【カウンセリングの効果】8つの疑問に論文を用いて臨床心理士に答えてもらいました
日本ではまだまだ敷居の高さを感じる心理カウンセリング。
・カウンセリングって話を聞いてもらうだけ?
・カウンセリング効果、いまいちピンとこない…
・良いカウンセラーの見分け方ってあるの?
などといった、カウンセリングに対する疑問や不安を抱く人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、心理カウンセリングに関する多くの疑問について、臨床心理士の藤本志乃さんに研究論文なども引用いただきながら、お答えいただきました。
藤本志乃さん
臨床心理士・公認心理師。大学院修了後、スクールカウンセリング、東京大学医学附属病院・日本赤十字社医療センターにおいてカウンセリング業務に従事。全人的総合的腎不全医療の推進・普及を目指し、患者の精神心理面に関する臨床・研究・講演活動なども行う。2020年にカウンセリングルームLe:selfをオープン
〈インタビュアー 近藤雄太郎〉
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目次
カウンセリングが必要な人って?
でも、「え?こんな悩みでもいいの?」と思うようなちょっとした悩みでももちろん大丈夫です。
「なんかちょっと元気が出ない」
「子どもをしかる自分が嫌だ」
「人間関係でイライラする」
とか。海外だと、「明日職場でスピーチがあってドキドキするからきたよ」といった感じでカウンセリングに来ることもあるようですね。
私たちカウンセラーも自分がカウンセリングを受けることを推奨されていて、私自身も受けたことがあります。
悩みの種類でいうと、とても軽いものと思われるような程度の相談です。笑
もちろん、話を聴いてもらうだけではなくて、「こんなことやってみたら?」というようなアドバイスもくれたり。
それを実践することでとても心が落ち着く体験をしましたね。
カウンセリングに行くことがかっこいい!とならないまでも、風邪を引いたら病院に行く感覚で、カウンセリングに行く人が増えればなればと思います。
カウンセリングの効果についての論文
それを見ると、まず「認知行動療法」という技法が効果をあげているということが言えると思います。
皆さんが自分のセラピーの方法を選ぶときの参考になればなと思います。
研修会では、他学派の先生のお話を聞く機会がありますが、使う心理用語が違うだけで、セラピーの方向性や内容がとても似ていることが多いと思うのです。
なので一概に「この技法がいいです!」ということは言えないなと感じています。
カウンセリングの効果的な受け方(期間・回数など)
そこで興味深い論文があったのですが、セッションを始めるまでになんと7人に1人が改善を見せ始めることがわかっています*3)!
自分のことをこれまで考えてこなかったけど、「考えてみよう」「大切にしよう」という思いがすでにカウンセリングの効果として現れるのかもしれませんね。
つまり、カウンセリングは数回でも大きな効果が期待できるということなんですよね。
問題や症状の種類で大きな開きがあるということも示されている*4)ので、一概には言えない部分もあるのが実際です。
涙もろい=5回の面接
不安・うつ=8〜13回の面接
境界性パーソナリティー障害(人格障害)=13〜52回の面接
で効果があると言われています*6)。
もちろん、その間に大きくストレスのかかる出来事があったりすれば、別かもしれませんが。
特に恐怖症や身体症の場合にはそれが起こりやすく、人前でのスピーチの不安などの社会的なスキルに関するもの悪化しづらいということが言われています*8)。
でも、ひとつの目安になると思いますし、1,2回で変化する可能性もあるのであれば、受けてみようかなと思う方もいるのではないでしょうか。
反対に何年もお会いし続ける場合もありますね。
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2020年4月10日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。