保健所とは?対象・支援内容・費用・申請方法・事例を専門家が解説

2017.02.01公開 2020.06.08更新

保健所とは?

保健所は、地域社会の身近な存在ですが、どのような業務をしているのか、詳しくは知らないと言う方も多いのではないでしょうか?

 

保健所は主に、地域社会の人々の健康の維持や推進を図ったり、病院や施設などと連携し、必要なサービスの提供や相談などを行っている機関です。

 

ここでは、精神保健福祉に関わる「保健所」の役割をご紹介致します。

 

 

保健所の対象

地域社会で生活をしている方や精神疾患を抱えている方、精神病院に入院中の方、医療系専門職の方などすべての人が含まれます。

 

【関連記事】

>>自立支援医療制度とは?条件・メリット・デメリット

>>自立支援医療制度の申請方法・更新手続きとは?

>>障害年金とは?等級・金額・所得制限について

>>障害年金の受給資格・申請方法のポイントって?

>>傷病手当金の申請期間・書き方・金額・申請先

>>【傷病手当金】退職後の申請・任意継続の手続き

>>福祉制度一覧はこちら

 

 

保健所の支援内容

保健所は、精神疾患を抱える方が持つ、悩みや問題に対する相談や指導、援助などの他に、措置入院や医療保護入院などの精神科病院の入院に対する事務手続きを行っています。

 

これらの入院形態に該当する患者さんは、入院届や病状報告書などを保健所に提出する義務があり、それら書類の確認作業を行います。

 

また、それらの手続きを進めるにあたっては、精神科医や精神保健福祉士、保健師などや医療機関や施設と連携を図る必要性も出てくるため、密接な関係作りが必要となってきます。

 

さらに、精神科病院に対する指導監督を行う役割もあるため、定期的に監査が行われます。

 

 

保健所の費用

費用は、どのサービスを保健所で受けるかどうかで異なってきます。

 

例えば、窓口で、精神疾患による悩みなどを相談する際は、配置された相談員が無料で相談にのってくれます。

 

また、措置入院に対して精神保健指定医とともに精神科病院へ保健所職員が同行する際の費用などは、公費でまかなわれています。

 

 

保健所の申請方法、利用方法

精神疾患を抱える方や家族が解決したい問題を相談する際には、窓口に直接出向くか電話、事前に予約をしたうえで、相談員に相談にのってもらうことができます。

 

また、個別相談ではなくても、定期的に家族会や当事者会、ピアカウンセリングなどが行われている場所も多いため、そのようなグループに参加し、悩みを他の参加者と分け合ったり、疾患に対する勉強会などが体験できます。

 

保健所では、さまざまなプログラムが開催されていますので、窓口に尋ね、自分の希望するサービスに申し込んだり、問い合わせてみてください。

 

 

保健所の該当する事例 

【Aさん70代男性】認知症疑いを抱える家族からの相談

Aさんは、娘夫婦とその子供と農業を営んで暮らしています。

 

数ヶ月前より、物忘れや突然泣き出したりなどの症状が見られるようになりましたが、毎日ではないため、家族も「年のせいだろう」と思い、さほど気にしていませんでした。

 

ですが、ある日Aさんは、「お前たちは、私を馬鹿にしている!」と叫びだし、納屋から斧を持ってきて、家族に殴りかかろうとしました。

 

家族はAさんを必死に制し、警察に通報。

 

警察官が駆け付けた頃には、症状が落ち着いていましたが、また同じようなことが起きると危険なため、1日警察官が自宅に駐在し、様子を見ることになりました。

 

その間、暴力行為はなかったものの、「私はみじめな人間だ」「みんなが私をいじめる」などと不満を言い、泣き出すことが頻繁に見られました。

 

Aさんは、病気の可能性があると感じ、家族と警察官は保健所に電話相談をしました。

 

すると、保健所の専門職員が精神科受診をしてみてはどうかとアドバイスし、目ぼしい病院を当たってみるとのことでした。

 

保健所の専門職員は、精神科病院に連絡し、ある病院が受診の受け入れができたため、Aさん家族と警察官の同伴のもと、精神科病院を受診。

 

認知症と診断され、入院治療を勧められましたが、Aさんの同意が得られなかったため、家族の同意のうえで医療保護入院をすることになりました。

 

その後、主治医が医療保護の入院届を記載、家族も同意書などに記入をし、入院後10日以内にこれらの書類を保健所に提出し、正式に医療保護入院の手続きが取られました。

 

 

【Bさん10代女性】発達障害疑いを持つ本人と家族からの相談

Bさんは、小学5年生。元々、成績はあまり良い方ではありませんでしたが、高学年になってからというもの、ますます勉強ができなくなり、授業中に先生が「○ページを朗読をしてください」と当てても、行間を飛ばして読むなどの言動が目立ちました。

 

また、先生や友人が言ったことは理解できても、書いたことは理解できないことが多かったため、担任の先生よりBさんと母親に、「何らかの問題があるかもしれないので、保健所の相談窓口に行ってみてはどうか」と勧められ、Bさんと母親は保健所に予約を取り、指定された日にその旨を相談することになりました。

 

担当した専門職員は、発達障害の可能性があることを伝え、ある精神科病院で検査を受けてみてはどうかと提案。

 

Bさんと母親は、勧められた精神科病院で検査を受け、学習障害だと診断されました。

 

原因が分かったため、ほっとしたBさんと母親でしたが、今後の生活に大きな不安が残ることを主治医に相談しました。

 

すると、ここを紹介してくれた保健所に学習障害専門の訓練プログラムがあると教えてくれ、その場に定期的に通うようになりました。

 

まだ、訓練プログラムを始めたばかりのBさんですが、今までとは違う捉え方や考え方を知っていくことで、新しい世界が開けつつあります。

 

 

保健所の注意事項

保健所は、数多くの情報を持っていますが、相談者の症状や状態などにより、実際のケアはその場で対処できないこともあります。

 

そういうケースの場合は、精神科病院への受診へと繋いだり、該当する施設への情報提供をするなどの対応がなされることもあり得ます。

 

【関連記事】

>>自立支援医療制度とは?条件・メリット・デメリット

>>自立支援医療制度の申請方法・更新手続きとは?

>>障害年金とは?等級・金額・所得制限について

>>障害年金の受給資格・申請方法のポイントって?

>>傷病手当金の申請期間・書き方・金額・申請先

>>【傷病手当金】退職後の申請・任意継続の手続き

>>福祉制度一覧はこちら

シェア
ツイート
ブックマーク

久木田みすづ

精神保健福祉士・社会福祉士

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2017年2月1日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。