精神科救急医療とは?対象・支援内容・費用・申請方法・事例を専門家が解説

2017.01.17公開 2017.07.16更新
 
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精神科救急医療とは?

例えば、交通事故で大怪我をした、突然自宅で息が苦しくなったなど、そういう緊急事態が起こったとき、あなたはどうしますか?

 

おそらく、救急車を呼んで救急病院に運んでもらうか、緊急外来などを受診するかと思います。

 

ですが、そういう緊急な対処が必要な病状になってしまうのは、内科的疾患だけではありません。

 

精神疾患を患っている場合でも、外出先で錯乱状態になったり、妄想等により他人を傷つけてしまう可能性が発生する場合もあります。

 

一般科と比べて数は少ないですが、このようなケースに対応する精神科救急医療について理解しておくと、役立つときがあるかもしれませんね。

 

 

精神科救急医療の対象 

精神科救急医療の対象になるのは、以下のような方です。

 

1.何らかの精神疾患を持っている恐れがある方

2.身の回りにいる家族や他人に対して、暴力行為を行い、傷つける恐れがある方

3.他人だけではなく、自殺などで自分自身を傷つける可能性のある方

4.上記の件に加えて、一刻も早い医療的措置が必要だと思われる方

 

 

精神科救急医療の支援内容

精神科救急医療には、主に緊急措置入院、措置入院、医療保護入院という入院形態があります。

 

緊急措置入院とは、他人や自分を傷つける恐れがある方が救急通報などにより、病院に運搬された際に、一定の研修や教育を積んだ精神保健指定医と呼ばれる精神科医師1人の診断により、適切な治療を施すための入院形態です。

 

緊急措置入院は、該当の患者さんの容態が非常に悪く、危機的状態の時に行われます。

 

また、措置入院とは、緊急措置入院ほど患者さんの状態は悪くないものの、相当の緊急性がある場合に精神保健指定医2人の診断により決定されます。

 

最後に、医療保護入院とは、精神科医師が入院治療の必要性があると判断したにも関わらず、本人の同意が取れず、該当患者さんの家族の同意により入院を行う方法です。

 

 

精神科救急医療の費用 

どの入院形態によるかで、費用も異なります。緊急措置と措置入院の場合は公費でまかなわれます。

 

医療保護入院の場合は、基本的には3割負担となりますが、高額療養費制度を利用すれば、高額な医療費が低額で済む場合もあります

 

 

精神科救急医療の利用方法 

緊急措置入院、措置入院、医療保護入院の場合は、都道府県知事が認めた上での入院のため、対象者やその家族が申請するものではありません。

 

これらの入院は、本人の同意の元に行われるものではなく、本人を守るための医療措置だからです。

 

そのため、対象者側が用意する書類などはないですが、医療機関側が保健所に提出する以下のような書類はあります。参考に覚えておくと、役立つことがあるかもしれません。

 

1.入院届

2.同意書

3.入院を同意した家族の印鑑

(病院によっては、家族に対して記載してもらう何らかの書類が用意されている場合があります)

 

緊急措置入院、措置入院、医療保護入院は、都道府県知事宛てに、入院届を提出しなくてはならないという決まりが、精神保健福祉法によって定められています。

 

これらの入院形態での患者さんが病院に入院した場合、彼らの主治医は、入院届に患者さんの病歴や生活歴、現在の病状などを記載し、保健所に提出します。

 

これらの入院届は提出期限というものが設けられており、入院後10日間以内に行わなければなりません。

 

また、医療保護入院の場合は、家族が入院の同意書に必要事項を記入します。その際に、家族の印鑑が必要になります。

 

医療保護入院の場合、同意書も一緒に保健所に提出しなければなりませんので、すみやかな家族側の対応も重要となってきます。

 

 

 

精神科救急医療の事例 

Bさん 40代女性 統合失調症

自ら警察署に出向き、責任者を出せと怒鳴り続けたため、医療保護入院となる

Bさんは、統合失調症で治療を続けていましたが、調子が良くなったということで通院と服薬を自己判断により中止しました。

 

それを知った夫は妻に注意を促しましたが、彼女は聞く耳を持ちません。

 

しばらくは何も起こらず過ごしていましたが、ある日同居する夫に「警察署長に濡れ衣を着せられた。自分の潔白を証明してくる」と言い残し、自宅を出て行ってしまいました。

 

心配した夫も後を追いかけると、近くの警察署で妻が「私は署長に汚名を着せられた。賠償してよ!」と怒鳴り続けていたため、夫が仲裁に入るも、妻は聞く耳を持ちません。

 

そのため、病院に連れて行った方が良いと判断し、警察官と夫も同席し、かかりつけだった病院を受診。

 

医師は、入院の必要性があることを説明するも、本人は「私はその必要はない。入院はしない」と拒否したため、夫が入院に同意し、医療保護入院となりました。

 

 

精神科救急医療の注意事項  

緊急措置入院は、入院期間が72時間以内と決められています。そのため、72時間以内に措置入院か医療保護入院に切り替えなくてはなりません。

 

措置入院には、精神保健指定医2人の診断が一致する必要もあるため、敏速な対応が求められます。

 

また、救急指定となっている精神科病院は数が少ないため、受け入れの問題での課題も抱えています。

 

 

Misudu Kukita【執筆者】

久木田みすづ 精神保健福祉士 社会福祉士

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