うつで休職…期間・給与手当・手続きって?精神保健福祉士が解説
うつで休職を具体的に考えはじめたとき、「どのくらい休めるのか?」「お金はどうなるのか?」と心配になりますよね。
そこで今回は、休職前に気になることをここで整理していきたいと思います。
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うつで休職になる基準やケースとは?
まず、うつ病の診断基準は以下の9項目中、5項目以上が当てはまるかどうかです。
・憂うつ
・興味や喜びの消失
・食欲の異常
・睡眠の異常
・そわそわする または 体が重い
・疲れやすい
・自分を責める
・思考力、集中力の低下
・死にたいと思う
「憂うつ」「興味や喜びの消失」のどちらかを含む5項目以上の症状が、ほとんど1日中、2週間以上続き、仕事や学校、家庭などでなんらかの問題が起きている場合、うつ病と診断されます。
当てはまる症状の個数によって「軽度うつ」や「うつ症状」といわれます。
これまで、うつになると症状が軽度でも休養をとることが必要とされてきました。
しかし近年、軽度のうつ症状で学校や会社に休みなく通えている場合は、「患者の容態によっては社会手役割を回復させることが必要だ」とされています。
つまり、軽度のうつでは休職をすすめない場合があるのです。
「仕事に行くことによって前向きな気持ちになれる」
「あきらめたくない」
という治療に必要な前向きな効果がある場合、仕事をしていたほうがリハビリに役立つとされているためです。
また、企業から見て休職が必要かどうかは、勤怠や仕事ぶりによって判断されます。
うつになると遅刻や欠席が増え、仕事の効率が下がります。
このまま勤務するよりも休養をとったほうが互いによいと判断された場合は、企業から休職を判断されることがあります。
うつで休職する場合の手続きは?
休職の手続きに必要なものは、以下の2つです。
・休職届
・主治医の診断書
休職届は、企業によって書式があったり人事部が処理をしてくれたりするので、最も必要なのは主治医の診断書です。
「うつによって、就業不可であり休養を要する。」という証明のようなものなので、主治医に休職について相談してご用意をお願いします。
また、休職中の収入は給与手当ではなく、傷病手当が健康保険から出ます。
会社が給与を支払うのではなく、健康保険組合が保障としてお金を支払うのですので、その手続きをしましょう。
「健康保険傷病手当金請求書」を毎月、社会保険事務所か健康保険組合に提出します。
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うつで休職する期間は?
休職の期間は一般的に、3か月から1年と設定されます。
診断書によるところが大きいため、医師にしっかりと確認しましょう。
休職期間のリミットですが、傷病手当金が最大1年6カ月の支給のため、それ以上の休職は難しいといえます。
まずは3か月、ゆっくり休んで話し合いながら復職の時期を決めるとよいと思います。
うつで休職中の給与や手当って?
先ほども少し述べましたが、休職中は会社からの給与は発生しません。
給与が発生するときは有給休暇として処理されます。
そのかわり、健康保険組合から傷病手当金を受けることができます。
毎月の給与から健康保険料を支払っているのは、こういうときのためといっても過言ではありません。
傷病手当は、休職期間の最初の3日間を待機期間とします。
その間は手当が出ませんが、その後1年6カ月間は、「標準報酬日額×0.6×1ヵ月の日数」で計算された手当金が出ます。
だいたい給与の6割くらいが目安です。
初回の申請から振り込みまでは約1ヵ月かかります。なんとかその期間を乗り切りましょう。
さいごに
休職には複雑な手続きが必要なのではないかと心配される人もいらっしゃると思います。
しかし、手続き自体は意外とシンプルです。
「自分は本当に休職していいのだろうか」という判断が、一番の迷いかと思います。
ご自身の病状を主治医に確認し、休職が妥当だと判断されたら、安心して休職を申し出てください。
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- 本記事は2018年8月8日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。