育児中の妻を救うストレス解消法10選!育児中の臨床心理士が夫視点から解説
育児ママのストレス解消に必要な3つの要素
自分のペースで物事を進められること
育児中のママは、どうしても自分のペースで食事をしたり、トイレに行ったり、買い物をしたりすることが難しくなります。
女性は一般的に複数のことを同時にこなすことが男性よりも得意であるとは言われていますが、自分の考えている段取り通りに進んで行かないことは、実はものすごくストレスを感じることなのです。
もちろん、「育児というのはそういうものだ」と言われてしまえばそれまでなのですが、あまりにも自分の思うように事が運ばなさすぎると、「どうせ何をしたって邪魔されるし…」とママ自身の活力まで失われてしまうリスクがあるのです。
これは≪学習性無力感≫と言われるもので、何度も繰り返して上手くいかない体験をしてしまうと、挑戦すること自体をやめてしまう概念です。
その状態に陥ってしまうと、SOSを出すことや何かに取り組むこと自体の意欲をなくしてしまい、ママがどんどん孤立化していってしまう危険性があります。
そうならないためにも、リフレッシュの時間、「自分のペースで自分のやりたいことが出来た」という達成感を抱ける時間を作っていくのは非常に大切なことだと思います。
気持ちを外へ吐き出せること
感じていること、考えていること、思ったこと、育児中のママはどうしても子どもが優先になってしまいやすく、自分の気持ちを流してしまったり、押し込めてしまいやすいと言われています。
そのような中で、ご相談者さまの奥様は言葉のキツさはあれど、一所懸命に気持ちを外に吐き出そうと頑張っておられるのだろうと感じます。
気持ちを吐き出すだけでも≪カタルシス効果≫というすっきり感を得られるため、まずは否定せずに聞いてあげることを大切にすることをおすすめしますよ。
ただ、どうしてもパパを否定する言葉が多くなってしまうとパパも心が苦しくなってしまうかと思います。
つい結論を出したくなってしまうかと思うのですが、ママとしては「聞いて欲しいだけ、頑張っていることを分かって欲しいだけ」の可能性もあります。
「じゃあどうしたら良いの?」などと議論にしないようにして、
「すごく頑張ってることがよくわかる。ありがとう」
と感謝を伝えるだけにしておくことはママやパパ自身を守る上で大切なことかもしれませんね。
ママが笑顔でいられること
自分のペースで動ける時間を作ることや、気持ちのリフレッシュをすることなど、先に挙げたストレス解消法にとって必要なことは「子どもを誰かに預ける」体験です。
ただ、お子さんを預けることに罪悪感を抱いてしまうママはとても多いかと思います。
特に頑張り屋さんなママほど、預けていても気が気じゃなかったり、上手く心や体を休ませることが出来ない方が多いと感じます。
ただ、ママがリフレッシュをして、ママ自身が笑顔でいられることで、お子さんの情緒発達も促進されると考えられているのですよ。
「ママがニコニコしていると、子どももニコニコする」
「子どもが笑顔だと自然とママも笑顔になる」
「子どもが泣いているとママも泣きたくなる」
など、ママと子どもの気持ちが繋がっているように感じた体験がもしかしたらあるかもしれません。
これは≪情動調律≫と言われるもので、子どもの表情、感情にママが気持ちを合わせること、ママの表情、感情に子どもが気持ちを合わせること、双方の方向があります。
それを繰り返していくと、感情豊かに育っていくと言われています。
感情を合わせるためには、心の余裕が必要ですので、ママが笑顔でいられるようにするにはどうしたら良いかな?と考えていくことはおすすめですよ。
育児ママのストレス解消法でNGなこと
1. 自分だけが孤独感
奥様が「なんで私ばっかり」と言ってしまう背景には、孤独感の強さがあるように感じられます。
「育児中は昼夜を問わず気を張っていなければ」と思ってしまうし、パパは仕事があるからと頭では分かっていてもモヤモヤしてしまうことはよくあることだと思います。
もちろん、育児のメインはママというのは変えることが難しいのですが、「一緒に子育てをしている」ことをママに伝えていくことはとても大切ですね。
そのためには、パパ自身が「ママの育児のサポートをしている感覚」を脱ぎ捨てることが大切です。
「二人の子だから、自分が相手するのは当たり前だと思っているよ」
と伝えてあげるだけでも、ママの孤独感は少し和らぐのではないかと思いますよ。
2. 母親だから~という思い込み
「やっぱりママじゃないとだめみたい」といった言葉を無意識に言ったりしていませんか?
