【臨床心理士解説】更年期で無気力感やだるさ…どんな対処法・対策がありますか?

2023.01.08公開 2024.02.11更新

なんとなくやる気が起きなかったり、だるさや身体の重さを感じる…

 

なにかと体調に異変を感じやすい更年期にメンタル面の不調を覚える方も少なくありません。

 

そこで今回は無気力感やだるさに対して日常生活の中でできる対処法・対策について臨床心理士に解説していただきました。

 

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更年期で無気力感やだるさ

更年期障害とは、閉経などに伴ってホルモンバランスが崩れ、様々な不調を呈する状態です。

「40歳代以降の男女の性ホルモン分泌量の低下が原因となる自律神経失調症に似た症候群」

と定義されているように、女性だけでなく男性にも起こるものです。

 

症状は、

のぼせや顔のほてり、

脈が速くなる、

動悸や息切れ、

異常な発汗、

血圧が上下する、

耳鳴り、

頭痛やめまい、

といった身体的な症状から、

憂うつや不安、

不眠、

イライラ、

といった精神的な症状まで様々です。

 

身体の疲れやすさやだるさから、何もしたくないという無気力に繋がることもあります。

 

また、働き盛りの世代であることから、仕事でのキャリアを諦めたり、家事や育児がままならなかったりと、生活に支障をきたすこともあります。

 

原因はホルモンバランスの乱れですので、ホルモンバランスを整えることが症状の改善につながります。

 

日常生活の中で行うことのできる対処法としては、以下が挙げられます。

 

7割できればよしとする

真面目で頑張り屋、神経質、完璧主義といった性格の人は、更年期障害になりやすい傾向にあります。

 

更年期で体力の衰えや集中力の低下といった症状があるにもかかわらず、これまでと同じように頑張ろうとしてしまうと、そのストレスからかえって症状を悪化させてしまいかねません。

 

これまでできていたことが思うようにいかないとなると、そのギャップに戸惑うでしょうし、イライラも募ることと思います。

 

できない自分を認めるのはとても勇気がいることですが、更年期の症状はホルモンバランスが落ち着けば、やがて終わりがきます。

 

それまでの間は、これまでのように全てを完璧にできなくても「7割できればOK」と考えてみるように心がけて、頑張りすぎないように意識してみましょう。

 

自分をいたわる

更年期障害の起こりやすい40〜50代というのは、人生の折り返し地点を迎え、体力の衰えや将来への不安を経験することが多い時期です。

「自分の人生、このままでいいのだろうか」

そんな問いも生まれてくることでしょう。

 

このような心の変化は、誰にでも起こりうるものです。

 

これを機に、これまで使ってきた自分の身体に感謝をする気持ちで、自分をいたわってあげてみてはいかがでしょうか。

 

寝る前に自分の両手で自分自身を抱きしめて、「今日も一日お疲れ様」と声をかけるのがおすすめです。

 

実際に抱きしめるのが恥ずかしいと感じる場合は、そのイメージをするだけでも構いません。

 

睡眠環境を見直す

ホルモンバランスを整えるには、自律神経の乱れを整えることが効果的です。

 

そのためには食事や睡眠といった生活習慣を改善することが重要になってきます。

 

特に睡眠については、更年期障害の症状の一つに不眠が挙げられているほど、重要な要素です。

 

睡眠を改善するためには、直接ホルモンバランスの治療を行う以外にも、睡眠環境を見直すことも効果的です。

 

たとえば、

寝る前にスマホやテレビ、パソコンなどのデジタル機器を見ない

 

枕などの寝具を自分に合うものに新調する

 

好きな匂いのアロマを焚く

 

寝る前の考え事を止める

といったものが挙げられます。

 

また、夜間睡眠の質を上げるために日中に意識することとしては、

朝日を浴びる

 

昼寝を15分以内にする

 

適度な運動をする

といったものが挙げられます。

 

病院を受診する

更年期障害の初期症状はだるい、寝付けないなど身体的なものから出ることが多いです。

 

しかし曖昧な症状であるため、更年期障害だと気づかずに無理をして生活を続ける方も多いようです。

 

その結果、憂うつや不安、無気力といったような精神的な不調に発展してしまいます。

 

更年期障害の原因はホルモンバランスの乱れですので、日常生活に支障が出るほどつらい場合は、病院で治療を受けられることをお勧めします。

 

その上でここまで紹介したセルフケアと並行していただくと、より症状が改善される可能性が高まるかと思います。

 

女性の場合は婦人科や心療内科、精神科など、男性の場合は内科や泌尿器科、心療内科、精神科など、症状にあわせて適する診療科を受診されるのが良いでしょう。

 

さいごに

更年期の症状が出ている間は、思うように物事が進まず、身体もつらく、マイナスな思考になりがちです。

 

年を取ることに抗おうとする「アンチエイジング」だけでなく、年を取ることの良い面を捉えて、良い年の取り方をしようとする「ウェルエイジング」という考え方もあります。

 

不調になったことを機に、これまでの生活を見直したり、これからの生き方について考えたりする機会にしてみてはいかがでしょうか。

 

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【参考文献】

・厚生労働省 e-ヘルスネット 更年期障害 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-081.html (2022年10月20日閲覧)

・NHK 健康ch (2021). 女性に必ず訪れる更年期 症状や原因、女性ホルモンのゆらぎとのつき合い方 https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_438.html (2022年10月20日閲覧)

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鈴木のぞみ

臨床心理士/公認心理師

大学院在学中から、放課後等児童デイサービスや中高生へのソーシャルスキルトレーニング等の現場に携わる。修了後は精神科救急病院に勤務し、カウンセリングや心理検査等の業務に従事してきた。出産を機に退職し、現在は育児の傍ら相談業務を行っている。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2023年1月8日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。