メンタルを癒やす自宅での過ごし方を臨床心理士に聞きました
目次
メンタルがつらいときの対処法
そこでまずは、一生懸命この状況に対処しようとしている自分のことをいたわってあげてください。
「このような状況なのだから、いつもよりも落ち込んだり、不安や心配、イライラを感じやすくなるのは自然なことなのだ」
と自分に言ってあげてみることもひとつです。
どうでしたか?
メモなどの目に見える形で外に出してあげると、どう対処すれば良いか整理しやすくもなります。
アルコール、カフェイン、ニコチン(タバコ)などの刺激物質を摂ることは控えめにしましょう。
特に自粛のストレスで過剰に摂ってしまうと、刺激物質自体が精神的に作用するなどして、十分な眠りや休息が取りにくくなる可能性があるんです。
テレビやSNSとの健康的な接し方
・時間を決める(見過ぎない)
・つらくなったら離れる
そして、つらくならないためには、漫然と見るのではなく時間を決める。
見終わったら、一息ついて温かいものを飲んで気持ちを落ち着けたり、外を見て気持ちをリフレッシュさせるのもいいと思います。
人とのつながりを保つために
しかし、その一方でコミュニケーションがうまくいかず、ストレスを感じる方もいらっしゃると思います。例えば…
・話をしてもわかってもらえない
・相手が話してばかりで話を聞いてもらえない
・相手と意見が合わないので話していてもリラックスできない
・相手がイライラしたり攻撃的になっていて、話しているとつらくなってしまう、などです。
心理学では「バウンダリー」を保つと言います。
「ああ、怒っているんだな」
「この人は不安なんだ」
と思えばいいだけで、あなたがそれを引き受ける必要はないということも知っておいてほしいです。
あと、自分の伝えたいことがうまく伝わらないという場合には、DESC法と呼ばれる方法を使って伝える方法もあります。
以下に例を挙げてみますね。
(状況)「いま、コロナの影響で外に出られない生活が続いているよね」
(自分または相手の気持ち)「私もイライラしたり神経質になったりするから、あなたもそうなのかもしれないと感じているんだ」
(提案)「私も気をつけるから、もう少し言い方を穏やかにしてくれないかな」
(選択肢)「そうすれば、この非常時にももっと協力し合えると思うんだ。」
(選択肢)「もしくは、『イライラしている』って教えてくれたら、あなたの気持ちがわかって安心するのだけれど、どうかな。」
ときには自分一人の時間を持つ方がホッとする、ということもあると思いますので、リラックスできる時間を持ってほしいですね。
日々のルーティーンをどう保つ?
・洗顔、⻭磨き、入浴
・身支度を整える
・規則的で十分な睡眠
・規則的な食事をとる
など、外出自粛の生活でもリズムを作ることはでき、生活が整いやすくなります。
あとは可能であれば、自宅でできる運動、好きなことや娯楽も十分取り入れてくださいね。
生活リズムが整い、夜のスムーズな眠りにつながります。
眠る前には部屋の明かりなども暗めに調整して、スマホやPC、テレビなど光の出るものは控えることで眠りやすくなります。
「行動活性化」と呼ばれる方法なのですが、プラスの感情が得られると同時に、自分で自分の生活をコントロールできている感覚も得られます。
頑張りすぎ、考えすぎで疲れたら
「そんなに頑張らなくてもOK」
「そんなに考えすぎなくてOK」
というマインドを持つためにはどうしたらいいでしょうか?
一生懸命、自分や周りの状況を良くしようと考えていらっしゃる、そんな姿が伝わってきます。
「よくやってくれているよ」
「無理しなくて大丈夫だよ」
とかでしょうか。
「セルフ・コンパッション」という方法です。
環境変化への適応が苦手な人へ
今を乗り切るためにできること・やらないほうがいいことを最後に改めてお願いします。
・十分に眠ること
・規則的でバランスの良い食事をとること
・適度に体を動かすこと
などの基本的なことを大事におこなうことが挙げられます。体が整うと、精神的にも整ってきます。
メンタル的に問題が生じたときに手軽にできる対処法も教えていただけますか?
これは「オリエンティング」と呼ばれる方法です。
草食動物が周りに危険な肉食動物がいないか確認するような感じです。
自分が落ち着くフレーズがあれば、それを唱えてみるのもいいですね。
>>1日15分!マインドフルネスのやり方・簡単呼吸法とは?臨床心理士が解説
・今日は掃除ができた
・本を読むことができた
・友達に連絡することができた
など小さなことで構いません。
何もなかったら、「今日も1日、よく生きた」ということも十分素晴らしいことです。自分を十分褒めてあげてください。
また、アルコールやカフェイン、ニコチン(タバコ)などを摂りすぎることも注意してくださいね。
【参照】
・新型コロナウイルス流行時のこころのケア(IASC)
・もしも「距離を保つ」ことを求められたなら:あなた自身の安全のために(日本心理学会)
・人はなぜ被害者を責めるのか?(公正世界仮説がもたらすもの)(日本心理学会 心理学ミュージアム)
・The COVID-19 Wellness and Coping Toolkit(Psychology Today)
・Domestic Violence When You Can’t Leave Home(Psychology Today)
・平木典子(1993).アサーション・トレーニング (株)日本・精神技術研究所
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- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2020年4月20日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。