【大人の発達障害】衝動性やパニックへの対応方法は?事例で精神保健福祉士が解説

2018.10.14公開 2018.11.03更新
 

面白そうな話には、忙しいことも忘れてぱっと飛びつき、あとで仕事が回らなくなってしまう…

 

よく確認しないで、お客様を間違えた場所に案内してしまう…

 

ルーティンワークが崩れてパニックになってしまう…

 

発達障害を抱えながら、働くのは大変なことも多いですよね。

 

今回は、衝動性やパニックが強い発達障害の方の、職場での対応方法について考えてみましょう。

 

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大人の発達障害の衝動性とは?

職場における発達障害の「衝動性」の例

有名な和菓子店に、誰が買いに行くか、職場の上司が話しているのが聞こえてきます。

 

雑誌でも特集されるような高級店です。(ああ、行ってみたいな…)Dさんは思わず「私が行きます!」と手を上げてしまいました。

 

「それは助かるよ、ありがとう。とても大切なお客様へのお使い物だから、15時までに、間違えないようによろしくね」

 

(やったー)

 

Dさんの気持ちは高鳴りますが…でも、ちょっと待って。Mさんが心配そうに見ています。

 

「Dさん、会議の準備が14時半までだけど、間に合うの?」

「しまったー!どうしよう、完全に忘れてたー!!」

 

衝動性が強い特性を持っている方には、よくこんなことが起こります。

 

「じゃあ今すぐ、急いで行ってきます!」

 

慌てて駆け出したDさん、何を買うのかよく確認せずに飛び出していきました。

 

大丈夫でしょうか?見ていてハラハラしてしまいますね。

 

 

衝動性に対する対応方法は?

1.動く前にスケジュールの確認を

衝動性が強い特性のある方は、いろんなことに興味を持ち、面白そうなことがあると衝動を抑えられずに、ぱっと行動してしまうことがあります。

 

でも動き出す前に、ちょっと待って!

 

必ず、予定を確認する習慣をつけましょう。

 

他にやらなければならない業務、約束が入っていたりしませんか?

締め切りがある業務を後回しにしていませんか?

 

スケジュールを可視化したり、タスクを細分化して張り出しておくのも一つの方法です。

 

2.出発前に、目的と持ち物を再確認

衝動性が高い特性がある方は、とにかくよく物を失くしたり、忘れたりします。

 

Dさんも何を買うか確認しないで飛び出していきました。

注文を間違えたり、

領収書をもらい忘れたり、

財布を落としたり、

網棚に荷物をのせてそのまま忘れてしまったり…

この特性を持つ方には、そんな事件も時々起こり、ハラハラしてしまいます。

 

失くし物、忘れ物の原因は、他のことに興味が移ってしまうからです。

 

電車を降りる時、レストランの席を立つ時、会社から出る時、必ず忘れ物や落とし物がないか確認する習慣をつけましょう。

 

3.荷物をシンプルに

失くし物、忘れ物のもう一つの原因に、持ち物が整理されていないということがあります。

 

不必要なものまで大量に持ち歩いていないでしょうか?

 

ハンドバッグの中に、お菓子のゴミや古い買い物のレシート等、ごちゃごちゃになっていると、大事なメモが見つかりません。

 

定期券、財布、スマホ等、必要最小限の貴重品にはリールやチェーンををつけて落とさないようにカバンに結びつけたり、ポシェットで1つにまとめて必ず持ち歩くというのも一つの方法です。

 

 

大人の発達障害のパニックとは?

職場における発達障害の「パニック」の例

自分の決まったやり方にこだわりがあるEさん。

 

いつも決まった同じ電車、同じ車両に乗り、同じパターンの洋服で出社しています。

 

Eさんの仕事は、プログラミングです。手順にもこだわりがあります。

 

ところがその日は、いつもと違う事件が起きました。

 

事務担当のNさんが体調不良でしばらく休むことになったのです。

 

代わりに今日はどうしても誰かが、電話の応対をしなければなりません。

 

他のメンバーは皆、外回りで留守にするのです。

 

そこで上司は、Eさんに「今日だけNさんの代理で電話番をしてくれないか?」と打診してきました。

 

「特別に難しい業務ではない」と上司は言います。でも、Eさんにとってこれは一大事件です。

 

いつもの決まったルーティンワークのリズムが崩れてしまいます。

 

「無理です、無理です、絶対に無理です…!」

 

Eさん、パニックを起こしているようです。大きな声を出し、冷や汗をかいています。

 

周りもEさんの取り乱した様子に驚いています。

 