ママだってダメなときはダメなのです。
ただ、自分が最後の砦なので「やるしかない」と頑張っているのかもしれません。
その積み重ねが「ママが良い!」ですので、パパも投げ出さずに踏ん張ってみることはとても良い経験値になるかもしれませんね。
3. 罪悪感を与えること
お子さんを預かったり、お風呂に入れてあげたりした後に「大変だったー」と言うことは、もしかしたらママに罪悪感を与えてしまうかもしれません。
ただ、もちろんパパにだって弱みを言ったり、しんどかったーと言える体験も大切です。
ポイントなのは「大変だったー」の後に、
「いつもこれをしているんだよね。本当にすごい」
とママを労ってあげる言葉をつけることです。
そうすると、ママとしても「わかってもらえた気持ち」になり、また頑張ろうと思えると思いますよ。
実際に嬉しかった・悲しかったパパの言動
嬉しかったパパの言葉
「育児もして家事もしてっていうのは、なかなかやれることじゃないよ。ありがたいなといつも思っているよ」
と自分のしていることを丸ごと褒めてもらえたのはとても嬉しかったです。
悲しかったパパの言葉
と言われたのはとても悲しかったです。
頭では分かっているけど、それが出来ないから困っているのだし、わかったように、他人事のように言われると「分かってくれていないのだな」と孤独感が強まるのを感じました。
「頑張りすぎていて心配」というニュアンスで言ってくれれば良かったのになぁと今振り返ると感じています。
ママとのコミュニケーションのコツとしては、
「受容と共感」
「ポジティブな言葉を伝えるような心がけ」
などがとても大切になると感じます。
女性は、多くの場合「わかってもらいたい気持ち」が強く、話をする際にも「問題解決」よりも「共感」を求めやすい傾向にあります。
一方で、男性は「問題解決」を重視しやすいと言われていますので、そのあたりでコミュニケーションにズレが生じ、不満が生まれてきやすいのです。
ですので、ママとコミュニケーションを取る際には、
「否定したり、論理的に考えたり、結論づけないこと」
「相づちをうったり、“それは大変だったね”などの共感を示すような反応を心掛けてみること」
がおすすめです。
また、特に仕事をお休みしていたり、働いていないママは、「誰かに認めてもらう体験」が得られにくく、モチベーションを保っていくことが難しいとも考えられます。
ですので、パパが積極的に褒めたり、認めたり、「頑張っているね」と言葉にして伝えることは、ママの精神的健康をキープしていく上でとても良いと思いますよ。
つい「言わなくても伝わるでしょう」と言葉にすることが恥ずかしくなってしまいがちかと思いますが、言わなければ伝わらないことは、実はものすごくたくさんあるのです。
まずは「ありがとう」を意識して伝えるようにしてみるとコミュニケーションが潤滑に進んで行くかもしれませんね。
パパが育児ストレスで潰れないために
1. お金で解決できるものを許容していくこと
もちろん、休日にパパに子どもを預けてママ一人の時間を作ることも大切ですが、仕事で疲れていて、さらに休みもずっと子守りとなると、パパの気が休まるときがなかなかなくなってしまいますよね。
ですので、平日に一時保育などを利用して、リフレッシュの時間を取ることなども積極的に考えていかれることがおすすめです。
また、料理もだいぶ負担がかかるものですが、パパが休みのたびに料理を担当するのもしんどいかと思います。
外食をしたり、デリバリーを利用することも、ママのストレス解消とパパの休息には良いことと思います。
もちろん、金銭的な事情もあるかと思いますので、頻度などはご家庭に合わせてで良いと思います。
月に一回でもそのような時間を取れることは、きっとママにとってもパパにとっても心強いだろうと思いますよ。
2. パパ自身も気持ちを吐き出せる場を作ってみる
ママと同様に、パパ自身も、仕事をしていくなかで、どうしても「愚痴を言ってはいけない」「頑張らなければいけない」といった責任感や、弱みを見せることへの抵抗感が生まれてきてしまうかと思います。
ただ、心の健康にとっては、ちょっとした弱みを見せたり、色々なことを話せる体験は、とても大切なことなのです。
気持ちが言えないまま、風船が膨らむように気持ちがどんどんと溜まってしまうと、変なところで爆発をしてしまったり、コントロールが出来なくなってしまうので、意識してガス抜きを出来るようにすることがおすすめです。
まずは「弱みを見せてはいけない」という思いを荷卸ししてあげましょう。
もちろん仕事の愚痴など、ママにも言えそうなことであればママにでも良いですし、「パパ友達」を作るのも良いと思いますよ。
3. ママ-パパ-子どもの三角形ではなく、パパ-子どもの一対一の関係を目指す
パパが一所懸命ママの力になりたいと頑張ったり、サポートをしたりしていても、なかなか思うようにいかなかったり、「ママー!」と泣かれてしまってしんどくなってしまったりすることは生じてしまうかもしれません。
そして、ママがいる場でお世話を買って出たりしても「違う」と文句を言われたり…。
パパ自身もイライラしてしまうかもしれませんね。
どうしても、日頃から長く接しているのはママですし、ママと子どもとの繋がりは、越えられない壁のように感じてしまって、パパ自身が疎外感や孤独感を感じてしまうことにもつながりかねないと言われています。
その背景には、ママがいて、パパがいて、子どもがいて…と「みんな一緒に動く三角形」を目指そうとしてしまうことが考えられるのではないかと思っています。
例えば、家族みんなで出かける、家族みんなで食事をするなど、家族が一体となっているイメージですね。
もちろん、家族みんなで行動することも非常に大切ですが、「それを常」にして、その中でバランスを取っていこうとしすぎてしまうと、ママにとってもパパにとっても苦しくなってしまうのです。
そこでおすすめなのが、「パパ-子ども」の一対一の時間を作ることです。
例えば、
・ママには出来ない遊び(体を使ったものなど)をする
・2人だけで実家に帰ってみる
など、「パパだからこそ」の特別体験を積んでいくことで、パパとしてもお世話の自信が湧きますし、ママも一人で過ごす時間が取れると思いますよ。
最初は大変かと思いますが、「自分でやるしかない状況」はパパをたくましくしてくれると思いますので、取り組んでみてくださいね。
さいごに
今回は育児中のパパ視点から、ママのストレス解消に役立つヒントをママさん臨床心理士に解説していただきました。
ただ、ママのストレスを癒そうと、パパが疲弊してしまっては本末転倒になってしまいます。
今回ご紹介したストレス解消法や育児に対する心構え、そしてママとのコミュニケーションのポイントを実践して、ママもパパも育児に対して前向きになれる時間を増やしていきましょう。
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- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2020年6月20日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。