「できない=怠け」と思っていた自分に若年性パーキンソン病が教えてくれたこと
目次
若年性パーキンソン病の進行速度
ところが、同病の集まりで同年代の方とお話しすると、若年性の方が進行が早いように感じることが多く…。
むしろ、老年のパーキンソン病の方々の方がリハビリに時間を割くことができるため、進行が遅いようにもお見受けしていました。
・手の震え(振戦)
・喋りづらさ(構音障害)
・食べ辛さ(咀嚼困難)
・飲み込み辛さ(嚥下障害)
と、次第に日常生活が困難なものになっていきました。
若年性パーキンソン病と治療
不足しているドーパミンを薬剤で補給するのが一般的です。
ただ、僕は薬の副作用が怖くて、診断後半年間は投薬を拒み、整体や自主的な運動で何とかできるのではないかと考えていました。
同病仲間から薬についても話も聞いていたので決心できたのですが、最初は薬がまったく効かずに焦りました。
それは「もしかしたらパーキンソン病ではないのでは?」という焦りです。
でも、なかなか効果を実感しづらい日々が続きました。
他の薬も試しても、気持ち悪くなり駄目だったりと焦っていました。
若年性パーキンソン病のリハビリ
ここで教わった運動をベースに、自分の症状に合わせたトレーニングを自宅でも工夫して行っています。
・腰伸ばし、腰回し、股関節回し
・膝回し、股関節伸ばし、屈伸、スクワット
・青竹を使っての足首伸ばし、ふくらはぎ伸ばし、膝裏伸ばし
・タオルを用いた肩甲骨ストレッチ、脇腹伸ばし
などです。
構音・嚥下障害には、あいうえお、あえいうえおあおなどの発音や発声練習、舌回し、顔ヨガ。
他にも色々なメニューがあるので、青竹を使ったストレッチが個人的には一番合っていました。
足首が固まってしまいがちなので、足首・ふくらはぎ・アキレス腱には意識的にストレッチが必要だと思っています。
足裏に刺激を与えていかないと、足が地面に着いた感覚もずれてしまうので、時間がないときは青竹だけやっています。
同病仲間の声で食事や睡眠も改善
それによって、僕自身はだいぶ症状が緩和してきた感覚があります。
血流は運動以外に、寝起きの白湯や、毎晩湯船に浸かったり、熱めのシャワーを足先に長めにかけたりするのも私にとっては効果的でした。
それでもし改善しなければ元の食事に戻せばいいだけで、副作用があるわけでもないですし。
以前は4,5時間だった睡眠時間も今は8時間ほどになりました。
パーキンソン病で眠れなくなってくる人もいる中で、しっかり寝られているということでまだ症状としては軽いのかもしれません。
ただ、例えばリハビリ施設がない医療機関の場合、立場上、医師もリハビリを勧めにくい面があると思います。
だからこそ、患者の中でやってみて良かったことも積極的に取り入れようと。
実際に主治医の先生も「改善しているし良いんじゃない」と言ってもらえています。
若年性パーキンソン病でも仕事を続ける
・無理しない
・気にしない
・焦らない
この3つを大切にしています。
パーキンソン病と診断されるまでは、多岐にわたる業種の大企業やオーナー企業、スタートアップなど約500社を担当していました。
また、転職カウンセラーとして月40〜50名の方の転職相談を受けていました。
ただ、診断を受けてからは企業担当を続けることは難しいと判断して、引き継ぎを行いました。
転職の対面カウンセリングでは振戦や構音障害が気になると思い、電話やSkypeでの業務へ自主的に切り替えたりもしました。
パーキンソン病と一口で言っても症状には個別性があります。
「分かってくれ」と言ってもそこには限界があると思っていたので、全部開示するようにしています。
半期に一度の全体ミーティングでも「病気のことについて共有しますと…」と自分の症状も言うようにしています。
といった会社と当事者のコミュニケーションの問題はしばしば耳にしますが、上記のようなやり取りができているおかげか、そのような問題は起きにくいと思います。
そして、社長が社内に対して「これから大変になるかもしれないけど、助けてやってくれ」と根回ししてくれていたおかげも大きいです。
自分が「透明人間化」したような感覚はやはりどこかで悔しさもあります。
でも、自分が上の立場だったら同じようにするかもしれないとも思っています。
病気だとしても「期待しても大丈夫」と思える結果を残していくんだという意地はまだ失わずにいます。
