「障害者手帳…何で?」から始まった就労移行支援事業所での8ヶ月間

就労移行支援入所までの流れ

朝礼は身だしなみチェック。続いて部屋の掃除。

 

午前は座学、午後はエクセルの使い方など、基本的に就職セミナーで行っているような事を受けている感じでした。

 

そして、3日間の体験入所が終わり、私はスタッフの方に体験入所の感想や、どうやったら入所出来るのかを聞きました。

 

スタッフの方には『精神障害者手帳』を発行するようにと言われました。

 

「障害者手帳…。何で?」と思いました。

 

自分はうつ病になってしまったけど、精神障害者ではないと当時は思っていましたから。

 

しかし、障害者手帳を発行すると、2年間様々な施設で割引をしてくれ、知的障害や身体障害を患っている人と、同じような割引制度を受けられる事が出来ると分かったのです。

 

障害者手帳は2年間の更新ですから、精神障害を認めたくないと思えば、2年経てばやめる事はいつでも出来るし、これはこれで良いかもしれない…と思いました。

 

また、就労移行支援施設はよほどの事情が無い限り、2年間は通所が出来ます。

 

私は市の障害福祉課に行き、障害者手帳発行に必要な書類をもらい、主治医の意見も書いて1か月ぐらいで発行してもらいました。

 

また、就労移行スタッフの方は、市の支援機関の担当者にも相談をして、『個別支援計画書』を書いてほしいと言われました。

 

個別支援計画書は、

・健康状態

・個別目標

・達成目標

・個別支援内容

・留意事項

など、1週間の自分自身の行動や状態、ニーズを詳しく書いて、どのような支援をしてほしいのを書いてもらうものです。

 

自分の状態を監視されるというのが、ちょっと嫌だった感じもしましたが、今思えば、これはこれでよかった感がありました。

 

体調の面が安定していないという部分がありましたから。

 

精神障害者手帳と同時進行のうえ、障害者手帳と個別支援計画書を提出し、ようやく事業所に入所する事が出来ました。

 

 

就労移行支援のよかった点

私は、座学やパソコンスキルでの評価が高かったのか、入所して2か月ぐらいで実務訓練に入って仕事をしていく事になりました。

 

実務訓練では普通の会社で勤務するように同じように、領収書の発行業務や、社員の派遣業務、相談室の管理などをしていきました。

 

もちろん、体調に浮き沈みがあったのか、休むときは休んでしまう事もありました。

 

しかも、同じうつや発達障害の人とコミュニケーションを取れるようになれたのが、一番大きな収穫だったかもしれません。

 

また、一番力になったのは、派遣社員全員を官公庁の業務に推薦し、働く機会を与えた事です。

 

国からのお仕事は、社員を入札して落札をするというオークションみたいな形式を取るような形が法律で決まっているのですが、それがトントン拍子と話が進み、無事社員をあっせんする事が出来たのです。

 

この経験は、今でも忘れません。実習とは言え、会社や社員に貢献出来た感動を味わえたのは、これが一番でした。

 

 

就労移行支援で大変だったこと

就労移行支援を利用して、就職する場合、前年度の収入によって利用料がかかるかもしれないというのがあります。

 

私の場合、入所する前の収入額が低所得で、市民税も非課税だった事もあり0円で済みました。

 

しかし、長く仕事をして、家族を養える収入をもらえる金額で勤務していたら、転職エージェントかハローワーク、求人サイトを利用して、就職した方が良いかもしれませんね。

 

また、就労移行支援施設は工賃が安く、低所得者にとっては、生活が少し大変になるかもしれないという事です。

 

傷病手当や失業保険をもらいながら、施設に通ったりすることは出来ると思いますが、私の場合、失業保険が3か月間だったこともあり、アルバイトをしながら施設に通い、就職を目指しました。

 

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そして、一番大変だったのは、様々な障害を持った方が入所していて、コミュニケーションを取るのが大変だったことです。

 

一緒に昼食を食べる際も、知的障害の子からいろいろと話を持ち出されて、頭の中がパニックになってしまう。

 

そして、座学中に発達障害の人が、突然キレ出し暴れてしまうという…。

 

これは私も何度か経験しました。

 

人の事は言えないですが、本当に血がのぼるくらい、すごくイライラした時がありましたので。

 

普通でいるという事がとても難しい課題だなと感じました。

 

 

就労移行支援事業所は多種多様

就労移行支援の仕組み、事業所内の様子…。私の体験を通じて、少しでも分かっていただけましたでしょうか。

 

うつの状態が穏やかになって寛解状態に近い時、そして面接のときに「これは受かりそう!」と思った瞬間に、就職は決まっていくという感じです。

 

うつの治療は大変かもしれないし、一人で就職活動を進める事が出来なかった場合には、このような訓練施設に通いながら、就職を目指すというのも一つの手です。

 

ただし、就労移行支援事業所は全国各地に多々あり、それぞれの強み弱みを持っています。

 

見学をして一番良かったと思えた訓練施設を選んで入所をし、就職というゴールでありスタートでもあるという事を目指してください。

 

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精神保健福祉士より
就労移行支援事業所は障害者総合支援法という法律で定められた障害福祉サービスのひとつです。一言で説明すると「障害のある人が、国から提供されるサービスを利用して就職を目指す」というもので、法律で利用料についても定められています。前年度の所得と1ヵ月にどのくらい通所したかによって金額が変わりますが、多くの方は0~9300円の負担です。サービスの利用自体は障害者手帳の取得は必須ではありません。ただ、就職時に障害者雇用を検討するのであれば、そのときは障害者手帳が必要になるので入所の手続きと一緒に手帳を取得してもいいかもしれません。サービスの利用には「サービス等利用計画」と「個別支援計画」が必要です。自治体によってアルバイトをしながらでは利用できないこともあるので、確認が必要です。事業所の見学時に確認することをおすすめします。
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  • 本記事は2018年12月2日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。