若者サポートステーションとは?対象・支援内容・費用・申請方法・事例を専門家が解説

2017.02.28公開 2020.06.08更新

若者サポートステーションとは?

仕事に就きたいけれど、何らかの理由で就職に結びつかない…そんな若い方が数多く存在しています。

 

また、終身雇用の破壊や実務経験者優遇主義などの社会背景もあり、社会経験が少ない若者が働きにくくなっているという現状もあります。

 

さらに、若者の中には精神疾患を抱えているために、就職が困難となっているケースもあります。

 

このような悩みを抱える若者の皆様に、「若者サポートステーション」についてお話いたします。

 

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若者サポートステーションの対象

何かしらの理由で働くことに悩みを抱えている、15歳から39歳の若年者の方および、その保護者の方。

 

 

若者サポートステーションの支援内容

若者サポートステーションとは、全国に160ヶ所程度存在し、さまざまな理由で無職の15歳から39歳の若者たちに対して、キャリアコンサルタントや臨床心理士などが、仕事に対する幅広い相談や対人関係に関するコミュニケーション訓練、協力企業における職場実習訓練などを行っています。

 

さらに、サポートステーションは、教育機関や福祉機関、地域社会、ニートなどの若者を支援しているNPO法人などと連携し、就職に対する数多くのネットワークを構築しています。

 

 

若者サポートステーションの費用

基本的に、サポートステーションの利用料は無料です。

 

ですが、臨床心理心理士などによるカウンセリングや心理療法、職場体験などが必要となった場合は、有料となることがあります。

 

 

若者サポートステーションの申請方法、利用方法

サポートステーションは全国にありますので、最寄りのステーションの窓口でサービスを利用したい旨をお伝えください。

 

場所によっては、電話などで事前予約を行っていたほうがスムーズに相談を受けることができると思われます。

 

 

若者サポートステーションの該当する事例

【Aさん20代男性】抑うつ状態と引きこもり

Aさんは、大学4年生。今まで友達だと思っていた仲間に、

 

「お前はできそこないだ」

「お前のせいで自分の成績が下がる。勉強するな」

 

などの暴言を会うたびに吐かれ、大学に行くことや外に出ることに強い恐怖感を感じるようになったため、大学を休学。

 

自宅では比較的穏やかに過ごすことができますが、友達に言われた言葉が繰り返し蘇り、吐き気が襲ってきたり、床から起きれない日が続くこともありました。

 

このような症状に、Aさんはもちろんのこと、一緒に住んでいる両親も心配し、精神科病院を受診。主治医より、抑うつ状態だと診断され、薬物療法とカウンセリングで通院治療を続けていきましょうとのことでした。

 

1年程度、治療を進めるうちに、Aさんの症状はしだいに良くなって行き、Aさん自身も「もう一度、大学に戻って勉強したい」という気持ちが蘇ってきました。

 

幸運にも、Aさんをいじめていた友達は、現在では大学を卒業していたため、通院治療を受けながら、大学に復学することになりました。

 

もともと真面目なAさんはコツコツと勉強し、卒業単位を取得し、卒業。ですが、同時に進めていた就職活動で、1年の留年経験があることを指摘され、なかなか内定に結びつきませんでした。

 

それにより、自信を失ってしまったAさんは、通院日に主治医にその旨を相談しました。

 

主治医は、一生懸命頑張るAさんに自信を取り戻させたいと、「若者サポートステーション」と連携しながら、Aさんの就職を支えて行くことを提案。

 

Aさんも、自分を支えてくれるサービスがあるのなら心強いと、サポートステーションを利用することに決めました。

 

サービス利用後のAさんの歩み

Aさんは主治医から紹介されたサポートステーションに出向き、まずはキャリアコンサルタントの人と、

 

「どのような職種に就きたいか」「採用試験時に不安になっている部分はあるか」

 

などの就職相談を受けました。

 

Aさんは、絶対に就きたい職種はないけれど、できるなら営業のような人と頻繁に関わる仕事は避けたいことと、採用試験で留年の理由を聞かれたとき、どう答えて良いか分からず、無言になってしまうことが心配だと告げました。

 

そこで、キャリアコンサルタントは、もくもくと作業ができる経理や、事務関係の仕事や中途採用も積極的に受け入れている企業を選択した方が良い旨をアドバイスし、Aさんも納得したため、そのような企業に絞って就職活動を進めて行く計画を作成しました。

 

また、採用面接の際、留年の件を尋ねられたら、相手方を納得させられる返答ができるようなコミュニケーション訓練を受けることも提案され、臨床心理士などによるサポートが行われることとなりました。

 

このような目標に向かい、コミュニケーション訓練を続けたAさんは、前よりも積極的に就職活動に取り組むことができるようになりました。

 

留年理由も「体調を崩していたため、留年してしまったこと。だけど、今は治療を続けたおかげで、このように就職活動ができていること」を堂々と話すことができるようになりました。

 

自信を随分と取り戻したAさんを見ていたサポートステーションのスタッフは、そろそろ協力先の企業で職場実習訓練を受けてみることを提案し、ある経理担当の仕事をする企業で実習をすることになりました。

 

現場に出てみたAさんは、初めて覚える仕事ばかりで不安になることもありますが、実際の現場で仕事ができるまでになったことが喜びで、自分に自信を感じるようになりつつあります。

 

この調子で、今後は数か所の企業で職場実習を繰り返し、より自分に合った企業の採用試験に挑戦することを目指しています。

 

 

若者サポートステーションの注意事項

サポートセンターは、若者に対する仕事の悩みに対し、支援してくれることは確かですが、基本的に職業紹介は行っていません。

 

また、相談支援の過程で、精神疾患に対する治療などをまずは受ける必要があると判断された場合には、他の専門機関を紹介することもあります。

 

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久木田みすづ

精神保健福祉士・社会福祉士

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2017年2月28日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。