できる仕事に集中して、従前より準備に時間をかけ、結果を出そうと工夫をしています。
これらは「無理しなかった」効果だと思います。
気にし出したらキリがないので、とにかく今の自分で最善を尽くす。手を抜かない。
なかなか頑張ってるとは分かりにくいとは思いますが、きっと神様は見ていてくれると信じて、愚直にやることを励行しています。
焦らないために、ルーティンをしっかりやりきり、計画を前倒し、常に心に余裕がある状態をつくるように心掛けています。
それにより、交感神経優位な状態にせず、副交換神経が優位な状態であるようにして、不要なストレスを抱えないように心掛けています。
若年性パーキンソン病 家族の理解
劇的な変わりようですよね。笑
また、土日も妻と一緒にパーキンソン病関連のイベントなどに行くことが増え、色々と話す時間も増えました。
常にピリピリしていたというか。
子供のできないことに対しても、「なんでだ」から「そういうこともあるよな」に変わりました。
許容できるようになったことが大きな変化でしょうか。
以前は「できないことは怠け」と思っていたことも、「そうは言っても、できない人もいるよね」とやっと理解できるようになりました。
若年性パーキンソン病になったのは、「病気で体が動かなくならないと分からないんだろう」という神様からの警告だったのかなと。
普通、嫌ですよね。年頃の女子高生が、父親と表参道にパフェを食べに行くなんて。笑
ありがたいことに、良い子に育ってくれました。
若年性パーキンソン病 完治への思い
それが今では、薬を飲めばなんとか行動できるようになり、相対的に完治へのこだわりは減ってきている気はします。
もちろん、大変は大変なのですが。
「食事」「運動」「睡眠」で体質改善し続けていけば、根治とまではいかないまでも、少量の薬で支障なく日常生活していけるようになるのではないか、と本気で思っています。
その後、30冊以上の健康にまつわる本を読み、同病の先輩方の話を聞き、「体質改善」に取り組むことを決意。
その結果、わずか半年で歩行改善し、他の症状も徐々に改善の実感があります。
引き続き「継続は力なり」で身体を労り、本来の身体の力を呼び起こし、難病を克服できたら良いなと思っています。
だから、病気を必要悪として捉えている部分もあります。
逆に言えば、ぶっ飛んだ発想かもしれませんが、「病気が必要がない」となれば治っていくんじゃないかという思いも持っています。
若年性パーキンソン病 同病の方へ
僕の場合、幸いにも妻や勤務先の社長が良き理解者なのでとてもラッキーですが、それでも「悔しい思い」をすることは多いです。
その思いを共有できたり、話し合えたり、解決法を提示してくれるのは「同病の方たち」です。
ただ、同じ境遇の方と話してみて、「大変なのは自分だけじゃない」と知るだけでもだいぶ心持ちは変わってくるはずです。
若年性パーキンソン病とこれからのこと
難病患者の就業について考える会への参加をきっかけに、パーキンソン病以外の難病患者の方とも知り合いになり、色々な苦労と葛藤を知りました。
そして本当の意味で多様性のある社会づくり、カッコよく言うと、A symbiotic society(共生社会)づくりに、難病患者という立場で貢献できたら良いなと考えるようになりました。
これも、まずは一歩踏み出したことから輪がじわじわと広がっていった結果だと思っています。
難病という言葉を聞いただけで拒絶してしまう人もいます。
知らないことが一番怖いと思っていて、若年性パーキンソン病という症例をもとにPDcafeで短編映画を作る試みにも参加させてもらっています。
「難病なんだけど、この人普通なんだな」と。
病気は持っているけど、それまで普通に生きてきて、たまたまその人の人生に病気が追加されただけ。
その人の人生そのものを否定されるものではないんですよね。
「怖くない」
「意外と普通なんだ」
「◯◯という障害・難病にはこういう症状がある」
ということを知ってもらうための工夫や交流の機会を増やしていくために、様々なチャレンジをしていきたいと思っています。
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2020年4月26日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。