言葉で相手を傷つけたくない…ネガティブな意見を伝えるコツは?

2016.08.02公開 2019.05.16更新

伝え方で異なる、ネガティブな意見の印象

これは、言葉で説明するよりも、実際に試してみるとよく分かります。

 

もし、誰か協力してくれる人がいれば、

①しっかりとした声で、ハッキリと言う

②弱々しい声で、申し訳無さそうに言う 

この二つで、どのように印象が変わるか、一度実験してみてください。

 

例えば、休日に遊びに行くことを断りたい場合を考えてみましょう。

 

まず、①の「しっかりした声で、ハッキリと言う」場合、目を合わせて

「ごめん、ちょっと気分がのらないから今回は遠慮させて」

といった内容を伝えます。

 

次に、②の「弱々しい声で、申し訳無さそうに言う」場合、伏し目がちに

「ごめん。本当に申し訳ないんだけど…気を悪くしないで訊いて…やっぱり、気分がどうしてものらなくて、今回は遠慮したいと思うんだよね…本当にごめん」

このように伝えてみてください。

 

特に、「断わるのが苦手」「ネガティブことを言うのが苦手」という人は、ネガティブな意見を言われる立場を何度か経験してみて下さい。

 

実際にやってもらった人から意見を聞くと、

 

①の方は、「あーそっかそっか」で終わり、

②の方は、「誘ってしまって申し訳ないという罪悪感が出てくる」とおっしゃる方が多いようです。

 

一方で、

 

①は「裏表がない感じ」

②は「ネチネチした感じで、なんか裏がありそう」という印象をおっしゃる方もいます。

 

①も②もセリフの内容自体はあまり変わりません。

 

なのに、印象が変わってきます。

 

当たり前のようですが、これは非常に重要なことなのです。

 

②の「申し訳なさそうな態度」というのは、かえって相手に何かを勘ぐらせようとさせてしまうことがあります。

 

そのため、②の伝え方をすると、相手に「あなたの誘いは迷惑です」という、本意とは異なる印象を与えてしまうこともあるのです。

 

実際にやってみると、実は①のように、素直を意見を伝えた方が、むしろ「裏表がない」と肯定的に受け止められることも少なくないのです。

 

 

何をして欲しいかを明確に言う

もう一つのコツは、「何をして欲しいか」を明確に言うことです。

 

今度は、先ほどの例を少し変えて、やってみましょう。

 

①しっかりした声で、ハッキリと、目を合わせて

「ごめん、ちょっと気分がのらないから今回は遠慮させて」

 

②弱々しい声で、申し訳無さそうに、伏し目がちに

「ごめん。前から言おうと思ってたんだけど、最近とても仕事が忙しいんだよね。ちょっと早くあげないといけない仕事があって…なんか疲れてるんだよね。こんなこと言うのも、申し訳ないし、あんまり言いたくないんだけど…こんなこと言ってごめんね。」

今度は、印象はどうでしょうか?

 

②だと、「だから、何が言いたいの?」「要は、迷惑ってことなのかな?」というような、言い訳をしている印象をさらに強くしてしまいます。

 

何をして欲しいのかを明確に伝えなければ、相手は「何を望まれているのか?」を無意識に探ろうするものです。

 

②のような伝え方だと「このセリフを言ってきた意図はなんだろう…」と相手が探ってきます。

 

そうやって相手が、自分の言葉の本当の意味を、「探ろう探ろう」とすると、非常に疲れる人間関係が出来上がってしまうのです。

 

したがって、遠回しに自分の意見を伝えるのではなく、「相手に何をして欲しいか」を明確に伝えることで、不要な人間関係のもつれを減らすことができると言えるでしょう。

 

 

裏表のない率直なコミュニケーションを

相手の気持ちを読み取ろうとすると、よく読み取り間違いをするのが人間です。

 

「体調が悪いから、休みたい」という理由であっても、伝え方次第では「誘うのが迷惑なんだよね…」という、本来の理由と異なるニュアンスで伝わってしまう可能性があるのです。

 

また、会話相手が裏表のない人と分かった方が、自分も裏表なく接することができるものです。

 

もし、言葉で相手を傷つけているかも…と感じている人は、ネガティブな内容についての伝え方に気をつけてみると良いでしょう。

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矢野宏之

臨床心理士

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  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2016年8月2日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。