

そして、「そうあるべき」という思いに縛られて自分の気持ちを殺してしまうことが、いつも必要なのかどうかは改めて考えてみたいですね。

 

相手に対しても、「こうであるべき」という思いが強すぎると、無駄な不満が溜まるばかりです。

 

例えば、あたなが「性的なことは男性から誘うものだ」という思いが強すぎると、自分がムラムラした時、我慢するしかありません。

 

相手には「なぜ誘ってくれないの?」と不満と怒りが向かいます。あなたが誘えば相手も喜び、充実した性生活が送れるかもしれないのに、です。

 

 

男女の差が縮まってきた

長い間、日本には、男尊女卑の考えがありました。 性生活についても、男性が望めば文句を言わずに従っていた女性が多かったと考えられます。

 

ですが現在、女性もずいぶん声を上げるようになりました。嫌なものは嫌とはっきり主張できるようになりました。

 

男女のスレレオタイプが根強く残っている一方で、以前より女性は 強くなり、男性はマイルドに、男女の差が縮まってきていると言われています。

 

そんな中で、表面化しなかった女性の性への不満が、「セックスレス」という形で表面化するようになったわけです。

 

 

さいごに

今回は、セックスレスに繋がりやすいと思われる日本の習慣や考えを書いてみました。

 

いつもと違った目線で、「セックスレス」や「セックス」のことを考えていただけたら幸いです。

 

次回はいよいよ、具体的なセックスレスの対処方法に触れていきたいと思います。

 

 

kawasemari【執筆者】

川瀬まり

臨床心理士(psychologist)性セラピスト(sexologist)

川瀬さんのホームページはこちら

 

 

 

※パッハー・アリス,「カップル間のセックスレスはなぜ起こるか−20代に置ける日本人男女を対象とした性意識・性行動の調査からー」,明治大学大学院文学研究論集(41)p69-82

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