MRを経て臨床心理士に。カウンセリングが気軽な存在になるために

2016.12.11公開 2020.07.14更新

今回のインタビューは、臨床心理士としてビジネスマンや企業向けを中心に活躍する三瓶真理子さん。臨床心理士を目指した背景や臨床心理士としての取り組みや大切にしている想い、実際のカウンセリングの様子などを伺いました。

 

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三瓶真理子さん:臨床心理士・公認心理師。大学・大学院でロジャーズのカウンセリングを主に学び、その後は認知行動療法のトレーニングを受ける。約13年間にわたって精神科クリニックの心理カウンセラー、企業内の産業保健スタッフ(心理職)、外部EAP(従業員支援サービス)機関の臨床心理士として従事。2016年にEASE Mental Managementを開設

 

>>三瓶真理子さんの詳しい情報はこちら

 
〈インタビュアー 久保佳奈子〉

 

インタビュー内容は2016年12月時点のものとなります

 

臨床心理士を目指したきっかけ

まず、どうして臨床心理士になろうと思ったのかについてお聞きかせください。

 

―実は、もともとは栄養士さんになりたかったんです。誰かに自分の料理を食べてもらうのが好きで(笑)。

 

でも母親に「料理なんか結婚したらいつでも出来るじゃない。これからは心、心理の時代よ」と言われて…。

 

それで心理学の道に?

 

―母親に勧められたことも一つありますが、もともと罪を犯してしまう人の心理というのに興味がありました。

 

非行に走ってしまう人とそうでない人との心の差は何だろう、どういう気持ちで罪を犯すのだろう…と。

 

それで、大学、大学院で臨床心理学の勉強をしました。

 

ご卒業後は臨床心理士の道に?

 

―いえ、実は、大学院を卒業後に一度、一般企業に入社しています。

 

心理学を志したのが母親の勧めだったこともあり、自分は本当に心理学が好きなのか、この道に進むべきなのか迷っていた時期だったんです。

 

そうだったんですね。どんな会社に?

 

―製薬会社でした。

 

大学の実習で統合失調症の方のデイケアに参加していたのですが、その方がずっと何も話さない方で。

 

でも、ある日突然話し始めたんですよ。驚いて、どうしたの?と聞くと、薬を変えたって言うんです。それで「薬の力ってすごい」と思い、薬の道に進もうとMRをやりました。

 

ただ、早々に「やっぱり自分は心理学をやりたい」と気づき、精神科のクリニックに入ったんです。

 

クリニックで臨床心理士としての活動を?

 

―そうですね。一般的なカウンセリングや心理検査と並んで、休職した方に対する復職支援を担当していました。

 

具体的には、仕事をお休みされている方が順調に復職できるようなプログラム作り、リハビリですね。

 

復職支援をメインに担当するようになると、それがすごく面白くなってきて、もっと色んなことを知りたいと思うようになりました。

 

その人たちはどんな会社で働いているのだろうとか、その会社の中でメンタルケアをしていくのはどうだろうとか。

 

やりたいことが明確になってきたんですね!

 

―はい。それで、クリニックを辞めて、対会社でカウンセリングやメンタルケアを提供する「EAP」と呼ばれる会社に入りました。

 

その会社でたくさんの会社さんのメンタル支援をしていたのですが、とある製薬会社さんと密に仕事をする機会がありました。

 

そこで、複数の会社を担当するより一つの会社とじっくり関わる方が楽しいなと思い、とあるIT会社の専属臨床心理士になりました。

 

様々な経験が仕事の幅を広げる

現在はどのような仕事をされていますか?

 

―今は、IT会社の社内臨床心理士として、

 

・会社のメンタルヘルス対策支援

・社員の方へのカウンセリング

・管理職や人事に対するコンサルテーション

 

もう1つはビジネスマン個人に対するカウンセリングをおこなっています。

 

個人の方へのカウンセリングはビジネスマン限定ですか?

 

―そうですね。ずっと関わってきたのがビジネスマンの方でしたし、ビジネスマンは親になる年代が多いですよね。

 

親が健康だと子どもも元気でいられると思うし、その年代が幸せだと高齢者も幸せになるんじゃないかと。

 

ビジネスマンを精神的に健康にすることで、日本中のいろんな世代を幸せにしたいと思うんです。

 

そうなんですね。ところで三瓶さんは産業カウンセラーの資格もお持ちだとか。

 

―臨床心理士の資格を取った後に、産業カウンセラーの資格を取得しました。

 

実際、両方持っていて良かったなと思っています。

 

臨床心理士の職場は、学校だったり病院だったり、本当に幅広いので、臨床心理士で産業カウンセラーと言うと、「働いている人にカウンセリングをしているんだな」と分かってもらいやすいと感じています。

 

これまで多くの会社でメンタルヘルスに関する取り組みをされてきた三瓶さんですが、相談を受けるのはどの年代が多いですか?

 

―私の場合は、30代が一番多かったですね。あとは20代とか40代も多いです。

 

どのような方が相談に来られましたか?

 

―俗に言う「良い会社」でバリバリ働いていた20代の方。とても優秀で大きな仕事を任されたのですが、責任感が強いあまり、何でも自分でやろうとしてしまったんです。

 

そのうち自分では抱えきれなくなって、助けを求めることもあまり上手ではなくて。

 

それでも一生懸命頑張っていたのですが、ある日、もう、頑張れなくなってしまって…。

 

そんなとき相談に?

 

―その方の場合は、会社を休みがちになった時点で、会社の方から「支援をしてくれませんか?」という相談がきました。

 

私は、その方に会って、お話を聞きますが、状態があまりひどいときはカウンセリングを行うよりも、体調の回復が大事ですので、お医者さんの薬を飲んでゆっくり休んでもらうことを優先していただきます。

 

まずは体調を戻してもらうのですね。

 

―そうですね。イメージとしては、ずっと寝ていたのが、だんだん午後には起きれるようになって、そのうち午前も起きていられるようになって、ある程度回復してきたことを確認してから、カウンセリングを始めます。

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  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2016年12月11日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。