地域定着支援とは?期間・対象・支援内容・費用・申請・事例を社会福祉士が解説

2017.09.24公開 2019.05.16更新

単身にて、地域で生活することは自信にもなりますが、病気や何かしらの問題が出てきたときのことを考えると不安になる方も多いことでしょう。

 

しかし、そのような中にいる皆様に適したサービスが存在します。それが地域定着支援です。

 

たとえ、1人で生活していても、このサービスを知っていることで安心感が増すことでしょう。ここでは、地域定着支援についてご紹介します。

 

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地域定着支援の対象

地域定着支援のサービスを受けることのできる方は、以下のとおりです。

・精神疾患を始め、何かしらの障害を持っている方

・単身生活をしているため、緊急事態が発生したときに支援を受けることができない方

・家族と同居をしていても、家族が病気や障害を持ち、緊急事態の対応を行うことが困難な方

・地域生活を継続して行っていくために、緊急支援が必要な方

・精神科病院などを退院した後、地域社会での緊急時の対応を必要としている方

 

地域定着支援の支援内容

地域定着支援とは、障害を持ちながらも単身で生活している方や、何かしらの理由で家族などの支えが困難な方を対象にしています。

 

自分では対処できない緊急事態が発生したときに、対象者を即座にサポートできるサービスのことを言います。

 

常日頃から、緊急事態が発生しても敏速に対応できるよう、夜間の連絡や彼らの家族にも連絡がスムーズに取ることができるようなシステムも確立しています。

 

また、緊急時には利用者宅への訪問や医療機関などとの連携などを行っています。

 

 

地域定着支援の費用

地域定着支援を行う事業主は、指定された一般相談支援事業者が担っています。

 

しかし、サービス提供の費用は、公費でまかなっているため、利用者の負担は無料です。

 

 

地域定着支援の利用方法

地域定着支援のサービスを受けたい方で主治医がいる場合は、まずその旨を相談することが大切です。

 

主治医や医療スタッフがともに協力し、申請の手伝いをしてくれるでしょう。サービスの申請は、最寄りの保健福祉センターに行います。

 

センターの担当職員は、申請者の置かれている状態や現在利用している福祉サービスなどについて把握したうえで、特定された指定相談支援事業者へ、申請者に適したサービス等利用計画案を作成してくれるよう要請します。

 

計画案が仕上がると、申請者と保健福祉センターへ概要を送り、それが適切な計画案だと判断されると、サービスの支給決定を認め、申請者には受給者証が届けられます。

 

 

地域定着支援の事例

【Aさん 60代男性】双極性障害

Aさんは、双極性障害を持ち、通院を続けながら時々入退院を繰り返していました。

 

若い頃は、母親も元気だったため、自分の症状が重くなることがあっても、あまり気に留めていませんでした。

 

しかし、60を過ぎた頃から母親が体調を壊したため入院。単身生活を始めました。

 

そんなある日、躁状態だったAさんはお酒を買い込み、大量飲酒をしたためか、具合が悪くなり起き上がることができなくなり、翌朝ホームヘルパーがAさん宅を訪問するまで心細い時間を過ごしました。

 

そのときは、入院を余儀なくされましたが、治療によって回復。退院の運びとなりました。

 

しかし、Aさんはこのような体験をしたため、自宅に戻っても緊急事態が起こったらどうしようという不安があり、そのことを主治医に相談しました。

 

主治医は、Aさんの不安を減らそうと、地域定着支援サービスの利用を提案。

 

夜間の連絡や緊急事態にも対応してくれることを説明すると、Aさんもぜひ利用したいとの同意を得られたため、保健福祉センターへ利用の申請を行いました。

 

Aさんは、精神障害者保健福祉手帳の2級を所持していたため、担当の職員がAさんの障害状態などを把握する際もスムーズに事が進み、指定相談支援事業所が計画案を仕上げた後、それがAさんの元へも送られてきました。

 

そこには、状態が悪くなった際には、すぐに担当職員が緊急訪問することや、何かしらの不安や疑問が出てきたときは、夜間でも連絡を取り合えるようにすることなどが盛り込まれていました。

 

Aさんは、これで単身生活に戻っても安心して生活できると感じ、無事に退院する運びとなりました。

 

現在のAさんは、通院治療を続けながらも、地域定着支援サービスを利用できることが心強くなっているのか、安定した日常生活を送っています。

 

そして、この前のように大量飲酒をしたくなったら時間を問わず、相談できる場所があることも嬉しく感じているようです。

 

また、地域定着支援サービスを取り入れることで、精神科病院を退院したAさんのような利用者がどんなときでも誰かが「見守ってくれている」と感じることは、とても重要です。

 

地域社会での生活を継続しやすくなり、再入院を予防できるという側面でも、とても役に立っており、その効果が期待されています。

 

 

地域定着支援の利用期間

地域定着支援サービスの利用期間は、原則として1年間です。

 

しかし、1年を超えてもサービスの継続が必要だと考えられる場合は、サービス支給決定のための申請を再度行うことが必要です。

 

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久木田みすづ

精神保健福祉士・社会福祉士

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2017年9月24日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。