【第33話: 共同作業】〜お父さんうつ日記〜
この4コマは、父の薬を壁に貼る作業を続けてしばらく経った頃のお話です。
この日、私はいつもと同じように薬を壁に貼ろうとして、リビングのテーブルに父の2週間分の薬とマスキングテープ、マジックペンを広げていました。
そのときたまたま兄が部屋から出てきて、私の作業する様子を伺ってから私の近くに座りました。
14日分の薬を日付ごとに分けて貼りける作業は、実はそこそこ面倒なものだったので(笑)、「嫌だって言われるかなぁ〜」と迷いつつも、間髪入れずに「手伝って」と兄に言ってみました。
兄の反応は意外なもので、すんなりと受け入れてくれただけでなく、「日付書くの?」と聞いてきました。その兄の反応は、私にとってとても嬉しいものでした。
というのも、家族の関係が不安定になっていた我が家では、なんとなく父の様子を気にしているのは、自分一人だけのような気分になっていたからです。
だから、「あ、お父さんに関心持ってくれてるんだな」と少しほっとしたんです。
そしてもっと言うと、兄が「日付を書く」と言う作業を知っていたことも嬉しく感じました。私がやっていたことを見ていてくれたなんて微塵も思ってもいなかったから(笑)
そして、当たり前ですが、この日の作業はいつもよりずっと早く終わりました。
きっと、ただ2人でやったからというだけではなくて、いつもより作業が楽しく感じられたから、余計そう思ったんだと思います。
自分以外の家族と一緒に作業ができたこと、しかもそれが意外にも兄だったということで、とても印象的だったので4コマに収めました。
思い返してみれば、これは「家族で協力し合っている」と実感できた数少ない体験でした。
父については多分みんなそれぞれ思うところがあって、小さな工夫や努力をしていたんだと思います。
でも、家族全員の協力の上で事が進んでいったということはほとんどありませんでした。
もし、家族みんなでちゃんと話し合う機会があったら、もし、みんなが納得する形で父の療養生活が進められたら、もしかしたらもう少し私たち家族は平穏な気持ちでいられたかもしれません。
家族メンバーがそれぞれ何を考えているかなんて、口にしないと分からないものなのに、それを怠ったのは「家族だから」っていう甘えがあったからでしょうか。
ちゃんと話し合って協力し合えていれば、少なくとも私と母はもっとお互い優しい気持ちでいられたんじゃないかなと今更ながら思っています。
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【執筆】
シブ子
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- 本記事は2017年8月13日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。