職親・社会適応訓練事業とは?対象・支援内容・利用方法・事例を専門家が解説

2017.02.25公開 2017.08.10更新
 
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職親・社会適応訓練事業とは?

精神疾患を抱えながら仕事をするなど、社会参加をしている方は数多くいます。

 

また、彼らの就職支援のために、障害者トライアル雇用や社会適応事業者制度などが整えられています。

 

ですが、企業で働く際に、指導担当者が気心が知れた人ではないこともあるため、戸惑うことが多いですよね。

 

今回は、精神障害者を十分に理解し、勉強をしている職親による社会適応訓練事業についてお伝えします。

 

 

職親・社会適応訓練事業の対象

職親・社会適応訓練事業を利用できるのは、以下のような方です。

 

・地域社会で生活している精神疾患を持った方

・医療機関に通院し、治療を受けている方

・社会参加や社会復帰をすることに意欲を持ち、働く意思を持っている方

 

このすべてに当てはまる方が対象となります。

 

 

職親・社会適応訓練事業の支援内容

職親・社会適応訓練事業とは、精神疾患を抱えた方に理解があり、彼らの社会参加のために訓練する場所を提供することで彼らの支援に協力し、都道府県知事が認めた事業所の活動のことを言います。

 

また、その事業所のことを「職親」と呼びます。

 

精神疾患を抱えた方がこれらの事業所に一定期間通い、実際の就労の場で仕事の手順や対人コミュニケーションの訓練を受けながら、技能の向上や社会参加への促進を行います。

 

事業所での訓練期間は、原則として6ヶ月で1日6時間、月に20日の参加が基本となっています。

 

職親になりたい事業所は、市役所などに職親申請を行い、担当職員が事業所を調査した上で適役だと許可が下りた場合にのみ認められるため、障害を抱える方も安心して事業所で訓練を行うことができるでしょう。

 

 

職親・社会適応訓練事業の費用

社会適応訓練事業制度を利用する精神疾患を抱える方に対して、事業所から給料は支払われません。

 

なぜなら、この制度は彼らが「社会生活に慣れること」を目的としているからです。

 

ですが、中には少額の作業報酬を支払っている事業所もあるようです。

 

 

職親・社会適応訓練事業の利用方法

職親・社会適応訓練事業所を利用したい方は、まずは主治医に相談してみましょう。主治医のアドバイスを得たうえで、家族の方などにも理解をしてもらってくださいね。

 

申請窓口は、主に最寄りの市役所です。下記の書類が必要となります。

 

・主治医の意見書

・申し込み申請書

・印鑑など

 

(地域によっては、上記以外の書類などが必要となる場合もあります)

  

 

職親・社会適応訓練事業の事例

Aさん 20代男性 広汎性発達障害 

Aさんは、10代の頃より広汎性発達障害の診断を受け、精神科病院に通院しながら週に3回併設のディケアに通所しています。

 

物事へのこだわりが強く、一度気になる事柄に集中すると、なかなかそれから目をそらすことができないという特徴を持っていましたが、主治医や専門スタッフの支えで毎日を過ごしていました。

 

ある日、自宅でテレビを見ていたAさんは、ある番組で年配の司会者が「30代にもなって働いていない若者は問題ですね」という発言をしていたのを聴き、疾患を持っているとはいえ、自分に向けて怒られているような気がしてきたため、その言葉が頭から離れないようになりました。

 

それがきっかけでディケアでのプログラム活動の際もぼんやりと過ごすようになり、何をやっても集中力が欠けがちになりました。

 

気になったディケアスタッフがAさんに事情を聴いてみると、「テレビ番組で聴いた司会者の言葉が頭から離れず、自分も働かなくてはと思うとそのことばかりに意識が向いてしまう」と打ち明けてくれました。

 

それを聴いたディケアスタッフは、定期カンファレンスの際にAさんが働きたいと思っていることをケースとして取り上げ、主治医から「Aさんが仕事のことで頭がいっぱいになっているのなら、一旦、当院と繋がりのある社会適応訓練事業を試してみてはどうか」とのアドバイスもあったため、この件をAさんに伝えてみました。

 

すると、Aさんは「仕事ができるならやってみたい」ということで、市役所にサービスの申し込みを申請し、病院と関りのある小さな印刷所で訓練を行うことになりました。

 

この印刷所は、Aさんが通う病院の通院者やディケア活動をしていた人を幅広く受け入れているという歴史もあったため、精神疾患に対する理解や知識も深く、人見知り気味なAさんでも打ち解けやすい雰囲気にありました。

 

Aさんは集中力が高い事から、簡単な印刷機械の操作を教えてもらい、そこを持ち場として訓練することになりました。

 

一般的に、給料は支払われないこのサービスですが、ここでは少額の作業報酬を支払うシステムになっていたため、Aさんは自分の働いたお金で自分の物を買うことのできる喜びを知りつつあります。

 

また、休み時間になっても仕事を延々と続けてしまうAさんに対して、工場の指導担当の職員が声をかけてくれたり、終了時間を細かく教えてくれたりなどのアドバイスを行ってくれています。

 

 

職親・社会適応訓練事業の注意事項

職親・社会適応訓練事業の訓練期間は、基本的に6ヶ月とされていますが、その時の状況によっては、最長3年まで期間を延長することが可能となります。

 

 

Misudu Kukita【執筆者】

久木田みすづ 精神保健福祉士 社会福祉士

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