不安で始めるダイエットが成功しない理由と成功に近づく3つのポイント

2020.04.30公開

心理的柔軟性 3つのポイント

「オープンになる」

これは、自分の思考と感情から少し距離を置き、それを観察し、受け容れるスペースを作り、自由に出入りさせることです。

 

自分の思考や感情を手で握りしめ、自分の一部として扱っていませんか。それを少し遠くに置いて眺めるような感覚で、自分の思考や感情と接してみましょう。

 

<やってみようエクササイズ>

空に漂う雲をイメージしてみてください。すーっと流れていく雲。

そこに自分の今湧いてきた思考・感情をのせて、遠くからただただ眺めていきましょう。

 

「今、ここに、いる」

今この瞬間の感覚に意識を向け、関わりを持つことです。

 

今、食事をしているのであれば、目の前の食事を食べるということに意識を向けていく、散歩をしているのであれば、歩いているその足の感覚・風が顔に当たる感覚・自分の呼吸などに意識を向けていきます。

 

このようなことを日常で行っていくことが、「今、ここに、いる」ということを意識する練習となります。

 

<やってみようエクササイズ>

あなたの呼吸に5分だけ意識を向け、観察してみましょう。

空気が鼻孔から出たり入ったりしていく感覚、胸がやさしく上下している感覚、お腹が膨らんだりへこんだりしている感覚。

 

好きなところに意識を向け、観察していきます。

 

「大切だと思うことをする」

あなたが「人生において大切にしていきたいこと」を明確にし、それに基づく行動を取り続けるということです。

 

この、「人生において大切にしていきたいこと」というのは、「受験に合格する」とか「良い妻であるべき」というような達成すべきゴールや目標ではありません。

 

「家族を大切にしていきたい」など、死ぬまで大切にしてきたかどうか、評価できないようなものともいわれています。

 

これは、幼い頃にあなたが好きだったことや将来なりたかったものなどを思い浮かべることで明確になるかもしれません。

 

<やってみようエクササイズ> 3)を参考に作成

あなたの80歳のパーティーを想像してください。

 

その席で、3人が立ち上がって、あなたについてのスピーチをする場面を思い描いてください。

 

理屈に合わなくても非科学的でもかまいません。

 

そして、今、あなたのことを、とても大切に思っている人、友人、子ども、パートナー、誰でもかまいません。

 

その人があなたについての3、4文の短いスピーチをします。

 

あなたが、人生で何を大切にしてきたかを話します。

 

その人にとってあなたはどんな存在なのか・・・

 

その人の人生であなたはどんな役割を果たしてきたか・・・

 

あなたの心の奥深くにある自分についていってもらいたいと思うことをどんなことでもいいですから、想像してみてください。

 

これらのポイントを実践していくことで、あなたは心の柔らかさを獲得し、不安や苦難があってもそれとともに、自分の大切なことに向かって進むことが可能となります。

 

一見ダイエットとは無関係のようにも思うかもしれません。

 

しかし、ダイエットもこの一部と化し、自然とうまくいくようになるということなのです。

 

つまり、これらを実践することで、気づけばあなたの体重は自然と減っていくでしょう。

 

そして、我慢をすることなく、自然と体重の維持ができるはずです。

 

まとめ

マインドが囁く不安をきっかけとしたダイエットというのはうまくいかず、リバウンドをしてしまうことがほとんどです。

 

「オープンになる」
「今、ここにいる」
「大切だと思うことをする」

 

という3つのポイントを実践しながら、心をやわらかい状態にし、「あなたがどう生きていきたいか」という視点からのダイエットを行うことで、自然と体重は減少、維持できるようになります。

 

これまでやっていた、あなたの苦しい、我慢がいっぱいのダイエットから、より良い生き方に通ずる形でのダイエットへ変化していくことを願っています。

 

*行動療法=心理療法の1つで行動を分析し変化させると言われている方法

 

【関連記事】

>>【カウンセリングの効果】8つの疑問に論文を用いて臨床心理士に答えてもらいました

 

参考文献

1) Morten Nordomo., Yngvild Soredo Danielsen., Magnus Nordmo. (2020) The challenge of keeping it off, a drscriptive systemativ review of high-quality, follow-up studies of obesity treatments. obesity reviews 21 (1), e12949.

2) Russ Hearris, M.D. (2009) ACT made Simple. Oakland: New Habinger Publications.
(ラス・ハリス 武藤崇(監訳) (2012). よくわかるACT 明日からつかえるACT入門 星和書店) pp.11.

3) Russ Hearris, M.D. (2009) ACT made Simple. Oakland: New Habinger Publications.
(ラス・ハリス 武藤崇(監訳) (2012). よくわかるACT 明日からつかえるACT入門 星和書店) pp.342-343.

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藤本志乃

臨床心理士 公認心理師

大学院修了後、スクールカウンセリング、東京大学医学附属病院・日本赤十字社医療センターにおいてカウンセリング業務に従事。全人的総合的腎不全医療の推進・普及を目指し、患者の精神心理面に関する臨床・研究・講演活動なども行う。2020年にカウンセリングルームLe:selfをオープン

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2020年4月30日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。