多発性硬化症で自暴自棄だった過去。絶望の世界を180度変えてくれた存在
多発性硬化症の治療と入院のこと
私の体質的なものもありますが、パルス治療はよく効きます。
足が上がらなくなるような症状が出た時に、血漿交換治療も受けたことがあります。
治すためなのはわかっているんですが、周りの友人の様子を知るとやはり羨ましいとか、不甲斐なさを感じていました。
研究も進んでいますし、さらにいい薬が出るようになるだろうとも期待をしています。
両親が元々楽観的な性格でもあるせいか、注射薬への抵抗感があった時も、
「1週間に1回くらいの注射なら、お前ならできんだろ」
「なんかつらいことあったら言ってな。とりあえず焼肉でもいくか」
と、会話が重くならず気楽になれることで、治療に向き合えている気はしています。
こんな病気になって働く意味ってあるのか、と悩んだりもしました。
働かなきゃいけないことはわかっていたけど、自分の身体よりも働くことを優先しなきゃいけないのかなと。
それでTwitterで調べたらいっぱい出てきて、年齢関係なく相談し合える、多発性硬化症の友人が増えていきました。
それから世界が一気に変わりましたね。
「多発性硬化症でもこんなに楽しくやってる人がいる」と気付くことができましたし。
日本全国に友達がいるので、会いに旅行だって行けますよね。
仲間の存在によって、病気に詳しくなるというより、同じ境遇の人が楽しそうに笑っている姿を見るだけでも、「決してネガティブだけじゃないな」と思えます。
情報収集のためというより、単純に「元気?」と言い合える関係なのが心地いいですね。
きっかけは、足が上がらなかったことですね。ステロイドパルス療法を受けていました。最初の入院が一番長くて、3ヶ月ほど入院していました。
当時は足が使えていなくて筋力も落ちていました。なので、筋トレや柔軟もかなりやっていましたね。
最初は歩けなかったのですが、2週間ほど経ってから少しずつ歩けようようになり、1ヶ月ほどで普通の歩き方ができるようになっていました。
注射の打ち方を教えてもらい、「今後は自分で自宅で打っていきましょう」となり、退院となりました。
新たに出ている症状として、軽いふらつきや眼振があるので、注意しながら日常生活を過ごすようにしています。
自宅では軽い筋トレやお風呂上がりにストレッチをしています。
ただ、コロナの影響で半ば強制的に生活リズムが良い意味で整えられています。笑
仕事から帰ってすぐお風呂、ご飯。9時半にはベッドに入っています。
そして、この病気の人が増えた背景として、食の欧米化も考えられているんです。
ただ、日常生活で主治医から言われているのは、「野菜多め」「長時間残業はNG」「睡眠時間をしっかり取る」くらいなので、あまり制約はないのはありがたいです。
多発性硬化症と仕事の両立
多発性硬化症については、伝える内容に差異はありますが、上司やチームメンバーにも伝えていますが、役職によって対応が異なることも少なくないので、戸惑うこともあります。
有給などは取りやすいのは良いところなんですが、この病気のことを説明しても思うようには伝わらないのはもどかしいですね。
忘れてしまうこと自体は申し訳ないと思うのですが、「それはやる気がないから」「やればできる」みたいな精神論が多いとつらいですね。
・助けがいる場合は遠慮なく声をかける。
ですね。なかなか思うようにはならないこともありますが、やるしかないので。
悔しいんですが、もう普通には働けないと思います。
ただ諦めたくはないんです。なので、本当に日々勉強です。
仕事ももちろんやらなければいけないですが、やはり身体に障害を残すことはしたくないので、そこは自分で自分を守るべきかなと考えています。
どこまでいっても体調面は自分しか分からないので。
多発性硬化症、完治への思い
「寝たきりになるんじゃないか」
「どんどん機能が失われていってしまうのではないか」
「こんな自分に何ができるんだろう」
とマイナスなことばかり考えていました。
そんな状態でも、仲間とつながり、関係性が広がることで、気持ちがどんどん上に向いていったんです。
それでも、以前はただうつむいて一人で落ち込んでいましたが、今は自分の気持ちを吐露できる仲間のおかげで、うまく切り替えられるようになりました。
薬や治療の種類もいっぱい出てきているので実際信じています。
研究が進んで完治する病気になるなら、それまで耐えればいいだけの話。
そう思えること自体が励みにもなるし、こう振り返ってみると、少しは人間的に成長したのかなと思います。笑
難病仲間なんて言ったらおかしいですが、同志がいるのは心強かったです。
この病気になったことで、良い意味でも世界が変わりました。診断当初と比べるとそれはもう見違えると思います。
難病のお陰で知り合えた人達がいること、まだまだわからない世界があること、視野を広く持つことができるようになったと思っています。
ただ、完全に治らないとはやはり信じたくないです。
この病気はハンデでもあり、苦しいこともありますが、決してこんな病気に負けないように思います。
自暴自棄だった頃の自分へ
多発性硬化症と診断されたばかりの人がいるとすれば、不安でどうしようもないくらいになってしまっていると思います。俺もそうでした。
注射薬の副作用で、自殺願望が出てしまうこともありましたが、できないことを数えていても落ち込んでしまうだけでした。
周りの人との関係を大事にしていきつつ、しっかりと治療を受ければ、現状維持出来るはず。怖いかも知れませんが、一緒に頑張りましょう。
「これが出来ないなら、視点を変えてこれだったら出来るから、こっちを頑張ってみようかな」と切り替えも早くなりました。
ある程度、時間が経ったことで、自分でも改善策を出せるようになったことは大きいです。
最後に多発性硬化症と診断を受けて自暴自棄だったご自身にどんなメッセージをお伝えするか教えてください。
自分自身へ。
片足上がらなくて辛いよな。いきなりで訳わからないよな。
「なんで」ばっかり思ってるよな。
自分で注射を打たなきゃいけないとか訳わかんないよな。
でも大丈夫。そんなのに負けるほど弱くねえだろ。点滴我慢すりゃ足は上がる。今が踏ん張り時だ。
「なんでこの歳で。これからなのに。ふざけんな」って自暴自棄になっているだろうが、なっちまったもんは仕方ない。
この病気のおかげで思いもしなかった出会いが待っている。同じ病気の人達といっぱい知り合えるから楽しみに。楽しくて優しい人ばっかだから大丈夫。
そして、この病気で知り合えた人達を大事に。そして自分の身体に敏感に。
注射もだいぶ打ったけど、そのおかげで今の状態あるから今は頑張れ!
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2020年7月3日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。