 

パニックに対する対応方法

1.まずは落ち着いて、確認しましょう

Eさんのように、自分の手順に強いこだわりがあり、変化に弱い特性がある方は、予想外の突発的な出来事があると、しばしばパニックを起こします。

 

人によっては「できない、もう終わりだ、会社をやめるしかない」等と極端なことを言ったりすることもあります。

 

周囲が驚く程、大声を出してパニックになる方もいるので、このような特性がが予めわかっている場合は、できるだけ不安を取り除けるような依頼の仕方をするといった配慮が必要です。

 

Eさん自身の対応方法ですが、まずは落ち着きましょう。

 

仕事をしていれば、今後も突発的な出来事はしばしば発生します。

 

Eさんに対して、通常業務とは違う、苦手なことをお願いしているということは周囲の人も理解しています。

 

完璧な対応ができなくても大丈夫です。

・何時から何時まで、何をすればよいのか?

・電話がかかってきたら、どんな対応をすればよいのか?

など、不安なことは全部確認し、メモをとりましょう。

 

2.ホウレンソウで上司の指示を仰いで

急遽、計画と違うことが起きたら、誰でも不安になります。

 

しかし、変化に弱い特性を持つ発達障害の方は、更に大きな不安を抱えてパニックになることがあります。

 

でも落ち着いてください。慌てずにメモを見ながら、頼まれた業務にとりかかりましょう。

 

開始後も、わからないことがあれば、その都度上司の指示を仰ぎましょう。

 

パニックの最中は、

「こんな程度のことを聞いていいのだろうか?」

「聞いたらいけないんじゃないだろうか?」

「自分で解決しないといけないのでは…」

とグルグル思考がめぐるかも知れません。

 

しかし、そんな精神状態で自己判断をするとかえってトラブルが大きくなります。

 

わからないことは、聞いても大丈夫です。

 

上司と連絡がとれる状態なら、「ホウ(報告)レン(連絡)ソウ(相談)」で上司の指示を仰ぎましょう。

 

すぐに確認できない場合は、「担当者が戻ったら確認して折り返します」と伝えれば大丈夫です。

 

3.予め対応方法を用意しておくと安心

急遽計画が変わることは、今後も起こる可能性があります。

 

例えば、いつも乗っている電車が遅延する、運休になる、システムトラブルが起こる…等です。

 

幾つかの変更パターンを想定して、対応方法を予め準備しておけると安心です。

 

会社での危機管理と同様に、マニュアルを作成したり、時々練習しておくとよいですね。

 

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セルフケアを行う上での注意点

発達障害の特徴の一つに「気持ちの切り替えが苦手」というものがあります。

 

嫌な体験を忘れられずに引きずり、そのことでパニックになったり欝になったりする方がいます。

 

失敗は誰にでもあります。落ち込んだり、自己嫌悪に長々と時間をかけるよりは、次に失敗しない方法を考える方が生産的です。

 

自分の性格をよく理解して、

衝動性が高い方は、忘れ物・失くし物をしないための工夫を。

パニックに陥りやすい方は、計画変更に備えて危機管理マニュアルを見直すを。

これらの取り組みを通じて、次は失敗しないためにどうすればよいかということに力を注ぎましょう。

 

気持ちの切り替えが難しい時は、クリニックや心理カウンセラーに相談するのも一つの方法です。

 

また、仕事の失敗から気持ちを立て直すことができるような趣味を持つというのも良い方法です。

 

大好きなアーティストのコンサートに行ったり、カラオケやスポーツ、映画やドラマ鑑賞、マッサージやスパ、ヨガ、呼吸法を練習するのもよいでしょう。

 

仕事以外にもう一つ自分の世界を持てるとよいですね。

 

 

さいごに

今回は、大人の発達障害の方の衝動性やパニックへの対応方法についてお話しました。

 

自分の特徴をよく理解し、対策をたてることで、衝動性やパニックはある程度予防することができます。

 

仕事で失敗するのは、恥ずかしいし、皆に迷惑をかけて申し訳ない…

 

と、つらい気持ちになることは本当によく理解できますが、気持ちを引きずっていても改善はしません。

 

上手に気持ちを切り替えて、次への対策がたてられるとよいですね。

 

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桜衣真里

精神保健福祉士

大学院修士課程修了後、専門学校、短大講師等を経て、公的機関の相談員として勤務。精神保健福祉士、保育士のダブルライセンスで、家庭問題、子どもの発達、保育・教育・療育関連の仕事に従事。東京都出身。二児の母。

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