【大人の発達障害】仕事上での特徴とは?9の事例から精神保健福祉士が解説

2018.10.25公開 2018.11.03更新
 

仕事をしていて「あれ?この人、何か、普通の人とちょっと違う…」と感じたことはありませんか?

 

専門知識は誰よりも詳しいのに、コミュニケーションが苦手だったり、人並み外れた行動力なのに、片付けが苦手でいつも探しものをしていたり…。

 

それは、もしかすると「発達障害」が原因かも知れません。

 

そこで今回は、発達障害の人の仕事上の特徴について見ていきましょう。

 

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大人の発達障害とは?定義・原因・治療法など

平成27年に改正された発達障害者支援法では、「発達障害」とは

「発達障害(自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害など の脳機能の障害で、通常低年齢で発現する障害)がある者であって、発達障害及び社会的障壁により日常生活または 社会生活に制限を受けるもの」

と定義されています。

 

発達障害自体は先天的な脳の特性で、普通の人が難なくできることが極端に苦手…と困ることもありますが、その代わりに圧倒的な特技を持つ人もおり、優れた点もあります。

 

バランスの良い普通の人と比べると、得意不得意の凸凹が激しいという特性なのですが、従来の社会が、このようなアンバランスな特性を持つ方を意識した制度設計になっておらず、環境面の不備により、生きづらい状態に陥ることがあります。

 

以前から、このような特性を持つ方は大勢いましたが、発達障害者支援法が制定されて以降、気づかれないまま成長した大人の発達障害の方の生きづらさも注目されるようになってきました。

 

発達障害の治療は、不安や衝動を抑えるお薬を処方されることもありますが、自分の特徴を、まずは自分自身でよく理解し、周囲の方々の理解と協力を得ながら、環境を調整していくケースワークが基本となります。

 

以下にその例を解説していきます。

 

 

広汎性発達障害(自閉症・アスペルガー症候群等)の仕事上の特徴

1.ルーティンワークが得意

広汎性発達障害の特性をもつ方は、毎日同じ時間に、同じ電車の、同じ車両に乗って、同じ手順で、同じ仕事を黙々とこなす…といった型にはまったルーティンワークを得意とする方が多いです。

 

普通の人が飽きてしまうような、延々と数字が続く型番のチェック等、数字や記号を扱う仕事も得意な方が多いです。

 

一度、手順を理解すると、とても素直に真面目にその業務を黙々とこなして下さいます。また時間を気にして守る方が多いです。

 

一方で、想定外の出来事が起こると、大パニックになってしまうこともあります。

 

突然、計画が変更になったり、誰かの代わりにいつもと違う業務を頼まれたりといった場合です。

 

一般の人よりも、変化に弱いという特徴がありますので、いつもと違うことが起きた場合は、どう対応するか?といったマニュアルを予め作っておくことが、パニックの予防に役立ちます。

 

2.専門知識は誰にも負けない

広汎性発達障害の特性をもつ方は、興味の幅は狭いものの、何かに興味を持つと、類まれな集中力と記憶力を発揮して、その分野では誰にも負けない専門知識を身につけてしまう方がいます。

 

興味関心を持ったものに対して、調べること、覚えることが大好きで、過集中なほど、のめりこみます。職場では、その分野でとても頼りになります。

 

その代わり、興味が無いことに関しては、全く関心を示さない方もおり、その知識のギャップに驚かされることもあります。

 

3.コミュニケーションが苦手

広汎性発達障害の特性をもつ方は、コミュニケーションが苦手と言われています。

 

相手の言葉や表情、状況等からその意図を深く理解せず、表面的に理解してしまう方がいます。

 

例えば、「お店が混雑してたら手伝ってきて」という意味で「お店の様子見てきて」と伝えると、素直に「見てきました」と戻ってきてしまうような方もいます。

 

このような特質があることを踏まえた上で、仕事を頼むときは、わかりやすく、具体的に伝えていくことも大切です。

 

 

ADHD(注意欠陥多動性障害)の仕事上の特徴

1.発想力が豊かで次々とアイデアが浮かぶ

ADHDの特性をもつ方は、じっとしていることが苦手な人が多いです。

 

