【LGBT】職場のダイバーシティ、どう取り組んだらいい?当事者視点でクロストーク
2020年3月、厚生労働省が「多様な人材が活躍できる職場環境に関する企業の事例集~性的マイノリティに関する取組事例~」を公表しました。
性的マイノリティ当事者も含め、誰もが働きやすい職場環境作りに企業の関心が高まりつつありますが、当事者の生きづらさや困難さは周囲には見えにくく、企業による取り組みがなかなか進んでいないのが現状です。
そこで今回、LGBT当事者という側面も持つお二人に、厚生労働省が公表した資料の中から、企業と労働者を対象にしたアンケート調査を踏まえてお話を伺いました。
鈴木茂義さん(写真左):公立小学校非常勤講師。自治体の相談員。専門は特別支援教育、教育相談、教育カウンセリングなど。14年間の正規小学校教諭として勤務を経て現職|鈴木さんの詳しい情報、研修・講演のご依頼はこちら
荻野佳織さん(写真右):LGBT当事者であることをオープンにした上でパーソルチャレンジ株式会社で勤務する傍ら、社内のアライ活動にも参画している|パーソルグループのセクシャルマイノリティの取り組みはこちら
〈進行:近藤雄太郎(Reme)〉
目次
職場でのカミングアウトとアウティング
その中の労働者アンケート調査結果をみると、性的マイノリティといっしょに働くことに「抵抗はない」「どちらかと言えば抵抗はない」と答えた人は半数以上。
性的マイノリティの知人がいない人の場合、「抵抗はない」と答える人の割合は低い傾向にありますが、お二人の職場では実際いかがでしょうか?
実際は職場の中で「仕事を通して繋がっている」のであり、居心地の悪さを感じることは私は少ないですね。
カミングアウトはどのようにしたんですか?
言わまいか言うか、数秒間思いを巡らせて「この人だったら大丈夫だな」と打ち明けました。
「今まで出会ったこともなかったし、無知だったから、知らないうちに色んな人を傷つけてしまったのかもしれない」
と、自分責めを始めてしまって。
自分を理解してくれた人がまた一人増えて、私の職場の中での心理的安全性もまた一歩高まったと感じています。
荻野さんの場合はいかがでしょうか?
パートナーとの何気ない出来事など、気遣わずに周囲に話せています。
「●●さんってそっち系の人って噂あるよね、知ってる?」
と聞かれたことがあったからです。
「あ、私もカミングアウトしたら、同じように噂されたり、勝手にアウティングもされるかもしれない」
と思いましたね。
「理解を示してくれそう」
「この人は信頼できると自分が決めた」
と思える人にしか職場ではカミングアウトしないようにしていました。
LGBTQに限らず、何か大事なことを「誰まで言うか」「どこまで言うか」のゾーンを自分で決めていたんですが…
とアウティングされたこともありました。
でも、中には「自分のプライベートのことを職場で言っちゃいけない」と考える人もいて。
そういう人から見ると、「ずるい」と。
「理解してください」と言ったことは一度もないんですが…。
「しげちゃんは、イチ抜けたんだよね」
と言われることもありますし、カミングアウトする人はまだまだ少数派だと実感します。
1回では終わらないカミングアウト
自身のセクシャリティのことはかなりオープンにして働いていると思います。
どのように伝えたんですか?
すると、その場で社内制度を教えてくれたり、「面接の結果には影響はないので安心してください」と言ってもらえて安心しました。
そもそも、面接で伝えて落とされるケースってあるものでしょうか?
例えば、トランスジェンダーの場合、トイレなどのハード面での入社後対応が難しくて断られるケースもあります。
実際、パートナーにも怒られたくらい。
パートナーがカミングアウトすると言った時、自分は止めたくせに…。笑
「結婚はしていないけど婚約者が…」
と、嘘にならない程度に隠すのも地味に精神的に疲れますし。
「なんで結婚しないの?」と聞かれて、「同棲も長いし、今のままでもいいかなぁ」と切り返したりとか。笑
今では、軽いトーンで職場での日常会話でも違和感なく話せています。
「パートナーさんと、週末は何して過ごしていたの?」と、普通の会話の中で聞かれることも増えてきました。
ただ、そういう自然な会話を望んでいたはずなのに、いざ聞かれると、まごまごドギマギしている自分もいます。
「知らず知らずのうちに、自分の中に内面化された差別が思っている以上にあるんだな」
とも感じました。
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2020年8月12日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。