【第8話:私のバカ】〜お父さんうつ日記〜
この4コマは、私の後悔の塊です。何度思い返しても、自分を責めずにはいられません。
父がうつ病を再発した時、もちろん驚きもあったのですが、心のどこかで0.001mmくらい「あ、やっぱりそうなったか」と思った自分がいました。
少し10年前のお話をします。私が小学生だった時、父は初めてうつ病と診断されました。
ある日、学校から帰ってくると、職場にいるはずの母が家にいて、父の部屋でごそごそ何か荷造りのような作業をしていました。
不思議に思って「あれ、今日休みなの?」と聞くと「お父さん、入院することになったから」と返って来ました。
「え、なんで?」
「お父さん、よく独り言ブツブツ言うでしょう。あれね、病気なの。うつ病って言うの。」
「え、病気?いつまで入院するの?」
「とりあえず独り言なくなるまでかな。3か月くらい。」
これが小学生だった私と“うつ病”の出会いでした。
確かに、入院の数か月前のお父さんは少し様子がおかしかった。遅くまで仕事をして、帰ってきてもPCに向かって、休みの日でさえもPCを閉じるは食事の時くらいでした。
そして、夜寝ている間に急に大声で叫んだり、ふとした時に
「自分一人、死んだって誰も困らないんだ」
「自分なんか死ねばいいんだ」
と凄い剣幕で独り言を言ったりするようになりました。
「お父さんが本当に死んじゃったらどうしよう」とすごく不安になって、「そんなこと言わないで」と言って、お父さんの前で大泣きしたのを覚えています。
父のうつ病再発前の様子が、10年前の父とすごく被りました。だから、「あ、やっぱり」と思う自分がいたんです。
うつ病再発の約1年前、部署移動で職場が変わり、仕事量が急増しました。また、家でPCに向かうようになったのです。
この時、「うわ、あの時と似てる」と思いました。しかも、それだけではありません。ちょうど同じ時期に、父の母、つまり私の祖母に介護の必要が出てきたのです。
祖母とは別居していますから、介護保険の申請手続きなどのために、頻繁に田舎に帰らなければいけませんでした。
これが父の忙しさに拍車をかけます。私の頭の中のサイレンが大きな音を立てて鳴っていました。
「危ないかも」と思っていたはずなのに、私は何もできませんでした。
きっと「危ないかも」よりも「なんだかんだ大丈夫でしょ」と思いたい気持ちの方が私の中で大きかったんでしょう。
私はあの時どうすればよかったでしょうか。
「とりあえず医者に行ってみよう」とか「カウンセリング受けてみよう」って言ってみればよかったんでしょうか。
きっと調べれば、私ができたこともたくさんあるんだろうと思います。
が、でも人間、やっぱり「行動が一番正直」ですね。何もしなかったってことは、どんな理由であれ「何もしたくなかった」ということなんでしょう。
その結果として、今のようなことになってますから、数年前の自分の顔面をグーで「ド――――ン」としたい気持ちになります。
本当に私のバカ。
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【うつ病まとめ記事】
【執筆】
シブ子
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- 本記事は2017年3月22日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。