新生活が不安…不安のメカニズムと解消法を臨床心理士が解説

2016.04.09公開 2019.05.16更新

春は出会いと別れ、期待と不安が入り混じる季節です。

 

中には、「新生活が不安でしょうがない」という人も多くいらっしゃることでしょう。

 

そこで今回は、4月から新社会人になる人の「不安」とその解消法について臨床心理士に解説してもらいました。

 

新生活が不安なのは当たり前

新社会人になると、これまでのように学生、生徒の立場ではなく、一人前に働くことを要求されます。

 

無事に就職活動を終え、内定が決まったときは喜びと安心を感じていたのに、いざ新年度が目前になると、

「仕事をちゃんと覚えられるだろうか」

「人間関係がうまくいくだろうか」

「独り暮らしはやっていけるかな」

などの不安を抱く方も多いでしょう。

 

新しい環境に身を置くときは、誰にとっても不安が付きまといます。

 

なぜなら、不確定な要素が多ければ多いほど、不安という感情は強く感じられるものだからです。

 

新しい環境に入ることは、まるで暗闇の中を歩くようなもの。

 

どこに何があるかもわからず、手探りで前に進んで行く。そのような状況では不安になるのは当然ですね。

 

だれもが感じる不安は無理に解消しようとしなくてよいのです。

 

 

「不安」の良い面と悪い面

不安の感情はとても居心地が悪いものですが、デメリットばかりではありません。

 

適度な不安は、リスクを考慮した意思決定を促したり、行動の動機付けとなりパフォーマンス力を高めると言われています。

 

例えば、人前での発表が苦手な人が、不安から事前準備を念入りに行い、結果的に本番ではいいプレゼンができることにつながる、というのが例としてあげられます。

 

このように、人間にとって必要な感情だからこそ、進化の過程で残ってきた「不安」という感情。

 

それ自体は悪いものではなく、良い面もあります。

 

しかし、問題になるのは、過度な不安があなたを圧倒して、今に集中できなくさせているときなのです。

 

「やるべきことはたくさんあるのに、心配ごとが多過ぎて、何も手につかない…」なんてことはありませんか?

 

そんなあなたのために、過度な不安に圧倒されたときの対処法をご紹介します。

 

 

思考のおしゃべりを止めて、今に集中しよう

あなたにとって、すごく不安なときを想像してみてください。その時あなたは何を感じていますか?

「新しい職場はどんなところだろう」

「いやな上司とかいないといいな」

「自分に仕事が務まるかな」etc..

ほとんどが、未来を心配する考えから来るものではないでしょうか。

 

そうなんです、不安はこれから起こりうることを考えれば考えるほど、膨らんでいくのです。

 

ここでお勧めしたいのが、「マインドフルネス・トレーニング」です。

 

マインドフルネスとは「今、ここに注意を向けた状態」のことを言います。

 

【参考記事】

>>マインドフルネスのやり方!簡単呼吸法を臨床心理士が解説!

 

未来への考えが出てくると不安になるのなら、その逆の状態は今に意識を向けられている状態です。

 

たとえば、目の前にある美味しいケーキを食べている五感に集中してみる。外を歩いているときの頬に当たる風の心地よさに意識を向けてみる。

 

このように、今に集中することで、将来のことを心配する思考のおしゃべりが止まり、感覚に意識を向けることが出来るのです。

 

今に意識を戻してくることが出来れば、不安に圧倒されて何も手がつかない状態から、楽になっていることに気がつくはずです。

 

そこから、今やるべきことを、不安な気持ちとともに進めていけば良いのです。

 

 

さいごに

すぐに不安を手放すことは難しいですが、「マインドフルネス」を意識して、日々の生活に取り入れることで、少しずつ不安と距離をとる練習をしてみる感覚で始めてみてはいかがでしょうか。

 

あなたの新生活が期待に満ちた素晴らしいものになることをお祈りしています。

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成田恵

臨床心理士

心理相談室QueSera(ケセラ)代表 >>インタビュー記事はこちら

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2016年4月9日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。