愚痴の聞き方…心の専門家が実践する3つのポイントとは?
なるべく客観的に聞く
しかし、ただ愚痴を聞き続けるというのはとても大変です。
あなたがその話を聞いて感じたのが、同情や共感ではなく、相手とは反対の意見だとしたら、なおさら黙って聞くのは辛いと思います。
そこで大切なのは、あまり相手の愚痴に感情移入しすぎないことです。
あくまで愚痴を聞くときには、「そんなこともあるんだな」「その時この人は腹が立ったんだな」と、一歩引いた位置に立って話を聞くようにしましょう。
「客観的に」なんて言われると、随分冷たいんじゃないかと感じる方もいらっしゃるのではないかと思います。
そんな方は想像してみてください。
例えば、愚痴の対象になっている人に対して、聞き手が積極的にその愚痴に同意して、その人物を非難したとしましょう。
相手は共感を得られるので、その時はストレスを発散することができますが、後で愚痴の対象人物に再び出会ったとき、その人へのマイナスイメージが大きくなり、余計にストレスを感じてしまうと考えられます。
聞き手がマイナスイメージをあまりにも煽ってしまうと、余計に愚痴の種を生んでしまうのです。
「その時どう感じたか」を引き出す
杉原保史氏の著書、『プロカウンセラーの共感の技術』によれば、愚痴を言っている人には、「あなたはその時どのように感じたのですか」と聞いてみて、その人本人の感情がどうだったのかを聞き出すことが大切です。
しかし、これはただ質問しても引き出すことができません。
なぜなら、愚痴を言っている人はたいてい、愚痴の対象になっている人の「悪い」と思うところや気に喰わないところにばかり注意が向いていて、その出来事が起こったときに自分の感情がどういうものだったのかには、なかなか注意を向けることができないことが多いのです。
具体的には、「Aさんは私の話を聞いてくれない」「私はこうしたかったのにAさんは聞いてくれなかった」という愚痴を言っている人は、Aさんが話を聞いてくれなかった時、腹が立ったのか悲しかったのか、その感情がよくわかっていないことがあるのです。
「そのときどう思ったのですか?」と聞いてみても、「Aさんは話を聞かない嫌な人だと思った」と自分の感情ではなく、Aさんへの印象を答えてしまうこともあります。
そんな人には、その時に感じた可能性のある感情を具体的に言葉にしてあげると、自分の気持ちに意識を向けさせることができます。
例えば、「Aさんに話を聞いてもらえなかった時、あなたはどんな気持ちでしたか? 腹立たしいとか悲しかったとか、あなたの感情はどんな感じでしたか?」のように聞いてみましょう。
そうすることで、愚痴を言っている人の気持ちを自分の内面に向けさせて、感情を整理できるように導くのです。
愚痴からわかることのさらに内側の感情を整理することで、一時しのぎのストレス発散ではなく、心の落ち着きを取り戻せるようにするのが大切です。
おわりに
ここまで、愚痴の聞き方のポイントをご紹介してきました。
・なるべく客観的に聞く
・「そのときどう感じたか」を引き出す
これらはいきなり実践しようと思っても難しく感じるかもしれません。
愚痴を聞くというのは意外と大変なことですが、あなたが愚痴を聞いてあげることで相手の気持ちが少しでもすっきりしているのは確かです。
今回ご紹介したポイントを参考に、相手もあなたもよりすっきり悩みを吐き出したり聞いたりできるようになれることを祈っています。
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- 本記事は2017年2月4日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。