驚くほどの行動力と、バイタリティで次々と様々なアイデアを思いつく人もいます。ベンチャー企業の創業者には、ADHDの特性をもっている方が多いと言われています。

 

頭の回転が速く、多動で多弁。思いついたことを、整理する前に、動き出してしまうので、

 

「突然、興奮した調子で電話がかかってきたけど、何が言いたいのか?話の要点がわからなかった」など、周囲を驚かせてしまうこともあります。

 

2.衝動的に行動する

ADHDの特性を持つ方は、実年齢に比して、衝動的で飽きっぽいと言われています。

 

面白いアイデアが浮かぶと資金や人員など現実的な問題を後回しにして突っ走っる…。

 

かと思うと、あっさり興味をなくし、新しい別のプロジェクトに興味が移って夢中になったり…。

 

上司がADHDタイプだと周囲が振り回されることが多いです。

 

ADHDタイプの社長の周囲には、必ず現実的な問題対応に奔走してくれる優秀なスタッフがいると言われています。

 

3.気が散りやすく、片付けが苦手

ADHDの特性を持つ方は、片付けが苦手と言われています。

 

机の上、ノート、書類、チケット等、具体的な物だけでなく、スケジュールや人間関係なども整理するのが苦手な傾向があります。

 

時間に間に合わなくなってしまったり、ダブルブッキングをしてしまったり、また、衝動的な特性もあるので、忘れ物や無くし物が多いのも特徴です。

 

ADHDは気が散りやすいという特徴もあるので、他のことに気を取られないように、

・刺激を減らす

・何時までに何をすればよいかスケジュールを可視化する

・タイマーを活用する

・片付け方がわからない人もいるので、最初にものをしまう場所を決めておく

等の対応により、改善する場合があります。

 

 

LD(学習障害)の仕事上の特徴

1.特定の能力が極端に苦手

LDの特性をもつ方は、知的な遅れがなく、視覚や聴覚の障害もなく、学習環境も整い、本人にも意欲があり努力しているのにも関わらず、「読み書き」「計算」等、特定領域の学習が極端に苦手という特徴があります。

 

コミュニケーションの問題がないので、周囲からは、まじめにやっていないと誤解されることがあります。

 

2.読み間違える、文章を読むのに、異常に時間がかかり疲れる

LDの主要な障害の一つに「読み書き」障害があります。

 

この特性を持つ方は、会話では理解できるのに、文書になると、どこを読んでいるかわからなくなったり、変な場所で区切ったり、内容を読み間違えたりします。

 

特に、小さい文字だと間違えやすくなります。

・文字を拡大する

・定規を使って文章を追う

・パソコンの場合は読み上げ機能を使う

などの工夫で、間違いを減らす効果があると言われています。

 

3.海外では芸術分野で活躍する人も…

読み書き障害は、言語圏により発症率に差があります。

 

日本語圏では1%未満〜3%とされていますが、欧米等のアルファベット言語圏では5〜17%程度とされ、よくある障害として知られています。

 

読み書きが苦手な分、耳で聞いて記憶することや、イメージ力に秀でている人も多いようです。

 

俳優のトム・クルーズさんや、映画監督のスティーブン・スピルバーグさんも自ら読み書き障害であることを明かしています。

 

 

さいごに

今回は、発達障害をもつ方の仕事上の特徴について見てきました。

 

発達障害の方は、得意なことと苦手なことがアンバランスという特性を持っています。

 

その人の特性をよく理解し、環境を配慮していくことで、働きやすくなります。

 

そのような配慮は、その人だけでなく、いろいろな個性を持つ方にとっても働きやすい環境づくりにつながっていくので、少しずつ見直していけるとよいですね。

 

【参考サイト】

発達障害者支援法(文部科学省)

発達障害者支援法の改正について(厚生労働省)

「読み書き障害児」の脳活動の異常を発見~発達性読み書き障害(ディスレクシア)の神経学的な病態を解明(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター)

 

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桜衣真里

精神保健福祉士

大学院修士課程修了後、専門学校、短大講師等を経て、公的機関の相談員として勤務。精神保健福祉士、保育士のダブルライセンスで、家庭問題、子どもの発達、保育・教育・療育関連の仕事に従事。東京都出身。二児の母。

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