内発的動機づけを高める方法・メリット・デメリットを臨床心理士が解説

2019.01.16公開 2020.06.04更新

内発的動機づけの3つのメリット

長期間続く

内発的動機づけが高い場合は、やる気が長時間続きます。

 

持続力があるので、3日坊主にならず、しっかりと腰をすえた行動につながります。

 

やる気を持って継続して取り組むことで、パフォーマンスや生産性の向上も期待できます。もちろん、結果にもつながりやすいです。

 

結果に左右されない

たとえ、期待していたような結果にならなくても、そこで心が折れてしまったり、やる気が一気に低下することは少なくなります。

 

例えば、写真のコンテストで賞金を得ることが目的で写真を撮り始めた人は、受賞できなかったら、写真をやめてしまうかもしれないです。

 

しかし、写真を撮ることが好きで、腕試しにコンテストに応募した人は、受賞できなくても写真は撮り続ける可能性が高いでしょう。

 

充実した活動ができる

内発的動機づけの高い活動は、心の満足度や充実度につながります。

 

充実した活動は、心を豊かにし、生きがいになります。イキイキとした毎日へとつながりますので、ストレス解消、心身共に健康に過ごす秘訣にもなります。

 

 

内発的動機づけのデメリット

内発的に動機づけられた活動を続けても、結果に結びつくとは限らないです。

 

例えば、絵を描くのが好きで、ひたすら絵を書き続けた場合は、絵を描くことに対するやる気は続きますし、充実した時間を過ごせます。

 

しかし、絵を描いた結果、絵が売れたり、評価されるとは限りません。

 

内発的動機づけだけで生きていくのは、運やセンス、同時に自分を売り出すブランディング力など、何か合わせもったものや工夫がないと難しいかもしれません。

 

 

内発的動機づけを高める3つの方法

目標を設定する

まずは目標を設定します。ポイントは、2つの目標を設定することです。

 

最初に、

やる気を出したい活動を通して成し遂げたいこと

次に、

活動をする上でどんな自分でありたいか

という2つの目標を具体的に考えます。

 

例えば、バンド活動を始める場合、成し遂げたいことは、バンドを始めてヒット曲を生みたいこと、どんな自分でありたいかは、音楽仲間を増やしたい、モテたいなどです。

 

2つの目標をしっかりと設定することで内発的動機づけが長く継続します。

 

関与度を高める

人は自分が関係しているもの、自分で決定できるものに対して、内発的動機づけが高くなります。

 

例えば、上司からの指示されたことをひたすら作業するより、自分の意見やアイデアが採用されたり、たとえ採用されなくても、一緒に考える行程が加わると内発的動機づけは高くなります。

 

たとえ、あまり興味がないものだとしても、試しに自ら積極的に関わることで自然とやる気と高くなります。

 

やれば出来るという経験

内発的動機づけが低い場合は、簡単な課題からスタートして、「やれば出来る」という成功体験を重ねることで高くなっていきます。

 

いきなりハードルが高いことから始めず、スモールステップで自分の自信とやる気を育てていきましょう。

 

 

内発的動機づけの注意点

「報酬は内発的動機づけを下げる」という研究があります。

 

内発的動機づけが高い状態で、報酬などの外発的動機づけが与えられた場合です。

 

例えば、

アクセサリー作りが好きでこだわってやっていたのに、そのアクセサリーが高値で売れることが分かると、アクセサリー作りに自体に対する情熱ややる気は下がりやすくなる

と言われています。趣味を仕事にするなとは、このあたりから来ているのかもしれません。

 

 

さいごに

今回は内発的動機づけについてご紹介しました。

 

私たちの行動に対するやる気を左右する大切さな動機づけです。

 

充実した毎日を送るためにも、自分のやる気を内発的動機づけで高めるのは良いと思います。

 

また、部下や子供など周囲の人のやる気を継続的にじっくりと育てたいときにもおすすめですので、是非参考にしてください。

 

【関連記事】

>>外発的動機づけを高める例文11選!臨床心理士がご紹介

 

【参考】

報酬は内発的動機づけを低めるのか(大阪教育大学紀要第V部門 第54巻 第2号)

内発的動機づけ研究の展望(Japanese Journal of Educational Psychology, 1994, 42, 345-359)

・『「やる気」を育てる! 〜科学的に正しい好奇心、モチベーションの高め方』(植木理恵・日本実業出版社)

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石上友梨

臨床心理士

大学・大学院と心理学を学び警視庁に入庁。5万人の職員のメンタルヘルスを管理し、カウンセリングや心理検査、メンタルヘルス講義、拳銃選手のメンタルトレーニングなど幅広く活動。6年目で退職し、フリーランスに。発達障害を支援する活動に力を入れている。‬>>HPはこちら

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年1月16日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。