高額療養費制度とは?内容・申請方法・計算方法・事例を社会福祉士が解説
高額療養費制度の支援内容
高額療養費制度とは、入院費や通院費が一定額以上を超えた場合に、その超過分が返還される制度です。
本人の年齢や収入によって、返還される額が決まっており、その区分は70歳未満で5区分に、70歳以上で3区分に分けられます。
70歳未満の区分としては、
①年収約1160万円〜
②年収約770万円〜1160万円
③年収約330万円〜770万円
④年収〜約330万円
⑤住民税非課税の方
に分けられます。また、70歳以上の区分としては、
①月収約28万円以上の現役並み所得者
②現役並み所得者および低所得者以外の者
③低所得者(住民税非課税)
となっています。
医療費は、1か月分を基準に計算され、申請をした後、3ヶ月程度で本人に超過分の医療費が返還されます。
詳しい区分や料金は、病院の事務や市役所などに問い合わせてみてください。
高額療養費制度の計算
かかる費用は、各々の年齢や収入によってまちまちです。
高額療養費制度を使った平均的なケースとして、70歳未満、年収約330万円から770万円の方で、月に約87000円程度が医療費の支払いの上限額となります。
ですので、上記のケースの場合、月に約87000円程度の金額を超過した医療費が返還の対象となります。
高額療養費制度の申請方法
高額療養費制度を申請する場合には、基本的に次の書類を用意する必要があります。
1.印鑑
2.保険証
3.高額療養費申込申請書
4.医療費を返還してもらいたい預金通帳
5.病院の通院や入院でかかった医療費の領収証
(書類の名称などは、市町村で異なる場合があります)
健康保険に加入している方の場合は、入院費や通院費の領収証を持ち、最寄りの市役所の国民健康保険課へ高額療養費制度を利用したい旨を伝えてください。
健康保険に加入している方は、勤務先の保険担当の課に尋ねてみてください。
また、一般的には、医療費の超過分は後払いで返還されますが、事前に医療費が高額になる可能性がある場合で、70歳未満の方は、「限度額適用認定証」を各々の窓口によって発行してもらえば、入院時や通院時にその認定証を見せることで、最初から一定額以上の医療費は取られない仕組みになっています。
限度額認定証を事前に発行してもらいたい場合は、以下の書類が必要です
1.印鑑
2.保険証
3.限度額適用認定申請書
上記の書類を提示したうえで申請を行い、約2週間程度で限度額適用認定証が自宅に送付されます。
また、70歳以上の方は、事前手続きは必要なく、「高齢者受給者証」を病院の窓口に見せる際に、限度額を使いたい旨を伝えると、医療費が一定額以上を超えない計算で、事務が医療費を計算してくれます。
高額療養費制度の該当する事例
【Aさん35歳男性】年収400万円・うつ病で入院
月にかかった入院費15万円
Aさんは、中小企業の事務職として働いていました。
勤務先の従業員の数は20名程度。
いつでも人手不足の状態が続いていましたので、連日残業や休日出勤は当たり前の環境でした。
そのため、帰宅してもほとんど何もできず、寝て過ごす日々が続いていました。
Aさんは、しだいに自分の身の回りのことをするのも億劫な状態となり、出勤時間になっても体が動かず起きることができなくなり、無断欠勤を続けるようになってしまいました。
病院を受診すると「うつ病」と診断され、入院治療を勧められました。
入院後、十分な休養と治療のおかげで、Aさんの病状はみるみる回復していきました。
ですが、単価が高い抗うつ薬を使った治療などで、月の入院費は15万円かかりました。
休職中だったAさんにとって医療費の支払いが痛手でしたが、高額療養制度を申請したことにより、約3ヶ月後に超過分の医療費・63000円程度が返還されました。
高額療養費制度の注意事項
高額療養費制度は、入院費や通院費が返還されるありがたい制度ですが、あくまでも医療費のみの適用となります。
そのため、差額ベッド代や食事代、保険適用外の先進医療などはその範囲に含まれません。
また、医療費の上限も入院と通院では異なるため、注意が必要です。
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- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2017年1月16日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。