中学生のいじめ…親のOK対応とNG対応とは?臨床心理士が解説

2019.07.15公開 2019.09.14更新

いじめを受けた子供への親のNG対応

親の対応として好ましくないのは親主導の対応です。

 

1.話を聞かずに一方的に決め付ける

多くの親がやりがちなのは、「いじめにあう」という衝撃的な事実を目の当たりにして、親の感情を優先するあまり、子供の話をよく聞かず子供の気持ちを置き去りにするという対応です。

 

自分が受けたショックや怒りに身を任せ、

・子供の話をよく聞かず、誰かが悪いと決め付ける

・すぐに学校に連絡して先生を問い詰める

・いじめた子のうちに直接連絡する・家に行く

子供は話を聞いてもらえないので気持ちを処理できず、また自分の力で人間関係を形成・修復するチャンスを奪われ、健全な成長を妨げられかねません。

 

2.責める、存在を否定する、他の子と比べる

我が子がいじめられたという事実が受け止められない親は、

「お前が悪いからだ、お前にも非がある」

「負けるな!やられたらやり返せ」

「いじめられたのはお前が弱いからだ、もっと強くなれ」

「○○ちゃんはいじめられないじゃない、あなただけでしょ?」

などと、子供の側に理由を探し始めます。これは親が自分の不安を抱えられないことが一因にあります。

 

中には、子供が弱いからいじめられると思い込み、子供の意見も聞かず空手やボクシング、柔道・剣道といった習い事に無理やり通わせたりする方もいます。

 

これらの対応では、子供は「自分はこのままではダメなんだ」という否定的なメッセージを受け取ることになりかねません。

 

3.見て見ぬフリ、無関心

中でも最も子供たちを追い込んでしまう対応が、親が無関心であることです。

「そんなこと気にするな、さっさと忘れろ」

「お前が自分で何とかしろ」

「親(先生)に迷惑をかけるな」

「どうでもいい」(無視)

このような姿勢・対応は、本来子供が持っている「自分が悪い」という自責感を更に強くさせ、

「自分のことなんてどうでもいい」

という自己否定感を強く植えつけてしまうことになります。

 

結果、自分を大切にすることができなくなってしまい、健全な自己を形成することができずにその後の人生でも苦しむことになりかねません。

 

 

いじめを受けた子供への親のOK対応

親として好ましい対応・子供の気持ちがラクになる対応は子供主導の対応です。

 

1.話を聞いて、気持ちを受け止める

何が起きたのか、どんなことを言われた、されたのかを子供が言える範囲で聞き出し、そのときにどう思ったのか、何を感じたのかを受け止めます。

「そんなことがあったのね、つらかったね」

「それは、イヤだったね、苦しかったね」

この作業はつらい体験を思い出すことになり、傷付いた子供にとっては苦しいものになりますが、膿を出しきらなければ傷が癒えることはありません。

 

2.責めない

「それは、あなたが悪かったわけじゃない」

「あなたに原因があったとは思わない」

「あなたはそのままでいい」

いじめられた側に特定の要因があることはほぼありません。

「子供に原因があったわけではない」

「何も変える必要はない」

ということをはっきりと伝えましょう。

 

3.子供の意志を確認して、一緒に考える

話を聞き落ち着いたところで、子供の意志を確認して、今後の対応を一緒に考えましょう。

「パパとママは、先生に連絡をしたいと思うけど、○○はどうしたい?」

「カウンセラーの先生に話したらきっと気持ちがラクになると思うけど、どう?」

「もう一度同じことをされたときの対策を一緒に考えよう」

「もし、学校を休みたいなら、休んでもいいと思っているよ」

傷付いた子供にとって一番うれしいのは、

「受け入れてくれる、力になってくれる存在がいる」

ということだと思います。

 

親としてそういうメッセージを出し続けることが、直接的にも間接的にも、子供が立ち直るのを支えていくのではないでしょうか。

 

どの対応においても、親の感情が邪魔する、もしくは子供があまりに苦しんでいるようならば、専門家を頼るなどして、無理なく進めていくことが大切です。

 

 

さいごに

いじめ被害にあった子は、まず自分のことを責めます。

 

多くの場合、いじめられた子に原因があることはないのですが、

「自分が悪かったから?」

という思いを抱えているので、いじめのことを親や先生に言うのはとても難しいのです。

 

その気持ちを理解した上で、親として対応することが求められます。

 

親が主導する対応ではなく、子供主導の対応を心掛けることで、状況はきっと変わります。

 

まずは子供の気持ちに寄り添うことが、元気を取り戻す第一歩ではないでしょうか。

 

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【監修】佐藤文昭

臨床心理士

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  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年7月15日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。