【大人の発達障害】仕事上での特徴とは?9の事例から精神保健福祉士が解説
ADHD(注意欠陥多動性障害)の仕事上の特徴
1.発想力が豊かで次々とアイデアが浮かぶ
ADHDの特性をもつ方は、じっとしていることが苦手な人が多いです。
驚くほどの行動力と、バイタリティで次々と様々なアイデアを思いつく人もいます。ベンチャー企業の創業者には、ADHDの特性をもっている方が多いと言われています。
頭の回転が速く、多動で多弁。思いついたことを、整理する前に、動き出してしまうので、
「突然、興奮した調子で電話がかかってきたけど、何が言いたいのか?話の要点がわからなかった」など、周囲を驚かせてしまうこともあります。
2.衝動的に行動する
ADHDの特性を持つ方は、実年齢に比して、衝動的で飽きっぽいと言われています。
面白いアイデアが浮かぶと資金や人員など現実的な問題を後回しにして突っ走っる…。
かと思うと、あっさり興味をなくし、新しい別のプロジェクトに興味が移って夢中になったり…。
上司がADHDタイプだと周囲が振り回されることが多いです。
ADHDタイプの社長の周囲には、必ず現実的な問題対応に奔走してくれる優秀なスタッフがいると言われています。
3.気が散りやすく、片付けが苦手
ADHDの特性を持つ方は、片付けが苦手と言われています。
机の上、ノート、書類、チケット等、具体的な物だけでなく、スケジュールや人間関係なども整理するのが苦手な傾向があります。
時間に間に合わなくなってしまったり、ダブルブッキングをしてしまったり、また、衝動的な特性もあるので、忘れ物や無くし物が多いのも特徴です。
ADHDは気が散りやすいという特徴もあるので、他のことに気を取られないように、
・刺激を減らす
・何時までに何をすればよいかスケジュールを可視化する
・タイマーを活用する
・片付け方がわからない人もいるので、最初にものをしまう場所を決めておく
等の対応により、改善する場合があります。
LD(学習障害)の仕事上の特徴
1.特定の能力が極端に苦手
LDの特性をもつ方は、知的な遅れがなく、視覚や聴覚の障害もなく、学習環境も整い、本人にも意欲があり努力しているのにも関わらず、「読み書き」「計算」等、特定領域の学習が極端に苦手という特徴があります。
コミュニケーションの問題がないので、周囲からは、まじめにやっていないと誤解されることがあります。
2.読み間違える、文章を読むのに、異常に時間がかかり疲れる
LDの主要な障害の一つに「読み書き」障害があります。
この特性を持つ方は、会話では理解できるのに、文書になると、どこを読んでいるかわからなくなったり、変な場所で区切ったり、内容を読み間違えたりします。
特に、小さい文字だと間違えやすくなります。
・文字を拡大する
・定規を使って文章を追う
・パソコンの場合は読み上げ機能を使う
などの工夫で、間違いを減らす効果があると言われています。
3.海外では芸術分野で活躍する人も…
読み書き障害は、言語圏により発症率に差があります。
日本語圏では1%未満〜3%とされていますが、欧米等のアルファベット言語圏では5〜17%程度とされ、よくある障害として知られています。
読み書きが苦手な分、耳で聞いて記憶することや、イメージ力に秀でている人も多いようです。
俳優のトム・クルーズさんや、映画監督のスティーブン・スピルバーグさんも自ら読み書き障害であることを明かしています。
さいごに
今回は、発達障害をもつ方の仕事上の特徴について見てきました。
発達障害の方は、得意なことと苦手なことがアンバランスという特性を持っています。
その人の特性をよく理解し、環境を配慮していくことで、働きやすくなります。
そのような配慮は、その人だけでなく、いろいろな個性を持つ方にとっても働きやすい環境づくりにつながっていくので、少しずつ見直していけるとよいですね。
【参考サイト】
・発達障害者支援法(文部科学省)
・発達障害者支援法の改正について(厚生労働省)
・「読み書き障害児」の脳活動の異常を発見~発達性読み書き障害(ディスレクシア)の神経学的な病態を解明~(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター)
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- 本記事は2018年10月25日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。