虚無感の原因はうつ?虚無感から脱出する3つのコツは?臨床心理士が解説

2019.04.10公開 2020.06.09更新

虚無感の3つの原因とは?

①大切なものを失った

家族や友人を亡くしたとき、恋人と別れたときなど、大切な人を失うことは虚無感と深くかかわっています。

 

信頼や期待を裏切られたり、目標を見失ってしまったときなど、自分にとって大切なものを失うことも虚無感のきっかけとなります。

 

また、とくに中高年の場合は、体力や気力の衰えなどの健康問題が虚無感につながることもあります。

 

②努力が報われない

学校や仕事、家庭生活などの場面で、いくらがんばっても報われない状況に直面すると、虚無感に陥りやすくなります

 

とくに真面目な人ほど一生懸命努力するため、結果が得られないことの失望感も人一倍大きくなり、虚無感のリスクも高まるといわれています。

 

③病気との関連

うつ病の症状として、生活全般への意欲や関心がなくなったり、「自分に価値がない」と自責感を抱きやすくなる特徴があります。

 

これは虚無感とも深くかかわっていて、虚無感が深刻化してうつ病に発展する場合もあれば、うつによって虚無感を強く感じるようになる場合もあります。

 

またその他にも、境界性パーソナリティ障害、認知症、アルコール依存症などでも、虚無感が認められることがあります。

 

 

虚無感から脱出する3つのコツ

①まずはエネルギーの回復

虚無感を感じているときは、心も体も疲れ切っていることが多いものです。

 

まずは自分をケアするために、ゆっくり休むことを優先させましょう。

 

エネルギーが回復することで判断力や思考力が正常に戻り、虚無感から脱出しやすくなります。

 

また、精神的な病気が疑われる場合には、専門の医療機関を受診することも大切です。

 

②思考から感覚にスイッチを切り替える

虚無感が強いときは、自律神経が乱れている可能性もあります。

 

自律神経を整えるために、できるだけ規則正しい生活を心がけ、運動も行いましょう。

 

体を動かすことで、思考から感覚にスイッチが切り替わり、心にも変化が生まれることがあります。

 

ただし、無理に激しい運動をするのはかえって逆効果。

 

軽い散歩やストレッチを続けるだけでも効果がありますので、無理なくできるものから取り入れてみてくださいね。

 

③小さな幸せや目標を見つける

哲学者のニーチェは、「もともとこの世は虚無であり、人生に意味はない」というニヒリズム(虚無主義)を主張しました。

 

誰もが最終的には死んでしまう運命にあるのだから、虚無感を抱くのは人間として自然なことなのかもしれません。

 

しかし、だからこそ人生には目標が必要ともいえますね。

 

何かを目指して行動することで、虚無感について考える時間を減らしていくということも、虚無感から脱出する工夫のひとつです。

 

おすすめは、小さな幸せや希望を日々感じられるもの。

 

とくに、ペットを飼ったり、植物を育てるなど、生きものにふれることは心身の健康にとってよい影響があります。

 

自分のために行動することが虚しいと感じている場合は、誰かのためにできる行動を考えてみるのもいいですね。

 

 

さいごに

虚無感は誰もが一度は感じるもので、人間としてとても自然な感覚のひとつでもあります。

 

でも、「人生に意味がない」と感じるのは、やはり虚しくやるせない気持ちになるものですね。

「意味がないからこそ、自分でどんなふうにでも作っていける」

と考え、あなたなりの人生の過ごし方を考える機会ととらえることも大切かもしれません。

 

あなたが自分らしい希望や目標に出会えるよう、応援しています。

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倉本梓

臨床心理士

心理系大学院修士課程を修了後、臨床心理士資格を取得。医療機関、教育機関でカウンセリングを担当するほか、スクールカウンセラーとしても活動。子育て、家庭問題、対人問題をはじめ、「自分らしい生き方」のためのメンタルヘルス向上を目指した支援を行なっている。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年4月10日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。