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【カウンセリングの効果】8つの疑問に論文を用いて臨床心理士に答えてもらいました
2020.04.10公開 2020.05.07更新
日本ではまだまだ敷居の高さを感じる心理カウンセリング。
・カウンセリングって話を聞いてもらうだけ?
・カウンセリング効果、いまいちピンとこない…
・良いカウンセラーの見分け方ってあるの?
などといった、カウンセリングに対する疑問や不安を抱く人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、心理カウンセリングに関する多くの疑問について、臨床心理士の藤本志乃さんに研究論文なども引用いただきながら、お答えいただきました。
藤本志乃さん

臨床心理士・公認心理師。大学院修了後、スクールカウンセリング、東京大学医学附属病院・日本赤十字社医療センターにおいてカウンセリング業務に従事。全人的総合的腎不全医療の推進・普及を目指し、患者の精神心理面に関する臨床・研究・講演活動なども行う。2020年にカウンセリングルームLe:selfをオープン
>>藤本志乃さんの詳しい情報はこちら
〈インタビュアー 近藤雄太郎〉
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カウンセリングが必要な人って?

近藤
まずカウンセリングに必要な人ってどんな人なんでしょうか?
藤本さん
皆さんがイメージするのは、いわゆる「精神疾患がある人」が多いと思います。


近藤
たしかに、うつ病など何らか診断された人が受けている印象はあります。
藤本さん
イメージ通り、うつ病やパニック障害、摂食障害などの診断名がついた方たちが来られる場合はもちろんあります。
でも、「え?こんな悩みでもいいの?」と思うようなちょっとした悩みでももちろん大丈夫です。

藤本さん
例えば、
「なんかちょっと元気が出ない」
「子どもをしかる自分が嫌だ」
「人間関係でイライラする」
とか。海外だと、「明日職場でスピーチがあってドキドキするからきたよ」といった感じでカウンセリングに来ることもあるようですね。


近藤
海外ドラマでもカウンセリングのシーンはよく出てきますよね。
藤本さん
そうですね。
私たちカウンセラーも自分がカウンセリングを受けることを推奨されていて、私自身も受けたことがあります。
悩みの種類でいうと、とても軽いものと思われるような程度の相談です。笑


近藤
カウンセラーさんがカウンセリングを受けてもスッキリするんですか?
藤本さん
丁寧に話を聞いてくれたという経験だけでもあたたかい気持ちになれるのはカウンセラーも同じです。
もちろん、話を聴いてもらうだけではなくて、「こんなことやってみたら?」というようなアドバイスもくれたり。
それを実践することでとても心が落ち着く体験をしましたね。



近藤
とはいえ、日本ではまだカウンセリングがそこまでカジュアルなイメージではないですよね。
藤本さん
それはカウンセラー側の工夫がこれまで足りなかったという反省もあります。
カウンセリングに行くことがかっこいい!とならないまでも、風邪を引いたら病院に行く感覚で、カウンセリングに行く人が増えればなればと思います。

カウンセリングの効果についての論文

近藤
カウンセリングの効果って過去の論文で示されているんでしょうか?
藤本さん
アメリカでは実証的に支持された治療のためのガイドライン*1)というものがあって、あるセラピーがどういう症状や疾患に良いかを示してくれています。
それを見ると、まず「認知行動療法」という技法が効果をあげているということが言えると思います。

藤本さん
その一方で、誠実さをもって提供されるセラピー、すなわち、他の心理療法でも訓練をきちんと受け、堅実にそれを提供できるカウンセラーのセラピーと認知行動療法を比較すると、同等の効果が得られるとも言われているんですよね。


近藤
ようは、ちゃんとしたカウンセラーであれば、心理療法によって効果が左右されにくいということですね。
藤本さん
そうですね。今回、ある書籍*2)を参考に、症状ごとで実証的に支持された技法の一覧表も作ってみました。
皆さんが自分のセラピーの方法を選ぶときの参考になればなと思います。


藤本さん
私自身は認知行動療法を主に勉強してきました。
研修会では、他学派の先生のお話を聞く機会がありますが、使う心理用語が違うだけで、セラピーの方向性や内容がとても似ていることが多いと思うのです。
なので一概に「この技法がいいです!」ということは言えないなと感じています。

カウンセリングの効果的な受け方(期間・回数など)

近藤
カウンセリングの効果的な受け方ってありますか?
藤本さん
カウンセリングは長期間に渡って、何度も通わなければならないというイメージがあるかもしれません。
そこで興味深い論文があったのですが、セッションを始めるまでになんと7人に1人が改善を見せ始めることがわかっています*3)!


近藤
カウンセリングを始める前に改善するってことですか…?
藤本さん
私も論文を読んで驚きましたが、カウンセリングに行こうとする時点で、良い方向に向かう可能性があることが示唆されているんですね。
自分のことをこれまで考えてこなかったけど、「考えてみよう」「大切にしよう」という思いがすでにカウンセリングの効果として現れるのかもしれませんね。


近藤
「カウンセリングを受けよう」という意識が問題の解決を前に進めているんですね。
藤本さん
さらに興味深いのは、
カウンセリング2回目でなんと3分の1の人が症状や問題の改善をすることです*3)。
つまり、カウンセリングは数回でも大きな効果が期待できるということなんですよね。

藤本さん
カウンセリングを受けた半数の人が効果を減られる平均回数としては、
約10〜20回だと研究では言われています*4)。
問題や症状の種類で大きな開きがあるということも示されている*4)ので、一概には言えない部分もあるのが実際です。


近藤
症状別でカウンセリング回数の目安もあるんでしょうか?
藤本さん
症状別で言うと、例えば、
涙もろい=5回の面接
不安・うつ=8〜13回の面接
境界性パーソナリティー障害(人格障害)=13〜52回の面接
で効果があると言われています*6)。



近藤
回数に幅があるものもありますが、およその目安があるのはありがたいです。
藤本さん
これらは研究に基づくおおよその目安なのですが、悩みや症状が軽いうちにカウンセリングを受ける方が面談回数は少なくて済むということかもしれません。


近藤
ちなみに、カウンセリング終結後ってどれくらい効果が持続するものなのでしょうか?
藤本さん
これについては、セラピーを受けた後、
10〜20週間(2.5〜5ヶ月)の間は悪化することはあまりないと言われています*7)。
もちろん、その間に大きくストレスのかかる出来事があったりすれば、別かもしれませんが。

藤本さん
ただ、
8ヶ月後には少し効果が落ちることもあることはお伝えしておきます。
特に恐怖症や身体症の場合にはそれが起こりやすく、人前でのスピーチの不安などの社会的なスキルに関するもの悪化しづらいということが言われています*8)。


近藤
なるほど。世の中、色んな研究があってビックリです…
藤本さん
もちろん、これもケースバイケースで全ての人が同じように効果が得られたり、持続したりするわけではないです。
でも、ひとつの目安になると思いますし、1,2回で変化する可能性もあるのであれば、受けてみようかなと思う方もいるのではないでしょうか。


近藤
こうやって論文で示されていると少しハードルが下がる気がします。
藤本さん
実際、私自身もこれまで多くの方のカウンセリングを行ってきましたが、1度お会いしただけで、大きく変化されて終結する場合もよくあります。
反対に何年もお会いし続ける場合もありますね。

藤本さん
とは言え、決して安くないお金を支払ってカウンセリングに来ていただいている以上、なるべく少ない回数で、メンタルの問題や体調の改善をサポートしていきたいという気持ちは強いですね。


近藤雄太郎
Reme運営
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2020年4月10日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。
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- 本記事は2020年4月10日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。